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とある昼下がり、来客があった












「ーーよし、これで最後っと!」


ドサリと数冊の本を床に下ろす。大量に積まれていた本を移動させたオレはぐーっと背伸びをした。

やっほやっほ! リティシアだよ〜!

短期間留守にするつもりが、後処理で長い間中央大陸にいたからね。帰ってきたら、見事に埃っぽくなってたから今、全力で掃除中なのだ!


魔法使えばパパッと終わるじゃん!とか思うだろうけど、何かこう……手を伸ばして1つ1つ片付けていくのが、しっくりくるんだよなあ。必要なものとそうでないものに分けて、埃を落として、雑巾絞って……って、面倒臭い事が多いけど、家のメンテナンスも目視で出来るから良い事ではある。


床が軋んでるの発見したし、窓枠や本棚が壊れてたのも見つけたし。……兄が隠してた、何かヤバい製作品見つけたのは不可抗力だったけど。


本棚から取り出した、この本達を今から虫干ししなければ。魔法で加工すれば楽なんだろうけど、まあ念には念を入れて、虫干ししてからやっちゃうのさ。

この世界では本は結構貴重だからね。ほら、最近まで戦ばっかしてたから、昔の文献が非常に少ないんだよねえ。当時の日記帳でもレアもの扱いだから、その貴重さが分かるよね。


「……ーい、」


「ん?」


「おーい、嬢ちゃん。いるかー?」


おや、この何処か身体に響く渋い声は……!

奥の角部屋から、急いで玄関に向かってみると其処には巨大なもふもふ……げふん、獣人のユーリがいる。ふわさと揺れる尻尾が、時折揺れていることから少し苛立っている事を察した。


これは何かあったな……。


軽く開いていた玄関を更に開き、オレはユーリを見上げた。


「こんにちは。どうしました?」


「おお、嬢ちゃん。すまねェな、忙しいところ」


「いえいえ、あらかた片付いていたので問題ないですよ。で、」


何かありました?と首を傾げると、頭をガリガリ掻きながら、ユーリは口を開いた。


「ウィリアムを知らねェか? 呼び出された割に家はもぬけの殻でよォ。机の上に、ココの場所が記してあったから、集合場所かと思ったんだが……違ェようだなァ」


あの突風(ウィルさん)なら、兄とスライム達を連れ立ってどっか行っちゃいましたよ。たぶん、また無毒化に関連する何かじゃないですかね……」


バロスの事件というか、意思を持つ魔鉱石に関する事件は政府はかなり重く見てるみたいで、似たような被害がないか調査する事にしたらしい。だけどさ、まあほら、戦後で荒廃した地域も多いし何より人手が足りないとかで、世界領主自ら世界を走り回っているんだって。


ユーリを呼んだのも、たぶんその一環なんだろうけど、呼んだ本人がいないというのは駄目なんじゃないかなあ。


「……ったく、アイツはよ……」


「何時もこうなんです?」


「まァな。だが……、今回はいつも以上に飛び回ってる気がするなァ。何度も確認する必要はねェと思うんだが、アイツは掴み所のない気紛れな風だからよ」


苛立ちながらも、その多忙さを理解をしてはいるようでユーリの表情は何処か柔らかい。長年の付き合いだからこそだろうな。残念ながらオレは、急にやってきて勝手に兄とスライム達を連れ去ったウィリアムを、仕方ないねと許す優しさは持っていない。


ちゃんとアポを取ってから来いやぁ!!

お陰で掃除が明日までかかりそうなんだからね!!






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