はえぇ…スライムって凄いんだな…?
やっほい、リティシアだよ! 探知専用のミニスライムかと思っていたのに、実はリィタに次ぐやんちゃなスライムのロニが、私のポーチに紛れ込んでいた! そして、そのロニがヤバい魔力を放つ魔鉱石をぱっくん、と一飲み……、いや、取り込んじゃったんだよね。ちょいと、これは一体どうしたら良いのやら……。現実逃避しちゃっても良いかなぁ。
たぶん、時間としては数分も経っていない。
ハッと最初に我に返ったのは兄、ギルノールだった。魔鉱石を飲み込んだロニを鷲掴むと、その柔らかいぷるぷるの身体を、勢い良く揺さぶり始める。
「ロニ、ロニ! それ、ばっちぃから、ペってしなさい。ペって!! ほら、ひっひっふー!!」
「兄さん、それ違う。お産の時にするやつ!」
「あ、そうか! じゃあ、ホーホホ、ホーホッホー」
「それ、昔住んでた田舎でよく耳にしてた野鳩の鳴き声じゃないかなぁ!?」
落ち着いてと兄の背中を軽く叩くけど、全然落ち着けてないな。むしろ悪化して兄まで震え出してんだけど? まあ、兄がこんな混乱状態になるのはよく分かる。えげつない異物を飲み込んだんだもんね。家族同然というか、兄が生み出した親みたいなモンだから、スライム達に対する愛情はそれはそれは深い。
私もどちらかと言えば、スライム達に育ててもらった方なので、スライム達が痛い目に合うのは嫌だ。何より今回ロニがあれを飲み込んだ原因は、油断した私にある。
だからこそ。
「……取り敢えず、思いっきり身体を揺さぶって、石を吐き出させりゃ良いんじゃねぇかァ?」
ぐだぐだと、あーでもないこーでもないと騒ぐ私と兄をちらりと見たユーリは、ロニをむんずと片手で掴むと、ぶんぶんと全力の腕力で揺さぶり始めた。
「えっ、」
「ちょ、あまりにも早いとロニが分裂しちゃう!!」
兄と2人、慌ててユーリの行動を止めようとするが、それよりも先にロニの身体に異変が生じる。一瞬発光したかと思えば、ぶるぶる震え出し口を大きく開いた。
『コレ、マッズイヨォォォ!!』
そうして、ペッと吐き出されたのは、先程丸呑みした魔鉱石。……ん? 魔鉱石だよね? 魔力反応何も感じないけど。
ロニの体内から吐き出されたので、魔鉱石に間違いはない。ないみたいだけど……
慌てて兄が拾い上げて調べてみれば、ただの石で何の脅威も感じないらしい。鉄の含んだ石になっていると呆然とする兄を横目に、私はロニに目を向けた。
ぷにぷにと身体を触れば気持ち良さそうに揺れるボディ。うん、何の影響も受けてないな。いつも通りのロニだわ。
しっかし、意味が分からん。あのやべえ魔力漏らしていた魔鉱石が、ロニ……スライムに飲み込まれただけで、ただの鉄鉱石になるの?? は??
スライムが飲み込ん……いや、取り込んだら、解毒されただの鉱石になるのかー。そっかー、すごーい。
「って、納得できる訳ないでしょうが!!」
様々な感情が混ざって、誰よりも叫んだ私は悪くないと思う。だってねえ、見てよ。兄もユーリも眉間に皺寄せて困惑してるもの。兄は頭抱えて、こんな風に育ててないのにぃぃ、と泣き始めちゃったじゃん。情緒不安定か?
誰かぁぁぁぁー! 専門的な分析と、分かりやすい状況説明をお願いしまぁぁぁす!!




