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おっさんというよりは、近所のお兄ちゃんっぽい



獣人さんとウィリアムの情報交換はなしあいは静かに続いていた。


「……成程な。あー、まあ、大体状況は分かった。つまりは採掘場をぶっ潰せば良い訳だな?」


『うん。やり方は君に任せるよ。木っ端微塵にしちゃってもいいけど、現物を回収するのも忘れずにね』


「一欠片でも残ってりゃ充分だろ。魔鉱石アレに自我がある時点で慈悲はねえよ」


うん? 何か物騒な言葉ばかり聞こえてる気がするんだけど。えっ、要は魔鉱石を採掘する場所を抑えるんだよね? 何か再起不能フルボッコにする事を前提に話してない?


小鳥姿のウィリアムと獣人さんは目線を合わせ、頷き合った後何処か意味ありげな笑みを浮かべた。


うーむ、これは何か碌でもない事を企んでるっぽいな。でも、突いたらヤバいものが色々出てきそうなんで、オレは何も見てないし、知らないふりしとこーっと。傍観って大事大事。


一通りの説明をして満足したのか、ウィリアムは風を纏いそのまま掻き消えた。

えっ、此方への説明はぁ!? 驚かせたお詫びもないのか、そうか……うん、そうだ。後でスライムを数匹送っておこう。そうしよう。


獣人さんは一息吐いて振り向くと、鋭かったその瞳を緩めた。


「悪ィな、驚かせて。アイツの事だ。何の説明もしてないんだろ」


その獣人さんの言葉に一番反応を示したのは兄だった。そうなんだよ、っていう頷きにめっちゃ力籠もってた。色々情報持ってきてはくれたけど、これから先の話は曖昧だったからね。獣人さん連れてくるって、出掛けてってからのアレだからねぇ。


ほんと、ちゃんと説明はしてくれよぅ……。


「そうだね。説明は此方に任せるって言ってた。まあ、何となく内容は僕が分かってるから、サリエーゼ嬢達にも分かるように纏めてみるよ。ユーリは先に自己紹介でもしたら? チームで組むんだし、挨拶は必須でしょ」


兄の提案に獣人さんは目を瞬かせて、そういやそうだったな……と軽く頭を掻いた。座ったままじゃ悪いと思ったのか立ち上がり、塵がついた服を軽く叩き口を開く。


「……ハジメマシテ。ユーリだ。見ての通り、狼の獣人。一応、ウィリアムの下で働いてる」


「リティシアです。ギルノールの妹で、今回はちょっと兄が巻き込まれたっぽいので付いてきました!」


互いに頭をぺこーと下げたんだけど、身長差があるから端からみたら凄い絵面になってると思う。でも、ちゃんとした挨拶だよ。初対面だもんね。


というか、獣人さん……いや、ユーリさんか。立ち上がるとほんとおっきいな。に、2メートルは超えてるよね……。


顔を上げた後、ユーリの背の高さについてほんやり考えていると、ふわりと頭上に何かが触れた。もふもふしたそれに、思わず目を瞬かせた。意外と毛がふわふわ!? いや硬い肉球もあるな??


嫌がる素振りよりも先に、獣人特有の感触に思わず感動してしまった。前世以来の久々の毛ざわりだからなぁ。動物ってこうだったわぁ、と何かしみじみしちゃったや……。まあ、今までスライムばかり周りにいたからね。この肌触りは新鮮。


「なるほどなァ。お前が、あのギルノールの妹か。どんな我儘娘かと思いきや、普通のエルフじゃねぇか」


んん? 我儘娘? どういう事?

わっしゃわっしゃと撫でられながら、オレはユーリの言葉に首を傾けた。


「噂って、何です?」


「あ? 知らねぇのか? 有名だぞ、仲間内ではな。ギルノールの妹はレアな魔法の達人で、ブラコンでもあって兄の傍を離れないまま、あのウィリアムを尻に敷いてる。そして男女問わず、誰にでも好かれるから生活に困ることはない……っておい?」


ゆらりと身体を動かし、兄へ視線をロックオンしたのは悪くないと思うの。


「にいさーん?」


「何だ、リティ。ユーリと何かあったのか?」


「兄さん、噂の内容聞いたんだけど、……ねぇ、どういうこと?」


「あっ……」


声を低くして問い詰めれば、兄の身体が大きく跳ねた。サリエーゼ嬢達には悪いけど、こういうのは早めの処置が良いからね。そして兄よ、やべぇって表情したね? つまり、あの噂を兄は最初から把握してたって事。ふぅん、知ってて放置してたのか。そうかそうか……


「ち、違う! あれはちょっとした手違いで流れたというか、流れてしまったというか、見られた原稿に原因があるというか!」


「ははーん、趣味の原案に私の話を? 書かないとか言ってなかったっけ?」


「勝手にメモを奪われ読まれちゃったんだよぉぉ! 他意はないんだって! ほんとに!!」


「……作家的には?」


「ぅ……」


「ちょっと美味しい展開だなぁとは思ったんでしょ。だから放置して眺めてた。違う?」


「……違わない、です」


はい、有罪。ギルティギルティ!!

リィタ達、速やかに集合ーぅぅぅ!!!!















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