ん?普通のスライムとは??
「……あれ、そういえばリィタがいないね?」
はむはむの刑に処す場合、いつも率先して飛び出して来るのに姿が見えない。必ず来るだろうと思っておやつも用意してたのになー。
あ、因みに私刑担当してくれたスライム達はウィリアムによって風で運ばれてきたんだよ。探知機能付のミニスライムだけじゃあ、はむはむは出来ないからね。
ウィリアムとは、ほら相棒契約してるから、意思疎通が簡単に出来るんだ。それを有効活用して勝手に帰った事も含めて愚痴を飛ばしたら、直ぐに手配してくれた。おおぅ、なかなかに有能。
でもあれは、自分に飛び火するのを恐れたからだと思うね。ま、あとで特大スライムをウィリアムにぶち撒けるのは確定してるんだけども。
ふははは、スライムの今後の活用も視野に入れて、味わってもらわないとねぇ。
ちょっとした悪戯を考えながら疑問を口にしてみれば、兄が服を着替えながら思い出したように手を叩いた。
「あ。そういえば、リィタと数匹のスライムにはウィルの下に行ってもらってるんだった。あの子達は人型になれるし、魔鉱石があった場合は防御力で盾ぐらいしてくれる筈だと思って」
「いつの間に……」
私がそう呟けば、前々にそうウィルと決めてたんだよね。何かあればリィタ達連れて行っていいよーって。
ああ、なるほど。だからスライム運搬も早かった訳か。ある程度のスライム達を連れて行ってるなら、此方についでに送るのなんて、楽だっただろう。でもどうせなら、リィタは此方に欲しかったかなー!
「リィタがいれば、お喋り出来たのにな」
「えっ、スライムって喋るものなんですか……?」
驚いた声を上げるサリエーゼ嬢に私は目を瞬かせる。うん? どうした?
サリエーゼ嬢の問いの意味がピンとこなかった私はリズとユーリに視線を向けた。
「私も、それらしい個体を見聞した事は、一度もないですね。というか、スライム見たのが今回がニ度目なので、詳細な知識がありません」
「まァ、普通は喋んねぇよなァ……。獣人から見ても、スライムは水辺にいる下位魔物なイメージがやっぱり強いからよ。嬢ちゃんのとこのスライムが特殊なんだと思うぞ」
「えぇーー……」
まさかの家のスライム、レアな個体だった。
生まれた時から見てたスライム達がまさかの亜種だったかぁ。あっ、そうだよね、あんな兄が作るものが普通のスライムなわけなかった。昔の趣味とかを未だに隠して作り続けているんだから、ちょっとしたヤバいものをスライムに投与してても、おかしくはない。
え、ちょっと、ほんとどんな過程で生まれたの。家のスライム達は。相棒の水の精霊だけの能力借りて生み出されたにしては知能が高すぎるよね?
胡乱げな表情を兄に向ければ、兄は困ったような表情を浮かべていた。
「僕もスライム達の進化は、よく分かってないんだよ。相棒を手に入れて、暫くしたらスライムが増殖してて。そして、いつの間にか……アレになってた」
うっそやろ。いや、進化の過程知らんのかい!!
私はてっきり、兄が試行錯誤で生み出した存在だとばっかり……。ユーリもそうだったようで、お前マジかよって顔してるじゃん。
ウィリアムは知って、るのかなぁ。いや、先ず兄が本当の事を言ってるかどうかは分からない。魔鉱石の事もあるのに、スライムについても不穏な事があるって分かっちゃったなあ。
最近、色々起き過ぎでしょ……
近くで身体を揺らし、ぷにょんと跳ねたスライムを抱き留めると、私は深々と息を吐いた。




