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ものがたりが終わった後の、物語の始まり

作者: 吉高 筒司
掲載日:2026/10/31



ターニャ・レンブラント王女から厳歳《げんさい》ファデリックへの手紙


拝啓 

 秋雨の候、時下ますますご清祥の段、お喜び申し上げます。

 貴殿が去ってから、はやくも半周期年が過ぎようとしております。

 その節は本当にお世話になりました。思い返せば貴殿がこのセカイに舞い降りてこられてから、平和が訪れるまでのことはまるで昨日のようなことでした。貴殿のご活躍にどれだけのこのセカイの者たちが助かったでしょうか。

 そう、忘れも致しません私がゴーレムに止めを刺されそうになっているところに、貴殿が駆けつけて下さり九死に一生を得た事。しかも驚いたことに貴殿は一切の武器を持たない盾のみでゴーレムを退治してしまい、その驚きと言ったらありませんでした。

 その後、勇者アンナ、僧侶イングリット、魔法使いバルバラと共に各地を転戦し、そして最終決戦で魔王は実は操られていただけだという事が分かり、影の旧支配者を倒しに旅に再出発した時には、それは絶望の中で私たちを鼓舞していただきました。

 その後影の旧支配者を倒し全てが終わった夜の事。

 あの時は二人っきりの夜。

 貴方が私の事をどれだけ大切に思ってくれているか心の底から分かり合えた夜でした。

 ごめんなさい、そして驚かないでください、本当は言わないで私だけの心の中でそっとしまっておくべきなのかもしれません。ですが、最後にあなたにお伝えしなくてはと思い、筆を取りました。

 実は私のお腹の中にはあなたとの愛の結晶が宿っているのです。

 この事をお伝えして、あなたが苦しむことになるかもしれないのは重々承知です。

 ですが、どうしてもお伝えしたいと言う私の気持ちを察していただければ幸いです。

 でも大丈夫です、あなたにどうこうしていただくつもりはございません。産まれてくるこの子と、このセカイで幸せに暮らしていきます。でも、もし叶うならばこの子に会いに来ていただければ望外の喜びです。

 それでは厳歳《げんさい》ファデリック様におかれましてはご自愛くださいませ。

                                  敬具


 


勇者アンナ、から厳歳ファデリックへ書簡


前略 厳歳ファデリック様

 やあ、その後元気に過ごしてますか?貴殿との苦しかったあの旅も、今思えば楽しい思い出だ。だが、最後に影の旧支配者が出てきたときは、正直心が折れそうだった。

 でも貴殿がみんなに希望を与え、最後まで頑張ってこれたんだ、感謝している、改めて言おう『ありがとう』と。

 さて、話は変わるんだが、もう聞き及んでることだと思うので詳しくは言わないがターニャ・レンブラント王女のお腹の中には、その、君とのこどもがいると聞いた。回りくどい話はやめにして、結論から言おう。どうだ、こっちのセカイに彼女と生まれて来る貴殿とのお子さんと共に暮らさないか。いや、暮らしてくれないだろうか。きっと彼女も喜ぶ。それにこの世界を救った立役者だ、このセカイの人々もきっと受け入れてくれるはずだ。考えてくれ。また会える日を楽しみにしている。じゃあな。

                                  草々

 



 僧侶イングリット、から厳歳ファデリックへ書簡 


 拝啓 金風の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。

 ご無沙汰いたしております。厳歳ファデリック様におかれましては、その後いかがお過ごしでしょうか、元のセカイに戻られて、落ち着きましたでしょうか、その節はなにかとご高配賜り誠にありがとう御座いました。当方のセカイも復興の槌音が響き渡り人々は希望を胸に生活いたしております。それもこれも厳歳様のおかげと、日々神に感謝をささげております。

 さて、もうお聞き及びと存じますが、我らが敬愛する主ターニャ・レンブラント王女に新しい命が宿っておりますこと。最初にこの話をお伺いいたしました時には、神に感謝いたしました、だって、我らが尊敬し国の命と言っても過言でないターニャ・レンブラント王女。

 そして、このセカイをお救いになったこの国の父ともいうべき厳歳様。

 このお二人がこのセカイで末永く幸せに暮らしていただければセカイの人々はどれだけ安心して平穏に暮らしていくことができるか。

 出来れば、というより、是非このセカイで一緒に暮らしていただけないでしょうか。

 差し出がましいお話だとは思いますが敬愛するターニャ・レンブラント王女の事でございます故、お許しくださいませ。それではこれにて失礼いたします。


                                  敬具

 



 

 魔法使いバルバラから厳歳ファデリックへの手紙



 よお、厳歳。元気か?お前、よくやったな。聞いたぞ、おまえ、王女様を妊娠させたんだってな。よくやるよ、実際身分違いなのにお前根性あるな。びっくりだぜ。でもよ、あれだけの苦労を重ねてき俺達だ、誰がおまえの女になるか本当は誰も口に出してなかったけど俺も含め、アンナやイングリット、当然王女もお前さんを気に入ってたんだぜ。でもお前さんは王女を選んだ。いいじゃねえか、めでたい話だ。

 ただ、日々彼女の大きくなるお腹にともない、彼女が憔悴している姿は見てられないぜ。

 俺はお前に是非、このセカイにかえって来てもらいたいんだ。

 王女も喜ぶし、お前さんのそっちのセカイよりこっちのセカイの方が暮らしやすいはずだぜ?まあ、考えておいてくれよ。

 まあ、本当は俺に少しのチャンスがあればって思っているのは誰にも言うなよ。

 じゃあな。




 父王レンブラント烈雷帝から厳歳ファデリックへ


 我が息子厳歳ファデリックよ、元気かね。

 貴殿に救ってもらったこのセカイもようやく落ち着きを取り戻し、復興に向けて日々希望の日々を過ごしておる。それにもっと喜ばしいことは、なんだ、その、わが娘に新しい生命が宿ったという私もお爺ちゃんなんだと、重ねて、喜ばしいことこの上もないことが続き私もある意味、浮足立っておるのだ。

 そこでなんだが、折り入って話があるのだ、我が愛しい娘の事なのだ。

 日に日におおきくなるおなか、それはいいのだがどうも表情がすぐれない、医者に診せても体調は全く問題が無いという。何か気がかりなことがあるのかどうか人づてで聞いてみた所、原因は貴殿だというではないか。

 いや、我が息子厳歳ファデリック君、君が直接にあるのではなく君と一緒に暮らせない、君と会いたいその想いが彼女をそうさせているというではないか。

 そこでだ、どうだろうこのセカイにもどってきて彼女と暮らしてくれないだろうか?

 いや、悪いようにはせん、こっちのセカイで自由気ままに暮らして彼女の側にずっといてくれるだけでいいんだ。どうだろう?まあ、私も男だ、まあ、なんだ、女性一人に縛られるのが問題なら、そうだ彼女には内緒に側室の一人や二人、愛妾の三人や四人大目に見てやってもいいぞ。どうだ、考えてくれぬか。まあ、すぐに返事は難しいだろうからしばらく待つのはやぶさかじゃない。色よい返事を待っておるぞ。





 ターニャ・レンブラントから厳歳ファデリックへの手紙


 前略 厳歳ファデリックさま、驚きました、御父上や勇者や僧侶、魔法使いからお手紙を差し上げたと聞き及びました。

 あの、決して、ご無理はなさらないでくださいませ。あなた様の生活がおありでしょうから。でも時々思うのです、生れて来るこの子と私とあなた様と三人で緑なす丘でランチを広げて、笑顔で笑い合いながら過ごすことを。きっとかわいい子だと思います。そんな儚い事を想像しては□□□□(涙で滲んで判読不能)です。ごめんなさい、こんなことで落ち込んでいたら、また御父上に心配をかけてしまいます。

 でも、思う事は許して下さいませ。叶わぬ淡い夢とお笑いください。

 貴方の□□□□(涙で滲んで判読不能)を思い出すと涙がこぼれて□□□□□□□□(涙で滲んで判読不能)そうなれば、いいなと日々こう□□□□□□□□(涙で滲んで判読不能)こんな話でごめんなさいもう辛くなるので□□□□□□□□(涙で滲んで判読不能)です。

                                  早々





 父王レンブラント烈雷帝から厳歳ファデリックへ速達


 貴様、甘い顔をしておればいい気になりおって、我が娘をどうするつもりだ、もういい、全軍上げてお前のセカイに乗込んでやる。首を洗ってまっておれ。





 ターニャ・レンブラントから父王レンブラント烈雷帝へ置手紙


 父上へ

 ごめんなさい、愚かな娘とお笑いください、あなたの娘ターニャ・レンブラントはいないものと思ってくださいませ。私は彼のもとに参ります、考えに考えた末の事です私にはあの方しかいません。あの方の下へ。ですのであなたの娘はいないと思ってくださいこんな身勝手な娘だとお笑いになって下さい。そして笑って送り出してください。





 ターニャ・レンブラントから厳歳ファデリックへ手紙


 私の全てを投げうって貴方の下へ参ります。どうか、私を迎えて下さいませ。どうか。





 □□□新聞ヘッドラインニュース

 本日午後二時十五分、帝都上空一キロにて空間が裂け異星人とおぼしき正体不明の生物の来襲を受けました。


 △△△ニュースヘッドライン

 本日二時ごろ帝都上空に突然現れた空間の裂け目の続報です。

 空間の裂け目から当初異星人と思われましたが、関係省庁の情報によりますと、異世界からの来訪者という事が分かりました。


 ○○○○新聞ヘッドラインニュース

 帝都上空の裂け目の続報です。

 裂け目からは数多くのモンスターと思しき生き物が降下し、その中心人物と思われる、レンブラント烈雷帝と名乗る異世界の王が、我が国の大統領との面会を求め国会議事堂をとり囲んでおります。現在関係省庁と、与野党が協議しており、取り扱いについて耳目が集まっております。


 □□ネットニュース

 異世界来訪者についての続報。

 異世界からの来訪者レンブラント烈雷帝が我が国の大統領と面会、『このセカイに厳歳ファデリックという者がいるはず、我々に渡してもらいたい、そして多分一緒にいる我が娘ターニャ・レンブラントもだ希望はそれだけだ』

 と述べ、でなければ秒でこのセカイを滅ぼすと恫喝した。

 国防軍、警察軍は静観しており、

情報局がこの件について引き継いでいる模様。


△△△社ニュースヘッドライン

異世界来訪者レンブラント烈雷帝氏関連ニュース

・・・・・・当該関係者に当たる厳歳ファデリック氏とターニャ・レンブラント王女は今夜通常国会開催に先立ち、今回の騒動についてご挨拶と謝罪を述べられた。その後、同行していたレンブラント烈雷帝氏と共に、大統領府にて今後の両世界の友好条約締結に向けた実務者協議の準備委員会の設置を取り決めた。明日数名の連絡員を残し、 厳歳ファデリック氏、ターニャ・レンブラント王女とレンブラント烈雷帝氏一行は当世界を出発し元のセカイに帰国する模様。世間では厳歳ファデリック氏、ターニャ・レンブラント王女の婚礼と帰郷で祝賀ムードに沸き、クリスマスの時期も重なって一層帝都は華やいで・・・・・・              了 

拙作に目を通していただき誠にありがとうございます。評価、ご感想など賜われば励みになります。何卒よろしくお願いいたします。

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