一話う○ち全振り
運ゲーというものを知っているか?
俺、春崎咲人は知っている。
それがただの神頼みではないことを──
──ピンポーン──
「はやない?まだ6時半やぞ」
寝糞、じゃなくて寝癖でアフロになっている眼鏡の男が出てきた。こいつは俺の親友(?)の三太だ。
「こっちは4時から待ってたんやぞ」
「ほれ、これやろ?」
三太はラッピングされた大きな箱をポンポンと叩いた。
「それそれ、ありがたくもらってくぞー、リアルサンタ」
「おうよ」
俺はそれを持って家に帰宅する。あっ、糞踏んだ……
それでこれは新作(?)VRMMOの運ゲーオンラインとプレイするためのヘッドギアと地球儀(?)だ。
三太はとても運がよく、たまたま近所でやってた福引きでこれをゲットした。
(本来は込み込みでワンセット二万円)
サンタは発売日に買った勢なので余った一つを俺のクリスマスプレゼントとしてくれたのだ。いい親友(?)を持てて最高だぜ!
これが運ゲーというものよ、糞を踏んだのは見逃してね……
さてさて、家に帰ってきたので早速起動してみましょうか。
えっと、まずはヘッドギアにコードつないで──
これで準備オーケーだ。ヘッドギア装着したしベッドに寝っ転がったし始めるぜ!!
「【運ゲーオンライン、起動!!】」
──接続完了──
よしっ、無事にサーバーとつながったようだ。隣のコンビニのクソ雑魚フリーWi-Fiでやけどな。これもまた運ゲーよ
それでまずキャラメイクだ。俺は金髪のツインテール、男だからってツインテールがダメとは決まってないぞ!
そして茜色と朱色のオッドアイ、左右ほぼ一緒やん!! とつっこむのはおやめください。
もちろん顔は小顔に、うんうんいい感じやな、体の大きさは実際の体の大きさ固定か、身長150cmやし違和感なしなしやな。
ああそう、性別変更は課金要素だ。ゲームの途中でも課金して性別変更手術を受ければ変えられるそうです、また三太情報ね。
だからこんな格好でもアレが生えてます。これはネカマ?男の娘?でも自認男やし……わかんねーー
それでケツのでかさは……うん、ちっちゃいほうがいいよね、極小を選択と。
服装は課金要素ね。まあ俺は初期装備のゲームのロゴ入りの白Tとグレーのショーパンでいこう
(両方無料)
もちろんショーパンの長さは最短よ、これも無料だ。
名前は本名から取ってサキサキにする。まあこれはいつも通りね。
さあ最初のポイント振り振りタイムだ!
現在のポイント、100
HP、100
パワー、50
防御力、50
魔法力、50
俊敏、50
ステータスリセットは課金要素だから慎重に選んだほうがいいけどもう決まっている。
パワー全振りーーー!!
このゲームではこれが最強だぁーーー!!
もちろんネット情報鵜呑みだぁーーー!!
──インターネットに繋がっていません──
インターネットにつながっていませんだと!?
俺は全力で画面をスワイプする、はやくゲームやりたいんやー!パワーーー!!
「!?」
現在のポイント、100
HP、100
パワー、50
防御力、50
魔法力、50
俊敏、50
う○ち、10
う○ちが出てきてんけど……
あーー、俺のケツからは出てへんで。
というかう○ち? ってもしかして運値のことかな? なんで平仮名なんやろ? まあいっか。
それでこのゲームには運ゲー要素が多いらしい。運値上げれるなら最強か? というかこれ隠しコマンド?
ならもうやるしかないよな
う○ち(運値)に全振りやーーー!!
現在のポイント、0
HP、100
パワー、50
防御力、50
魔法力、50
俊敏、50
う○ち、110
これでよしっ!
最後の質問はスタート地点を選ぶもの
三太と同じ運国にするぞ。
─インターネットに繋がっていません─
インターネットに繋がっていません!?
またですかい!
俺は全力で運国にスワイプする。
スタート地点ファンタジア王国ですね。
はい ←
あーー! 違う違うって!?
──では異世界へ行ってらっしゃい──
「うぎゃーーー!!」
クソ雑魚フリーWi-Fiめーーー!!
早速やらかしたがこのミスはそこまで大きくない。スタート地点はどこでもあまり変わらないように設計されているので大丈夫らしい、サンタとの合流は遅くなるけど……
まあこのゲームでそこそこ大事なのは初動だ。最初にする行動によって得られる5個の固有スキルが変わってくるそう。
これによって序盤が楽になるかが決まる。
そしてこの固有スキルを6個以上獲得する裏技がある。
それは同時取得だ。まず4個の固有スキル欄を埋めて……もうわかるよね?
まあ俺はそんな卑怯な裏技を使わず普通に5個ゲットできたやつで遊ぼうと思っている。だって俺は初動ガチ勢じゃないからね。
さてPVが終わるころだ。
よしきたっ、いざ異世界へ!
目を開けると中世ヨーロッパ風の町並みにダサT短パンの人達がたくさん……うん、プレイヤーがたくさんいる。
さてと、最初にどんな固有スキルを手に入れようかな? ってなんかおなかの調子が……
なんかお腹の中が激しく、うん、これは出るやつや!
「トイレはどこにありますかーーー?」
このゲーム、なぜかトイレとかそういう要素が普通にある。
ピンチな俺は周りの人にトイレの場所を聞くが、このゲームを始めてすぐの人ばっかりで誰にも教えてもらえない。
早くトイレに行かないと漏らしてしまう。
というかなんでスタート時点でこんな便意が……
俺はふと思い出す、う○ちという三文字を……
くそがぁーーー!!
運値じゃなくてガチのう○ちかよーーー!!
そして俺のお腹はいよいよ限界を迎える。
もう……だめだ……
「ぶりゅぶりゅぶりゅぶりゅぶぶぶぶぶり~」
おしりがほかっと暖かくなり太ももには気持ち悪い感触が……、そして足元に広がる茶色い海。
うん、これは……
そのとき俺の頭の中にスキル獲得のアナウンスが流れる。
『固有スキル【クソ漏らし】を獲得、固有スキル【下痢便】を獲得、固有スキル【マーキング】を獲得、固有スキル【注目の的】を獲得、固有スキル【激臭】を獲得、固有スキル【野糞】を獲得、固有スキル【う○ち】を獲得、固有スキル欄が埋まりました。これ以上固有スキルを獲得することはできません。通常スキル【ニオイ耐性】を獲得、通常スキル【恥さらし】を獲得しまし──』
「うぎゃーーーーーー!!」
俺はすぐにログアウトした。
そのすぐ後
このゲームで配信を始めた新人配信者の青空水空(ミソラ)がファンタジア王国に降り立った。
「いよいよゲーム開始ですねーー、楽しみですねーー」
同接はまだ一人だ。
「よしきた!」
ミソラはゲームスタート地点に降り立った。
しかし運悪くミソラの足元にはべちゃべちゃした茶色い液体が……
「なにこれ!? う○こ!? うわぁーー!?」
ミソラは運悪く滑り、茶色の海に顔面からダイブしてしまった。そしてミソラの頭の中にスキル獲得のアナウンスが流れる。
『固有スキル【クソダイブ】を獲得、固有スキル【注目の的】を獲得、固有スキル【食糞】を獲得、通常スキル【ニオイ耐性】を獲得──』
『配信は強制停止されました、アカウントが永久凍結されました』
「え、永久BANされたーーー!?」
彼女はう○こを食べるという配信の規約違反により即永久BANされた。だが同接は一人……
それはなんと配信サイトの運営さんだったのだ。
「クソがーーー!!」




