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魔鉱石をぶっ潰そう!なお、被害は周囲に出る予定です









「おーおー、結構奥まった場所にあるなァ」


「まあ……採掘場は山を削ったり、地下に坑道を掘ったりして資源取り出すとこだから。大体辺鄙な場所になるんだよねぇ」


悪態を吐きながら先頭を歩くユーリと兄の背中を見つめ、オレは小さく息を吐いた。


ん? 何処に向かってるのかって? 今、オレ達は屋敷から離れ、街の近郊にあるという採掘場に向かっている。サリエーゼ嬢に教えてもらった位置が正しければ、だけど。


ザックザックと様々な形の小石が転がる道を、一歩一歩踏み締めながら歩いていく。ふと顔を上げると、背丈程に伸びた茅草が目に入る。それが、この先の人の出入りが限定的であるを示唆していた。


人が歩ける最低限の整備しかされておらず、行く手を遮るように放置されている雑草。うーん、何かあるとしか思えない環境だよね。何より……


先程から、肌をチクチクと刺すような空気の流れがあるんだよね。これ間違いなく、魔鉱石の影響なんじゃない? 何ていうのかな……真夏の、炎天下の中を歩きながら直射日光浴びちゃって、肌が焼けた感じって言えば分かりやすいかな。地味にヒリヒリして痛いよね。それが、なんと肌を隠すように着ている服の上から感じるんだから、相当強い魔力が溢れてるんだと思う。


能力者ヴァリュアブルでさえ日焼けに似た痛みを感じるんだから、そりゃ耐性のない人間パフが無事でいられる訳ないよね。サリエーゼ嬢とリズを留守番させてて、ほんと良かった。スライム数匹も置いてきたから何かあっても、たぶん大丈夫でしょ。


腰に携えていたポーチに入れていたミニスライムへ思わず手を伸ばす。震えていない事からバロスがいない事は確定してる。してるんだろうけど、何か罠とかは沢山ありそう。


そんなオレの警戒を察したのかユーリは鼻を引くつかせ、周囲を警戒するように喉を鳴らした。


「臭うなァ……。悪意の詰まった気色悪い空気が」


「え、」


「やっぱりかぁぁぁ……」


思わず表情を引き攣らせるオレと肩を落とす兄。これでユーリが手を出さないという可能性はゼロになった。日頃から争事に向かう事が多いユーリが敏感に察した魔力。うん、碌なもんじゃないだろうな。


「魔鉱石もそこそこ知能はある、って事です?」


首を傾げながら尋ねれば、ユーリは犬歯を覗かせながらニヤリと笑みを浮かべた。


「あァ、知能がある分、分が悪いと直ぐに姿を消すだろうよ。だからなァ……」


「あっ! ちょ、ユーリ! まっ、」


「こうすんだよ!!」


兄の静止も虚しく、ユーリが振り上げた拳は近くの地盤に叩きつけられた。何とも形容し難い身体に響く重低音が響き、近場や山全体が揺れた


ちょ、ちょっと、獣人(シャト)だけの腕力だけで、これだけの規模の破壊になるの!? 他の要素入ってるよね? えっ、ない? 自前なの!? えっ、こわ……


あのうっとおしい程に刺さっていた空気の流れが消えた。衝撃により少し舞った土埃で咳き込んでしまうが、痛みは何処にもない。先程の一撃で魔鉱石の魔力の流れを断ち切ったという事だろうか。


動きやすくはなった。なったんだけども……


「……これ、地下にあった場合、坑道崩れて中に入れなくなってたりしてるんじゃ?」


…………。何とも言えない長い沈黙が辺りを包む。

暫くして。ぶわりと舞い上がった砂を払い落としたユーリは口を開いた。


「……ま、いいんじゃね。どっかに穴開ければ入れんだろ」


「よくねぇわ!! その揺れでまた崩れちゃうって! 頼むから安易に叩き壊すの止めろ!!」


「楽なのに?」


「楽なのは、お前だけぇ!! 後処理して苦労すんの僕らだからな!?」


屋敷での口論の第二ラウンドが始まったかのように響き渡る兄の声。ねえ、そんなに騒いで大丈夫? 魔鉱石に気付かれて次の手打たれちゃわないか?


にしても、派手に崩れたなぁと周囲を見渡してみる。山が崩れただけならまだしも、ほんとに坑道やられてたら、意味ないんだよあ。魔鉱石は生き埋めで良いけど、連れ去られた人間達を見捨てる訳にはいかないからね。


うーん、いちかばちかやってみるか。


時空魔法は範囲を決めて、時間を巻き戻す事も出来る。広範囲は経験があるが、狭い範囲、しかもピンポイントはなかなかに調整が難しくきちんと使ってみた事はなかったのだけど。


ぎゃいぎゃい騒ぐ2人を横目にオレは息を大きく吸った。よーし! リティシア、いっきまーす!!







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