表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/54

気に入られても困るんだよね…



施政者に関わると碌なことが無い。

それは、大体の歴史が物語っている。

だから私も例に洩れず、関わりを持たずに生きていこうとしていたのだが。


そんな施政者が今、目の前にいる。

すごく嬉しそうな表情で、ソファにくた〜っと寛いでいた。


オレがスクラップしていた新聞記事を読みながら、此方を盗み見ている。ファイル記事読むなら、そっちに集中しろ。視線が煩すぎてお茶すら飲めないじゃないか。


ハァ、と深々と息を吐けばウィリアムから声が上がる。


「懐かしいモンから、最新のモンまで。おお、これ凄い。大抵の社会情勢記録してんじゃん。ギルより、収集能力も優れてる」


パラパラと手遊びするようにページを捲っているが、中身はきちんと把握しているようだ。速読力が身についているのだろう。数分も掛からずに、全てのファイルを読み終えていた。


「で? どう? 相棒になる気は、」


「ないです。速やかにお帰り下さい。出口はあちらです」


そう言って上を指で差してやれば、ウィリアムはおかしそうにくつくつと喉を鳴らす。


「はっはっは、飛んで帰れって? 良いけど、屋根の破損が余計に酷くなるかもよ?」


「じゃあ、修理して帰って下さい。そして、金輪際この家に入れないよう結界張りますので、次来た時には黒焦げになる覚悟でどうぞ」


「扱いが酷い。そんなに嫌われるとはなぁ……。求婚した訳じゃないんだから、そんなに拒否しなくて良くない? ま、嫁いでくれるなら、それはそれで嬉しいけれど」


「兄さーん、リィタ連れて来てくれるー? はむはむの刑に1週間処されたいってー!」


「待て待て待て! スライムだけは止めてくれ。あれは流石の俺も、ダメージ食らう」


慌ててファイルを閉じ、立ち上がるウィリアムにオレは目を瞬かせる。

ほう、やはりスライムに取り込まれるのは誰でも嫌な様だ。喜ぶ奴も中にはいそうだけど、大体そういう奴は、水属性だったり、海洋生物に縁ある奴だったりするんじゃないかな。ま、全部(オレ)の憶測だけど。


「始まりの能力者(ヴァリュアブル)の血筋なら、大抵の事ならダメージ受けないんでは?」


「そう思うだろ? 実はそうじゃないんだよ。原初の能力は変化に弱いって言えば、何となく分かるかね」


変化、とオレが呟けば、ウィリアムは頷きを返してくる。


この世界を巡る魔力から五大元素の魔法は生まれた。その中でも、風魔法は始まりの能力者が使い、この世界を生み出し統治したとも言われている。最初の生命は暴風の中から産み落とされた、とも。


その流れなのか、やたらとこの世界は風の魔法が重宝される。それは、今この若きウィリアムが統治して、世論を抑え込めるだけの圧力がある事も意味していたりもする。彼がもし、違う属性の能力者だったなら、世界の統治者になっても直ぐに戦禍が再来していただろう。


そんな事を脳裏に過ぎらせ、オレは首を横に傾けた。


風は五大元素の上にある。んで、他の四元素も上位魔法の位置にはいる。でも、長き3000年の歴史の中で、魔法技術は発展し、様々な属性魔法が生み出されてきたんだよね。ほら、戦ばかりの世界だったから、否が応でも発展しちゃうっていう。


「変化に弱いって、つまりはアレですか。副属性と掛け合わされて生み出された魔法が苦手とか」


「うん正解。五大元素能力者は大体そう。だから、副属性や別属性の者を傍に置きたがる。俺が君を見初めたのも、それが理由だ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ