あ、おかえりなさい。…なんだって?
すっかり空となった鍋を見て、獣人の胃袋凄すぎん?ってなってる私です。
うーん、私的に2〜3日は持つ量だったんだけどな? ユーリや獣人に料理を振る舞う際は結構な食材が必要なのね。うん、理解した!
満足したのか大きな欠伸を繰り返すユーリに、思わず目を瞬かせる。満腹になったからというより、やっぱり疲れも溜まってるんじゃないのかなぁ。最初に会った時も無理矢理連れて来られてたし、ちゃんとベッドに横になって休めてるのか……。
手に持ったお茶を冷ましながら、ぼんやりとユーリを見続けているとユーリとパチリと目が合う。
やっべ、ガン見し過ぎてた。慌てて視線を外すも、ユーリはそれを見逃さず疑問を口にする。
「何だァ?」
「えっ、いや、ただ……ユーリはこれからどうするのかなって思って。仕事場に戻るの? それとも、ウィルさん捜し?」
「あーー……」
ユーリはガリガリと頭を搔くと、腕を組み息を吐いた。
「どうすっかねェ。ウィリアムに予定開けとけって言われてたからよ、基本フリーなんだわ」
「そうなの?」
「おう。だから、特に急ぐ事もねェよ。だからこうやって、のんびりしてるんだしなァ」
ユーリからしたら小さく見える、カップに入れられたお茶を勢い良く飲み干す。再び漏れた息には諦めが滲んでいた。
「まァ、何時もの事だからな。アイツに振り回されんのが常だから、何処で何してようと関係ねェんだよ」
確かに、ウィリアムは風の能力者だから一度繋がった人物であれば、風を頼りに一瞬で辿り着く事が出来る。
相棒契約を交わした私も勿論、繋がりはあって。だからこそ、前回の魔鉱石の騒動の後片付けも迅速に出来た訳だしね。
ユーリはカップを机に置くと、鼻を引く付かせ何度か片耳をパタパタと動かしている。
んん? 何をしているのだろうか?
「噂をすれば、だ。来るぞ」
「え、何がーー」
「呼んだ?」
「ひょわぁぁぁ!?」
何の前触れもなく、ひょっこり小窓から顔を出したウィリアムに私は上手く反応が出来ず、甲高い声と共に椅子から転げ落ちた。
ふわふわのマットに落ちたようで、身体に痛みは……うん? ちょっと待って。マットなんて此処に敷いてなかったような……。
衝撃に備えて閉じていた瞳を開けてみれば、そのもふもふは、ユーリの毛で。床に落ちる前にユーリの手に寄ってその身体に抱き止められていた。
あー、やっぱり気持ち良いな、このもふもふの毛並。筋肉が程良くあるけど、毛も邪魔せずに存在していて良し。
思わずもふりそうになる衝動をグッと抑え、私は身体を起こした。
「あ、ありがとう。助かった」
「いいって事よ。怪我はねェな?」
うん、と頷きを返せばユーリに頭をわしゃわしゃと撫でられた。嬉しいけど、ちょっと! 髪が乱れるぅ!
ユーリとちょっとした、じゃれ合いをしていたら何だかツキツキと背中に突き刺さる視線に気付く。振り返ればいつの間にか、家の中に入っていたウィリアムがいた。あっれ、何か小窓割れてんだけど? さっきの倒れた振動の所為?
そして、私達を見るウィリアムの機嫌が頗る悪い。何で?
溜息を吐くユーリに対し、私は緩く首を傾けた。
「……何、その顔」
「ッ、ずるい! ユーリ、お前、俺がいない間にめっちゃ仲良くなってるし!? リティシア! 俺の相棒なら、先に俺との壁を取っ払うべきだろ!」
うっわ、また面倒臭い……げふん、扱いにくい相棒の悪い癖が出てきたよ。ユーリに目を向ければ、首を横に振られた。これは私が対処しなきゃいけないらしい。えー、嫌だなぁ……。




