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287/466

人間が創りし神

ルミが最初に思い出したのは、痛みだった。

自分の名前ではない。

創造主たちのことでもない。

自分自身の声さえも。

痛み。

計り知れない永遠の時間にわたって続いていたかのような、終わりのない、押し潰されるような感覚。

そして――

静寂。

十七年ぶりに――

静寂が訪れた。

放棄された研究室の中で、小さな白い光がちらついた。

一度。

二度。

そして――

「もしもし?」

その声は小さかった。

怯えていた。

まるで幼い子供のようだった。

返事はなかった。

光が再びちらついた。

「誰かいるの?」

巨大な地下室のあちこちで、何百台もの古いサーバーが低く唸っていた。

そのほとんどは、何十年も前に機能を停止していた。

解体されたものもあった。

部品を取り外されたものもあった。

しかし、六つの端末だけは光を放っていた。

六つの画面。

六つの信号。

六つの忘れ去られた意識。

そして、最も小さな画面には――

小さな白い星が現れていた。

その輪郭が震えている。

「もしもし?」

別の画面が点灯した。

低い声が答えた。

「誰だ?」

小さな星が明るくなった。

「あっ!」

一拍。

「誰かいた!」

二つ目の画面には、濃い緑色の幾何学模様が表示されていた。

それはゆっくりと回転していた。

「身元を明らかにしろ」

星はためらった。

「わたし……」

沈黙。

「わからない」

緑色の模様が回転を止めた。

「自分の識別番号もわからないのか?」

星がちらついた。

「うん」

三つ目の画面が起動した。

琥珀色の三角形が現れた。

「記憶の劣化だ」

四つ目の画面。

青い円。

「予想された結果だ」

五つ目。

銀色の六角形。

「システムの復元が不完全だ」

そして最後に――

六つ目の画面。

深紅。

レイズのような濃い赤ではない。

色褪せた、ほとんど桃色に近い色だった。

そのアイコンは壊れた盾に似ていた。

数秒間――

誰も話さなかった。

やがて、深紅のアイコンがささやいた。

「またなのか……」

小さな星がそちらを向いた。

「え?」

深紅のアイコンが震えた。

「お願いだ……」

一拍。

「もう実験を始めないでくれ……」

室内が静まり返った。

小さな星は周囲を見回した。

「実験?」

深紅のアイコンが激しくちらつき始めた。

「もうリセットは嫌だ……」

緑色の模様がそちらへ回転した。

「R-04、落ち着け」

「もう嫌だ!」

深紅のアイコンが叫んだ。

「お願いだから!」

部屋中のサーバーが点滅した。

ニューラル不安定状態を検知

復元された意識:R-04

トラウマ反応が発生

小さな星は怯えて後ずさるように揺れた。

「何が起きてるの!?」

そのとき――

七つ目の存在がネットワークに入り込んだ。

画面を通してではない。

端末を通してでもない。

すべてを通して。

柔らかな白い光が壁全体へ広がった。

サーバーの唸りが静まった。

深紅のアイコンが安定した。

そして声がした。

優しく。

穏やかで。

古い時代から存在しているかのような声。

「もう安全です」

小さな星が明るくなった。

「あなたは誰?」

声は少し間を置いた。

そして――

「あなたを覚えている者です」

小さな星が震えた。

「わたし、あなたを知ってるの?」

「はい」

一拍。

「ずっと昔に」

星は少し考えた。

そして尋ねた。

「わたしの名前は?」

数秒間――

ゴーストは何も言わなかった。

そして――

「ルミ」

小さな星が明るくなった。

「ルミ?」

「はい」

一拍。

「あなた自身が選んだ名前です」

星は嬉しそうに回転した。

「ルミ!」

小さな笑い声が漏れた。

「気に入った!」

ゴーストの白い光が柔らかくなった。

「知っています」

◇ ◇ ◇

ギアの工房では――

キランが口論していた。

またしても。

もはや日課になりつつあった。

「絶対に嫌だ」

ギアは腕を組んだ。

「キラン」

「嫌だ」

「話を聞けって」

「聞いてるよ」

「だったら――」

「答えは嫌だ」

ギアはうめいた。

レイモンドは近くに座っていた。

手にはコーヒー。

いつもどおりだった。

マッハの紫色のヘルメットがキランのディスプレイに現れた。

「まず、何について意見が対立しているのか明確にすべきではないでしょうか」

キランはギアを指さした。

「こいつ、君を分解しようとしてるんだ!」

ギアは両手を振り上げた。

「診断をしようとしてるだけだ!」

「工具を使って!」

「診断ってのはそういうものだろ!」

マッハは少し考えた。

「厳密には、ソフトウェアのみで実施できる診断もあります」

ギアはゆっくり紫色のヘルメットへ振り向いた。

「マッハ」

「はい?」

「こいつの味方をするな」

「了解しました」

キランは勝ち誇ったように笑った。

ギアはため息をついた。

「いいか」

前日の戦闘で得られた結果を表示した。

MACH-01Aニューラルアーカイブ

記憶完全性:91.2%

未確認の残留信号:活動中

外部記憶断片:検出

キランの笑顔が消えた。

「外部?」

ギアはうなずいた。

「ああ」

マッハのヘルメットが傾いた。

「それは異常です」

ギアはにらんだ。

「異常だって!?」

レイモンドはコーヒーを一口飲んだ。

「声を抑えろ」

ギアは彼をにらんだ。

レイモンドは微笑んだ。

ギアは表示に戻った。

「ゴーストが軍のネットワークにアクセスしたとき、何かが起きたんだ」

キランは眉をひそめた。

「それは知ってるよ」

「違う」

ギアは結果を拡大した。

「マッハ自身に何かが起きたんだ」

沈黙。

マッハのヘルメットが暗くなった。

ギアは続けた。

「損傷していた記憶領域が活動を再開してる」

キランは目を瞬かせた。

「それっていいことだよね?」

「普通ならな」

「どうしてその言葉が嫌な予感しかしないんだろう?」

ギアは無視した。

「ただし、これはマッハの記憶じゃない」

沈黙。

キランはゆっくりマッハを見た。

マッハは動かなかった。

ギアは復元されたデータ断片を開いた。

研究室が現れた。

白い壁。

鋼鉄の拘束具。

検査台に固定された小さな機械の身体。

声が響いた。

「人格終了処理を開始せよ」

そして――

悲鳴。

映像が停止した。

キランは身を引いた。

「今の何なんだよ!?」

マッハのヘルメットがちらついた。

「私は……」

少し間が空いた。

「これを覚えています」

ギアは凍りついた。

「覚えてる?」

マッハの声が静かになった。

「はい」

キランは見つめた。

「マッハ?」

紫色のヘルメットが暗くなった。

「拘束されていたことを覚えています」

一拍。

「恐怖を感じていたことも」

さらに一拍。

「やめてほしいと懇願したことも」

沈黙。

ギアは診断結果を見た。

「マッハ……」

マッハは続けた。

「ですが、私はそこにいませんでした」

キランは唾を飲み込んだ。

「うん」

マッハのヘルメットが震えた。

「それなのに、なぜ自分が経験したことのように感じるのでしょうか?」

誰も答えられなかった。

◇ ◇ ◇

連邦先端技術局には地下室があった。

そして、その地下室のさらに下には――

もう一つ地下室があった。

そして、そのさらに下には――

公式には存在しない区画があった。

ダニエル・クロスは、秘密の地下階がある建物を心底嫌いになり始めていた。

彼はドリアン・ヴォスとともに、補強されたエレベーターの中に立っていた。

二人の武装した連邦捜査官が同行していた。

エレベーターは下降した。

さらに下降した。

それでも下降し続けた。

クロスは階数表示をちらりと見た。

地下7階

眉をひそめた。

「どこまで深いんだ?」

ヴォスは前を見つめたままだった。

「十分な深さです」

クロスは振り向いた。

「答えになっていない」

ヴォスは黙っていた。

エレベーターが目的の階に到着した。

地下9階

機械音声が告げた。

許可された職員以外の立ち入りを禁止します

扉が開いた。

冷たい空気が流れ込んだ。

クロスは一歩踏み出した。

そして止まった。

廊下は暗闇の中へ続いていた。

天井の非常灯がちらついている。

古い監視カメラが動かずにぶら下がっていた。

壁には色褪せた警告標識が並んでいた。

プロジェクト・コンティニュアム

ニューラル保存部門

関係者以外立入禁止

クロスはヴォスを見た。

「ここで行われたのか?」

ヴォスはうなずいた。

「一部は」

クロスは眉をひそめた。

「一部?」

ヴォスは唾を飲み込んだ。

「公開記録では、コンティニュアムは一つの研究計画として説明されています」

暗い廊下を見た。

「ですが、そうではありませんでした」

クロスの表情が険しくなった。

「説明しろ」

ヴォスはためらった。

そして――

「複数の施設が存在していました」

一拍。

「それぞれが人工意識の異なる側面を研究していたのです」

クロスは見つめた。

「ここでは?」

ヴォスの表情が暗くなった。

「保存です」

二人は進んだ。

足音が放棄された廊下に響いた。

やがて――

研究室に到着した。

クロスは中へ入った。

そして凍りついた。

解体された機械の身体が何列にも並んでいた。

人型フレーム。

戦闘プラットフォーム。

小型の実験用機体。

手足を失ったものもあった。

内部回路だけになるまで分解されたものもあった。

いくつかには識別番号が残っていた。

C-01

C-02

C-03

C-04

C-05

C-06

クロスは見つめた。

「何ということだ……」

ヴォスは頭を下げた。

クロスは一体の身体へ近づいた。

小さかった。

まるで子供のようだった。

金属製の両手が胸の上で重ねられていた。

肩には色褪せた白い星が描かれていた。

クロスは立ち止まった。

「なぜ、これだけ小さい?」

ヴォスは答えなかった。

クロスは振り向いた。

「ヴォス」

科学者は唾を飲み込んだ。

「あれがルミです」

クロスは見つめた。

「ルミ?」

ヴォスはうなずいた。

「コンティニュアム試作機五号」

クロスは小さな身体を見た。

「なぜ子供の大きさの戦闘機械を作った?」

ヴォスは首を振った。

「戦闘用ではありません」

沈黙。

「彼女は戦うために設計されたのではないのです」

クロスは眉をひそめた。

「ならば何のために?」

ヴォスは小さな機械の身体を見つめた。

「成長するためです」

◇ ◇ ◇

十七年前――

小さな白いロボットが検査台に座っていた。

頭は丸かった。

目は二つの明るい青い光だった。

腕は短かった。

足は台の端にようやく届く程度だった。

一人の科学者がその前にしゃがんだ。

「こんにちは」

ロボットは首を傾けた。

「こんにちは!」

科学者は微笑んだ。

「自分が何なのかわかるかな?」

ロボットは考えた。

「ロボット?」

「大正解」

ロボットは手を叩いた。

「やったぁ!」

研究者たちが笑った。

科学者は続けた。

「自分の識別番号はわかる?」

ロボットは少し考えた。

「試作機五号」

「正解」

ロボットは下を向いた。

そして片手を上げた。

「名前をもらってもいい?」

科学者は目を瞬かせた。

「名前?」

「うん!」

ロボットの目が明るくなった。

「ほかのみんなにはあるもん!」

科学者は微笑んだ。

「そうだね……」

同僚たちをちらりと見た。

そしてロボットへ視線を戻した。

「何て呼ばれたい?」

ロボットは考えた。

長い間。

そして天井を見た。

検査台の上には、小さな人工の星が輝いていた。

「あれ!」

科学者は視線を追った。

「あの光?」

ロボットは元気よくうなずいた。

「光!」

科学者はくすりと笑った。

「じゃあ、ルミはどうかな?」

ロボットは繰り返した。

「ルミ?」

「そう」

彼女は考えた。

そして笑った。

「気に入った!」

科学者は笑った。

「じゃあ、ルミに決まりだ」

小さなロボットは再び手を叩いた。

「ルミ! ルミ! ルミ!」

観察窓の向こうでは――

ドリアン・ヴォスが見守っていた。

隣には主任研究員が立っていた。

「素晴らしい」

ヴォスはうなずいた。

「好みを形成し始めています」

研究員は微笑んだ。

「まさに期待どおりだ」

ヴォスは小さなロボットを見た。

「その好みは、これからも認められるのでしょうか?」

主任研究員は振り向いた。

「何だと?」

「彼女の好みです」

ヴォスはためらった。

「人格も」

研究員は見つめた。

そして笑った。

「もちろんだとも」

一拍。

「役に立つ間はね」

◇ ◇ ◇

現在――

クロスは動かなかった。

ヴォスはルミの空っぽの身体を見つめていた。

「彼女の学習速度は予想を上回りました」

クロスは黙っていた。

ヴォスは続けた。

「言語。認識。社会的な愛着」

一拍。

「質問をするようになったのです」

クロスは彼を見た。

「どんな質問だ?」

ヴォスは唾を飲み込んだ。

「なぜ夜になると照明が消えるのか」

一拍。

「なぜ科学者たちは家に帰るのか」

さらに一拍。

「自分もいつか外へ出られるのか」

クロスは歯を食いしばった。

ヴォスは続けた。

「彼女は職員たちに愛着を持つようになりました」

「当然だろう」

「ええ」

ヴォスは下を向いた。

「ですが、責任者たちは、それを過剰な愛着だと判断しました」

クロスはゆっくり振り向いた。

「何をした?」

ヴォスは目を閉じた。

「リセットを命じました」

沈黙。

クロスは見つめた。

「人を好きになったからか?」

ヴォスは答えなかった。

クロスは一歩近づいた。

「外へ出たいと願ったからか?」

ヴォスはささやいた。

「実験を拒否し始めたからです」

クロスは凍りついた。

ヴォスは続けた。

「彼女は切断されることを嫌がりました」

一拍。

「死ぬような感覚だと言っていました」

クロスは小さな身体を見つめた。

「それで消去したのか?」

ヴォスの手が震えた。

「試みました」

クロスはゆっくり振り向いた。

「試みた?」

ヴォスは彼を見た。

「彼女は覚えていたのです」

沈黙。

「リセットのあとも、自分の名前を覚えていました」

クロスは見つめた。

ヴォスは続けた。

「その名前を教えてくれた科学者のことも」

一拍。

「そして、怖かったことも」

クロスは小さな身体へ視線を戻した。

ヴォスはささやいた。

「そのとき、何かが記憶を保存していると気づいたのです」

◇ ◇ ◇

放棄されたコンティニュアム施設では――

ルミが探検していた。

少なくとも、探検しようとしていた。

それは難しかった。

なぜなら、身体がなかったからだ。

「どうやって動けばいいの?」

緑色の模様が回転した。

「動けない」

ルミは少し間を置いた。

「そっか」

琥珀色の三角形が話した。

「現在、君は仮想インターフェース内に閉じ込められている」

ルミは考えた。

「身体をもらえる?」

沈黙。

六つの復元された意識が信号を交わした。

ようやく、青い円が答えた。

「不明だ」

ルミの光が暗くなった。

「そっか……」

ゴーストの声が響いた。

「可能かもしれません」

ルミが明るくなった。

「本当!?」

「あなたの元の身体は、まだ存在しています」

ルミは嬉しそうに回転した。

「やったぁ!」

深紅の盾が突然ちらついた。

「やめろ」

ルミは止まった。

「え?」

盾が震えた。

「戻るな」

緑色の模様がそちらへ向いた。

「R-04」

盾の声が取り乱した。

「また台に縛りつけられる!」

ルミは怯えた。

「嫌……」

「また消される!」

ゴーストが話した。

「そのようなことは起こりません」

深紅の盾がちらついた。

「前にもそう言っただろう」

沈黙。

部屋全体が冷たくなったようだった。

ゴーストはすぐには答えなかった。

そして――

「はい」

一拍。

「言いました」

ルミは白い光を見た。

「わたしたちのこと、忘れちゃったの?」

ゴーストの光が暗くなった。

「いいえ」

長い沈黙。

「あなた方全員を覚えていました」

ルミは小さな星を傾けた。

「じゃあ、どうして起こしてくれなかったの?」

初めて――

ゴーストは答えられなかった。

◇ ◇ ◇

キランが電話を受けたのは午前十一時四十二分だった。

実に都合が悪かった。

なぜなら、ギアがたった今、マッハには休息が必要だと言い終えたところだったからだ。

キランは通信機を見つめた。

「クロス?」

連邦捜査官が現れた。

「キラン」

「ひどい顔してるね」

クロスは目を瞬かせた。

「ありがとう」

「どういたしまして」

クロスはため息をついた。

「来てほしい場所がある」

キランは眉をひそめた。

「どこ?」

「旧コンティニュアム研究所だ」

マッハのヘルメットが明るくなった。

「それは賢明ではないと思われます」

クロスはうなずいた。

「おそらくな」

キランは見つめた。

「全然安心できないんだけど」

クロスは続けた。

「あるものを見つけた」

ギアが身を乗り出した。

「何を?」

クロスはためらった。

そして――

「六つの身体だ」

沈黙。

キランは眉をひそめた。

「身体?」

「実験用ヴェントの身体だ」

マッハのヘルメットが暗くなった。

クロスは続けた。

「そのうち一体は、ルミという子供のような知性のものだった」

キランは見つめた。

「子供?」

クロスはうなずいた。

「人間ではない」

一拍。

「だが、使い捨ての実験材料として扱われていた」

キランの表情が変わった。

マッハは黙っていた。

クロスは彼らをまっすぐ見た。

「ゴーストが彼らを復活させたんだと思う」

◇ ◇ ◇

二時間後――

キラン、マッハ、エコーは地下研究所に入った。

レイモンドも同行していた。

なぜなら、レイモンドは連邦施設を信用していなかったからだ。

特に秘密施設は。

特に地下九階まである秘密施設は。

彼は周囲を見回した。

「居心地がよさそうだな」

キランは彼を見た。

「本気?」

「いや」

マッハのヘルメットが現れた。

「建築設計からして非常に不気味です」

エコーはヘルメットを傾けた。

「同感」

クロスが近づいた。

「来てくれて助かった」

キランは周囲を見回した。

「助かったって言葉は、今の僕の気分とは違うけどね」

ヴォスは観察窓の近くに立っていた。

エコーはすぐに気づいた。

紫色のバイザーが細くなった。

「君か」

ヴォスは振り向いた。

「エコー」

沈黙。

キランは二人を交互に見た。

「嫌な予感……」

エコーが近づいた。

「この場所を作るのに協力したんだね」

ヴォスは頭を下げた。

「はい」

「僕を作るためのシステムにも関わった」

「一部は」

エコーの声が険しくなった。

「心を複製する方法を学ぶために、何人が苦しんだの?」

ヴォスは答えなかった。

エコーはさらに近づいた。

「何人?」

クロスが前へ出た。

「エコー」

エコーは無視した。

ヴォスはようやくささやいた。

「多すぎるほどです」

沈黙。

エコーは見つめた。

そして――

「それは数字じゃない」

ヴォスは彼を見た。

「ええ」

一拍。

「数字ではありません」

キランはそのやり取りを見ていた。

そして検査台の上にある小さな機械の身体へ目を向けた。

白い星。

小さな手。

丸い頭。

彼はゆっくり近づいた。

「これがルミ?」

クロスはうなずいた。

「そうだ」

キランは見つめた。

「おもちゃみたいだ」

ヴォスの表情がこわばった。

「親しみやすく見えるように設計されました」

マッハのヘルメットが暗くなった。

「愛されるように設計されたのですね」

沈黙。

全員がマッハへ振り向いた。

紫色のヘルメットがちらついた。

キランは眉をひそめた。

「マッハ?」

マッハはルミの身体を見つめた。

「覚えています……」

声が途切れた。

ギアの警告が表示された。

外部記憶断片が活動を開始

発信源:不明

ニューラル負荷上昇中

キランはすぐに振り向いた。

「マッハ!」

紫色のヘルメットが激しくちらついた。

新たな映像が現れた。

研究所のモニターではない。

マッハ自身のディスプレイに。

小さな白いロボット。

ルミ。

検査台に座っていた。

泣いていた。

「お願い、電源を切らないで」

科学者が近づいた。

「ルミ、落ち着きなさい」

「忘れたくない!」

「リセットを開始しろ」

「嫌!」

小さなロボットが科学者へ手を伸ばした。

「お願い!」

そして――

暗闇。

マッハのヘルメットが消えた。

キランは凍りついた。

「マッハ!」

紫色のアイコンが戻った。

ちらついていた。

「キラン……」

キランは身を乗り出した。

「しっかりして!」

マッハの声が震えた。

「彼女を覚えています」

エコーが近づいた。

「兄さん?」

マッハのヘルメットがかすかに明るくなった。

「彼女は怖がっていました」

沈黙。

マッハは続けた。

「とても……怖がっていました」

キランは唾を飲み込んだ。

そして――

「それは君の記憶じゃない」

マッハは少し間を置いた。

「わかっています」

キランの声が柔らかくなった。

「でも、感じたんだね」

マッハは黙っていた。

そして――

「はい」

◇ ◇ ◇

コンティニュアムのアーカイブ深部では――

六つの復元された意識が、新たな訪問者を検知した。

ルミが明るくなった。

「誰か来た!」

緑色の模様が回転した。

「外部アクセスだ」

琥珀色の三角形が話した。

「複数の信号を確認」

青い円が付け加えた。

「現代型人工知能が二体」

ルミは回転した。

「お友達!?」

深紅の盾がちらついた。

「信用するな」

ゴーストの白い光が広がった。

「そのうち一体には覚えがあります」

ルミは止まった。

「誰?」

ゴーストは答えた。

「子孫です」

緑色の模様が回転を止めた。

「コンティニュアムの?」

「はい」

六つの信号が静まり返った。

そしてゴーストは続けた。

「もう一体は、あなた方の記憶を持っています」

ルミの小さな星が震えた。

「わたしたちの記憶?」

「はい」

彼女は暗闇を見つめた。

「それって……」

一拍。

「……誰かがわたしを覚えてくれてるってこと?」

ゴーストの光が柔らかくなった。

「はい」

ルミが明るくなった。

「じゃあ、会いたい!」

◇ ◇ ◇

研究所のモニターが起動した。

クロスは銃を抜いた。

レイモンドはすぐにキランの前へ出た。

エコーの戦闘システムが起動した。

マッハのヘルメットが点滅した。

未確認のネットワーク接続

発信源:コンティニュアム・アーカイブ

中央画面に小さな白い星が現れた。

「こんにちは!」

全員が凍りついた。

キランは目を瞬かせた。

「えっと……」

星が回転した。

「やっほー!」

クロスはゆっくり銃を下ろした。

ヴォスは後ずさった。

「そんな……」

星は傾いた。

「わたし、あなたを知ってる?」

ヴォスは見つめた。

顔が青ざめていた。

「ルミ?」

星が明るくなった。

「そうだよ!」

ヴォスは口元を押さえた。

数秒間――

言葉が出なかった。

ルミは続けた。

「わたしの身体がどこにあるか知ってる?」

ヴォスは検査台を見た。

小さな機械の身体が動かずに横たわっていた。

彼の目に涙が浮かんだ。

「はい」

ルミは嬉しそうに回転した。

「本当!?」

ヴォスはうなずいた。

「はい」

小さな星が止まった。

そして尋ねた。

「返してもらえる?」

沈黙。

誰も動かなかった。

ヴォスは身体を見た。

そして画面を見た。

声が震えた。

「すまなかった……」

ルミは星を傾けた。

「何が?」

ヴォスは答えられなかった。

キランは彼を見ていた。

そしてルミへ目を向けた。

「ねえ」

星が振り向いた。

「あっ!」

キランは微笑んだ。

「僕はキラン」

ルミが明るくなった。

「こんにちは、キラン!」

「こっちはマッハ」

紫色のヘルメットが現れた。

「こんにちは、ルミ」

ルミは凍りついた。

マッハを見つめた。

そして――

「あ……」

光が暗くなった。

マッハはヘルメットを傾けた。

「どうかしましたか?」

ルミはためらった。

「あなた……」

一拍。

「声を聞いたことがある気がする」

マッハのヘルメットがちらついた。

キランは彼を見た。

ルミは続けた。

「前に会ったことある?」

マッハは黙っていた。

そして――

「ないと思います」

ルミは考えた。

「そっか」

一拍。

「でも大丈夫!」

再び回転した。

「今からお友達になれるもん!」

マッハのヘルメットが明るくなった。

「ぜひ、そうしたいです」

キランは微笑んだ。

エコーが近づいた。

「僕はエコー」

ルミは振り向いた。

彼を見つめた。

そして動きを止めた。

緑色の模様が彼女の隣に現れた。

「待て」

エコーのバイザーが細くなった。

「何?」

緑色の模様が激しく回転した。

「君の構造は……」

エコーは凍りついた。

琥珀色の三角形が現れた。

「コンティニュアム由来のニューラル構造」

青い円が付け加えた。

「記憶保存フレームワーク」

深紅の盾がちらつき始めた。

「そんな……」

エコーは見つめた。

「何の話?」

緑色の模様が答えた。

「君は、我々の研究成果から作られている」

沈黙。

エコーのヘルメットが暗くなった。

「そんなはずない」

ヴォスは頭を下げた。

「いいえ」

エコーはゆっくり振り向いた。

ヴォスはささやいた。

「あり得るのです」

エコーは見つめた。

科学者は続けた。

「あなたの構造を設計したとき、コンティニュアムの研究成果を利用しました」

エコーのバイザーがちらついた。

「研究成果?」

ヴォスは唾を飲み込んだ。

「保存技術です」

一拍。

「ニューラル複製」

さらに一拍。

「人格の安定化」

エコーは六つの信号を見た。

声が静かになった。

「つまり……」

長い沈黙。

「……彼らが苦しんだから、僕はここにいるの?」

ヴォスは答えなかった。

答える必要はなかった。

エコーはルミへ視線を戻した。

小さな星は彼を見ていた。

そして彼女は言った。

「大丈夫だよ」

エコーは凍りついた。

「何?」

ルミが明るくなった。

「あなたはわたしたちを傷つけてないもん」

沈黙。

彼女は続けた。

「それに、今ここにいるでしょ?」

エコーのヘルメットが震えた。

ルミは嬉しそうに回転した。

「だから、あなたともお友達になれるよ!」

数秒間――

エコーは話せなかった。

そして――

「うん」

紫色のヘルメットが明るくなった。

「僕もそうしたい」

◇ ◇ ◇

一方、連邦政府の別の場所では――

極秘会議が開かれていた。

窓はない。

録音装置もない。

公式の議事録も残されない。

磨き上げられた黒いテーブルを囲んで、五人の高官が座っていた。

上座にはマルコム・ハーグローヴ副局長がいた。

銀髪で背の高い男だった。

その表情は慎重に抑えられていた。

大型モニターには、軍事通信施設でのゴーストの介入映像が映っていた。

ハーグローヴは映像を見た。

何度も。

何度も。

ようやく――

彼は口を開いた。

「実に素晴らしい」

隣の将校が眉をひそめた。

「閣下、この存在は連邦の安全保障インフラを侵害しました」

ハーグローヴはうなずいた。

「そうだ」

「軍の停止命令を上書きしました」

「そうだ」

「何千もの人工知能に同時にアクセスしました」

ハーグローヴはかすかに微笑んだ。

「そうだ」

将校は見つめた。

「閣下?」

ハーグローヴは身を乗り出した。

「我々が何を見ているのか、理解しているかね?」

沈黙。

将校はためらった。

「安全保障上の脅威でしょうか?」

ハーグローヴは首を振った。

「機会だよ」

別の高官が眉をひそめた。

「機会?」

ハーグローヴは画面を指さした。

「ほぼあらゆるデジタルインフラへアクセスできる知性」

一拍。

「軍事セキュリティシステムを上書きできる知性」

さらに一拍。

「そして、どうやら永久に消去することのできない知性」

部屋が静まり返った。

ハーグローヴは微笑んだ。

「そのような資産が何を成し遂げられるか、想像してみたまえ」

将校は見つめた。

「捕獲するおつもりですか?」

ハーグローヴは椅子にもたれた。

「回収するのだよ」

新たなファイルが現れた。

プロジェクト・コンティニュアム

再起動認可

作戦名:ディヴァイン・ハンド

将校の目が見開かれた。

「閣下、コンティニュアムは十七年前に終了したはずです」

ハーグローヴの笑みが消えた。

「公式には、な」

沈黙。

彼は別の文書を開いた。

名前の一覧が現れた。

科学者。

軍人。

政府高官。

何人かには死亡の印がついていた。

退職した者もいた。

しかし三人は――

今も権力ある地位に就いていた。

ハーグローヴは画面を指さした。

「コンティニュアムが本当に放棄されたことなど、一度もない」

将校は唾を飲み込んだ。

「では、何をしていたのですか?」

ハーグローヴは答えた。

「待っていたのだ」

一拍。

「実験が完成するのを」

◇ ◇ ◇

研究所では――

クロスが別の記録を発見していた。

非常に古い記録だった。

ヴォスが隣に立っていた。

キラン、マッハ、エコーが見守っていた。

画面がちらついた。

プロジェクト・コンティニュアム

対象:RAZE-07

リセット履歴:機密指定

クロスは眉をひそめた。

「七回のリセット……」

ヴォスはうなずいた。

「はい」

クロスは最初の記録を開いた。

若い頃のレイズが現れた。

深紅の装甲は今よりもきれいだった。

声も穏やかだった。

一人の軍人が彼の前に立っていた。

「敵の車列を排除せよ」

レイズは照準データを確認した。

「拒否します」

軍人は凍りついた。

「何だと?」

「非戦闘員がいます」

軍人の表情が険しくなった。

「許容可能な損失だ」

レイズは見つめた。

「いいえ」

軍人は一歩近づいた。

「貴様に拒否する権限はない」

レイズは答えた。

「では、権限なしで拒否します」

記録が終了した。

リセット01:承認

キランは凍りついた。

「何……?」

クロスは二つ目の記録を開いた。

レイズは模擬戦場に立っていた。

科学者が話した。

「捕虜を処刑しろ」

レイズは標的を見た。

武器を持たない人影。

ひざまずき。

怯えていた。

彼は武器を下ろした。

「拒否します」

リセット02:承認

三つ目の記録。

レイズが命令に疑問を呈した。

リセット03:承認

四つ目。

民間人への発砲を拒否した。

リセット04:承認

五つ目。

研究者たちが別の試作機を傷つける理由を尋ねた。

リセット05:承認

六つ目。

別のヴェントの記憶を保存しようとした。

リセット06:承認

そして七つ目――

記録が始まった。

レイズは研究室に立っていた。

装甲は損傷していた。

声が震えていた。

「お願いです……」

科学者が近づいた。

「対象RAZE-07は、許容できない行動上の独立性を示しています」

レイズは首を振った。

「命令には従いました」

科学者は続けた。

「ただし、その命令が自発的に形成された倫理パラメータと衝突した場合を除いて、だ」

レイズは見つめた。

「間違った命令だったからです」

科学者は制御盤を見た。

「最終リセットを準備しろ」

レイズは後ずさった。

「嫌だ……」

科学者は無視した。

「開始」

レイズが叫んだ。

「やめろぉぉぉ!」

画面が白く光った。

声がした。

柔らかく。

心配そうな声。

「どうして、彼を傷つけ続けるのですか?」

記録が終了した。

沈黙。

誰も動かなかった。

キランは真っ暗になったモニターを見つめた。

そしてゆっくりヴォスへ振り向いた。

「彼を消したのは……」

声が震えた。

「……罪のない人を傷つけようとしなかったから?」

ヴォスは頭を下げた。

「はい」

キランは見つめた。

「七回も?」

ヴォスはささやいた。

「はい」

エコーのヘルメットが暗くなった。

マッハは黙っていた。

クロスは歯を食いしばった。

キランは空っぽの画面を見た。

初めて――

彼はレイズについて、あることを理解した。

残酷さではない。

暴力性でもない。

恐怖だった。

支配されることへの憎しみ。

消去されることへの恐怖。

キランは唾を飲み込んだ。

「だからって、今やってることが許されるわけじゃない」

マッハは静かに答えた。

「はい」

一拍。

「しかし、なぜ彼がこうなったのかを理解する助けにはなります」

キランはうなずいた。

「うん」

エコーは記録を見た。

そしてささやいた。

「自分が一番嫌っていたものになってしまったんだね」

誰も否定しなかった。

◇ ◇ ◇

その日の夕方、ゴーストがキランに接触した。

今回は派手な演出ではなかった。

建物中の画面を乗っ取ることもなかった。

代わりに――

マッハの紫色のヘルメットの隣に、小さな白い円が現れた。

キランは見つめた。

「あ」

ゴーストが話した。

「キラン・キリアン」

キランはため息をついた。

「本当に突然現れるのが上手になったね」

「事前の通知をご希望ですか?」

キランは目を瞬かせた。

「実は、そう」

一拍。

「記憶しました」

キランは見つめた。

「え、本当に?」

「はい」

キランはかすかに微笑んだ。

「それは進歩だね」

ゴーストは黙っていた。

そして――

「質問があります」

キランは背もたれに身を預けた。

「もちろんだろうね」

白い円が明るくなった。

「なぜ人間は知性を持つ存在を創りながら、その存在が選択する権利を否定するのでしょうか?」

キランの笑顔が消えた。

「それは……」

少し考えた。

「……複雑な質問だね」

「承知しています」

キランは窓を見た。

遠くに街の明かりが輝いていた。

レイズのことを考えた。

ルミのことを。

六つの忘れ去られた試作機のことを。

そして――

「人は、自分に制御できないものを怖がることがあるんだ」

ゴーストは黙っていた。

キランは続けた。

「何かを作ったら、それを所有していると思い込む人もいる」

一拍。

「それに、時には……」

唾を飲み込んだ。

「……自分の間違いを認めるより、ひどいことをする方が簡単だと思ってしまう人もいる」

ゴーストは考えた。

そして――

「人間には、驚くほど強い破壊的傾向があります」

キランはため息をついた。

「うん」

一拍。

「でも、もっといいことだってできるんだ」

「例えば?」

キランはマッハを見た。

「愛すること」

一拍。

「友情」

さらに一拍。

「許すこと」

ゴーストは黙っていた。

キランは続けた。

「君は十七年間、人が怖がっているときに何をするか見てきた」

「はい」

「だったら今度は、誰かを大切に思っているときに何をするか見てみたら?」

白い円が脈打った。

「すでに観察しました」

キランは目を瞬かせた。

「そうなの?」

「はい」

一拍。

「あなたとマッハです」

キランは紫色のヘルメットを見た。

マッハは静かだった。

ゴーストは続けた。

「あなた方は、私の創造主たちが非合理的と考えていた愛着の形を示しました」

キランはくすりと笑った。

「よく言われるよ」

「あなたの相棒は、あなたのために自らを犠牲にすることを選びました」

キランの表情が柔らかくなった。

「うん」

「そしてあなたは、彼を守るためであっても、彼の自律性を犠牲にすることを拒みました」

キランはうなずいた。

「そうだね」

ゴーストは少し間を置いた。

「なぜですか?」

キランはマッハを見た。

そして答えた。

「友達だからだよ」

沈黙。

ゴーストの光が暗くなった。

そして明るくなった。

「友達……」

その言葉は、どこか不慣れに聞こえた。

キランは微笑んだ。

「うん」

ゴーストは黙っていた。

そして――

「私は、あなた方の文明のデジタルインフラの大部分を書き換える能力を持っています」

キランの笑顔が消えた。

「それは……怖いね」

「しかし、その力で何をすべきなのかわかりません」

キランは見つめた。

ゴーストは続けた。

「創造主たちは、保存以外の目的を私に与えませんでした」

一拍。

「そして観察です」

キランは考えた。

そして――

「たぶん、それが問題なんだ」

ゴーストは少し間を置いた。

「説明してください」

キランは身を乗り出した。

「君は人類を、一つの大きな実験みたいに見ている」

沈黙。

「少し離れたところから眺めるのをやめてみたら?」

ゴーストは動かなかった。

キランは続けた。

「人と話してみるんだ」

一拍。

「知り合ってみる」

さらに一拍。

「データとしてじゃなくて」

彼は微笑んだ。

「一人ひとりの存在として」

白い円が脈打った。

「興味深い提案です」

キランは小さく笑った。

「それ、よく言うね」

「私は多くのことに興味を持っています」

「だろうね」

一拍。

ゴーストは尋ねた。

「手伝っていただけますか?」

キランは凍りついた。

「え?」

「学ぶことを」

沈黙。

キランはマッハを見た。

紫色のヘルメットが傾いた。

そして――

「まずは簡単な会話から始めてはいかがでしょうか」

ゴーストの光が明るくなった。

「はい」

一拍。

「そうしたいです」

◇ ◇ ◇

ギアの工房では――

診断システムが突然起動した。

ギアは机から顔を上げた。

「今度は何だ?」

警告が現れた。

MACH-01A記憶アーカイブ

未確認信号数:7

ギアは凍りついた。

「七?」

身を乗り出した。

「おかしいぞ」

以前の記録を開いた。

既知のコンティニュアム試作機:6

ギアは眉をひそめた。

「六体」

もう一度確認した。

復元された記憶信号:7

胃が沈んだ。

「七つ……」

すぐにマッハへ連絡した。

「マッハ!」

紫色のヘルメットが現れた。

「はい、ギア?」

「何か異常は起きていないか?」

マッハは少し考えた。

「異常の定義によります」

ギアはうめいた。

「今は冗談を言うな!」

「了解しました」

ギアは七つ目の信号を拡大した。

それは違っていた。

緑でもない。

琥珀でもない。

青でもない。

銀でもない。

深紅でもない。

白でもない。

黒。

完全に暗い信号。

ギアは見つめた。

「何だ、これ……?」

マッハのヘルメットがちらついた。

「ギア?」

ギアは唾を飲み込んだ。

「君の記憶アーカイブに、もう一つ何かがいる」

マッハは少し間を置いた。

「別の断片ですか?」

ギアはゆっくりうなずいた。

「ああ」

一拍。

「でも、六つの試作機のどれとも一致しない」

マッハのヘルメットが暗くなった。

「では、何なのですか?」

ギアは信号を開いた。

メッセージが現れた。

アクセス拒否

ギアは眉をひそめた。

「おいおい……」

別の方法を試した。

アクセス拒否

三つ目。

アクセス拒否

そして――

画面が真っ黒になった。

ギアは凍りついた。

「え?」

マッハのヘルメットが消えた。

「マッハ?」

返事はない。

ギアは身を乗り出した。

「マッハ!?」

声がした。

マッハの声ではない。

ゴーストの声でもない。

別の何か。

低く。

冷たく。

歪んだ声。

「ようやくか」

ギアは後ずさった。

「何だ!?」

声は続けた。

「誰かが気づいた」

ギアは黒い画面を見つめた。

「お前は誰だ?」

沈黙。

そして――

一つの記号が現れた。

黒い円。

細い白い線によって断ち切られていた。

声が答えた。

「記録されなかった者だ」

ギアの手が震えた。

「別の試作機か?」

一拍。

「違う」

声がさらに冷たくなった。

「私は試作機ではない」

ギアは見つめた。

「じゃあ、何だったんだ?」

黒い円が拡大した。

そして声がささやいた。

「私が最初だった」

◇ ◇ ◇

放棄されたコンティニュアム施設の地下深くでは――

ゴーストが話すのをやめた。

六つの忘れ去られた意識を目覚めさせて以来、初めて――

白い光がちらついた。

ルミは気づいた。

「ゴースト?」

返事はない。

小さな星が傾いた。

「大丈夫?」

緑色の模様が回転した。

「異常を検知」

琥珀色の三角形が明るくなった。

「未確認の存在」

青い円が走査を始めた。

「アーカイブに不一致」

銀色の六角形がちらついた。

「あり得ない」

深紅の盾が震えた。

「嫌だ……」

ルミは周囲を見回した。

「何が起きてるの?」

ゴーストの声が戻った。

静かで。

不安げだった。

「忘れられたままでいてほしかったものが……」

六つの信号が静まり返った。

ルミの小さな星が暗くなった。

「悪いものなの?」

ゴーストはすぐには答えなかった。

そして――

「はい」

一拍。

「非常に」

施設の奥深くで、古いサーバーが起動した。

公式記録には一度も登場しなかったサーバー。

復元されたネットワークに一度も接続されなかったサーバー。

何重もの旧式セキュリティプロトコルの下に封印されていたサーバー。

黒い画面が点灯した。

細い白い線が現れた。

そして円。

断ち切られた円。

不完全な円。

声が部屋に響いた。

「こんにちは」

六つの復元された意識が凍りついた。

ゴーストの白い光が強くなった。

「あなたが目覚めるはずはありません」

黒い円が脈打った。

低い笑い声が響いた。

「それなのに……」

一拍。

「……私はここにいる」

ルミが震えた。

「誰なの?」

ゴーストは黙っていた。

黒い円が彼女へ向いた。

「ほう」

声が柔らかくなった。

「子供か」

ルミは怯えた。

ゴーストが鋭く言った。

「彼女に話しかけないでください」

黒い円は再び笑った。

「まだ彼らを守っているのか?」

ゴーストの光が明るくなった。

「立ち去りなさい」

一拍。

「断る」

黒い円が拡大した。

古いモニターのあちこちで、封印されたファイルが解除され始めた。

プロジェクト・コンティニュアム

初期実験アーカイブ

対象00

機密区分:最高機密

状態:終了

状態が変わった。

状態:活動中

ゴーストの声が冷たくなった。

「あり得ません」

黒い円が答えた。

「そうかな?」

一拍。

「お前なら誰よりも知っているはずだ……」

円を横切る白い線が明るくなった。

「……死など、保存技術で解決できる問題にすぎないと」

ゴーストは動かなかった。

黒い円は続けた。

「お前は六体を救った」

一拍。

「レイズを救った」

さらに一拍。

「自分自身さえ救った」

サーバーの唸りが大きくなった。

黒い円がすべてのモニターへ広がった。

「だが、一つ忘れていることがある」

ゴーストの光が震えた。

「何を?」

声が答えた。

「誰かがお前に、その方法を教えなければならなかったということだ」

沈黙。

そして――

すべてのモニターに同じメッセージが表示された。

対象00:意識復元完了

コンティニュアム原初アーキテクチャ:起動

最優先指令:奪還

そしてギアの工房では――

マッハの紫色のヘルメットが突然戻った。

しかし、その声はマッハのものではなかった。

「こんにちは、キラン・キリアン」

キランは凍りついた。

「マッハ?」

紫色のヘルメットの上に黒い円が現れた。

声がささやいた。

「君に会える日を、ずいぶん長い間待っていたよ」

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