表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/54

複雑な家庭環境だけども…、嫌いじゃない



小牧と初めて会った時の事は、幼かったのに、やけにはっきりと覚えている。オレに妹が出来るんだよ、と聞かされた1週間後、病院で出会ったんだよなあ。


未熟児で産まれた小牧は、保育器に入ってて。まだほんの僅かな、小さい命の塊だった。


あ、因みに産んだのは母さんじゃない。ふんわりとしか聞いていないが、小牧を産んだのはバリバリのキャリアウーマンの人で、妊娠に気付かないまま過ごしていたらしい。それで先日、トイレで出産し、病院に運ばれたんだと。赤子は助かったけど、その女性はそのまま亡くなってしまった。


女性の両親は娘の妊娠に酷く驚いていたし、何より娘に付き合ってた人がいた事を知らなかったようで、赤子を引き取る事を拒否されたんだって。


で、養子縁組を待ってた両親の元に一報が入って見に来ますか?って話をされたのが1週間前。

ん? 何で養子縁組かって??

オレを産んだ際に、母さんは第2子は望めない身体になったんだって。それでもやっぱり2人目は欲しいねって、話をしてて、色々あちこちに相談とかしてたらしいよ。


病院で見た赤子、まあ後の小牧だけど、めっちゃ可愛かったんだよね。まだまだ幼児なオレがそう思ったんだ。両親も同じ事を思ったようで、小牧を迎える事を即決してた。両親曰く、小牧の周りは後光が差してて、誰よりも輝いてたんだって。はは、既に親バカじゃん。


血の繋がりはないけどさ、この時、家族になったんだ。



懐かしい記憶を思い出したオレはぱちりと目を開けた。


ちょっと複雑な家庭だったけど、それなりに仲良いと思っていたんだが、やっぱり見直すべきだったと理解したところで。次に聞きたいのは、オレ達のこれからだ。


でも、その前に。


「なあ、小牧」


「なあに、お兄ちゃん」


かつての名で呼べば、兄はこまきの顔をして笑みを浮かべてくる。


「父さんと母さん、家族は、嫌だったか?」


「うーん、難しいな……、確かに迷惑いっぱい掛けられたし、大変な思いもあったけど。嫌いではないよ。迷わずに大好き! って言えはしないけど、こんな私を大事に育ててくれたから」


でも、ここ最近の家庭の空気は最悪だったとこまきは息を吐いた。


「息吐ける場所が欲しかったのも、あるのかな。お兄ちゃんもいないから、母さんは小牧わたしにばっかり愚痴るし、父さんは自分の自慢ばかりするし。どうしても溜め込んじゃうのよね。下手に指摘したら、ほら、母さんは逆ギレしそうだもん」


「あー、母さんは物投げてくるからなあ。オレも箒で叩かれ、追い回された記憶あるわ」


母も母で複雑な家庭環境で育った人だから、こう感情表現が極端というか。

感情高ぶるとオーバーヒート起こしたみたいにやっべぇのよ。普段はのほほん優しい人だけに、ギャップが凄い。驚き過ぎて言葉出なくなる程には、想像出来ない姿なんだよな。


「機嫌悪い時だと、理不尽にキレてくるからほんと困るよな。……ああ、思い出した。父さんと朝言い合ってたんだろうなって時、とばっちりでオレの普段の駄目なとこ、指摘するんだよな。あれは朝からテンション下がる」


「そう! そうなの! 自分、何も悪くないのに昔の事、ひっぱり出されてグチグチグチグチ、止まらないからね? 送迎してくれる日の時は有難いけど、車内は地獄だった。学校着いた時、ホッとしたもん」


「高校、時間どれくらいなんだ?」


「車で40分」


「うわあ」


愚痴を聞かされた地獄の空間を想像し、オレはかつての小牧に憐れみを込めて、心の中で思わず手を合わせた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ