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34:無用の長物って事よね

翌日、朝早くから私達3人は教会へと向かった。

まずは身内でもあるのだからとリックス兄さんに話をする事にしたのだ。

教会に着くとすぐに神父さんがリックス兄さんの部屋まで案内してくれた。

連日で申し訳ない。


「 ぶっ 」

「早いな親父・・・」


そう、部屋の中には既にオンス父さんとレオノラ母さんが居たのだ。

何と言うか、行動力があると言えばいいのか、足が速いと言えばいいのか。


「俺達の家は山の麓だからまだいいが

 町の方はすでに人族が入り込んでいるからな。

 一般人はまだしも貴族連中がなぁ・・・」

「一部の人族が獣人を見下しているから

 町の空気も微妙な雰囲気になっているのよね」

「町長も人族の者に置き換えるとかと国王が言い出しているらしい」

「「「 は?! 」」」


やっぱり国王ってバカなの?阿呆なの?アンポンタンなの?

自国の住人を大事にしなさいよ!何やってるのよ!

今まで国を支えて貢献してきたのは獣人であって国民でしょうがよ!

うん、そんなんだったらバパールさんが移住を考える気持ちも納得だわ・・・


「僕も移住に賛成かな。

 リュンの事は勿論だけど、民を大切にしない国に仕える気はないからね。

 僕が居無くなればどうせ人族の司教でも派遣されてくるだろうし。

 いや僕が居ても人族の司教が派遣されてきそうだな」

「えー・・・教会も人族贔屓なの? うわぁ幻滅・・・」

「教会自体がそうではないんだよ。

 でも結局は国王の意見が重視されてしまうからね」

「なるほど・・・」

「行動に移すなら早い方がいいと思うんだ。

 人族がこの町に来るまでそう時間はかからないんじゃないかと思う」


ルナーさんに言われて私達はすぐにパパスさんの家へと向かった。

もしかしたらバパールさんが移住先をパパスさんに知らせているかもしれない。

出来ればバパールさんと同じ場所に移住したいと思ったんだよね。


「パパスさん、朝早くからすみません。ご相談が・・・

 って、バパールさん?!」

「バパールおじさんだ・・・」

「ブレないねバパールおじさん・・・」

「話は兄さんから聞いて居るよ。

 私達も今移住先について相談していたところなんだよ」


あ、やっぱりパパスさんも移住を考えているんだ。

どうやらここの町長も人族に置き換えると通達があったんだそうだ。

魔族の人達もてんやわんやの大忙しになっているらしい。

レザールさん達やライカンスロープさんも大忙しなんだろうな。


「そのレザールなんだがね」

バタンッ

「大変だ町長! リュンが居な・・・リュン!」

「レザールさん?・・・」

「よかった、今リュンの家に行ったら居ないから・・・」

「そうなの? 

 今後についてリックス兄さんと相談する為に教会へ行ってたんだよね。

 それでどうかしたの?何か用事でもあった?」

「町長も居るし丁度いいか」

「いや、いるも何も此処私の家なんだがね」

「他の魔族の皆とも話したのだがな。

 移住するなら俺達の故郷に来ないか?

 ここから更に北にはなるが人族が魔国に立ち入る事は無い。

 この国との国境は閉じられるらしいからな」

「へ?国境閉じるの?!」


まぁ人族と折り合いが悪いのに、人族がはびこるこの国とは国交を辞めても仕方がないか。

ましてや国民を大切にしない国王が居る国なんて、ねぇ?

と言うか私でもそうするかもしれない。むしろそうしたい。

いやすべての人族が苦手な訳ではないよたぶん。

ただ話に聞く人族の人がちょっとアレなだけで・・・

そしてこの国の国王がアンポンタンのスカポンタンなだけで。


レザールさんに魔国について聞けば、魔国の国王は民を大切にする国王なのだそうだ。

そして元々魔族は少数民族なので国も小さいが、皆で協力し合い仲が良いのだそうだ。

たまに気性が荒い人も居るらしいけど、喧嘩になりそうな時はサムウォーで勝負するのだそうだ。

サムウォーって何・・・

ニクス兄さんとルナーさんがやって見せてくれた。

・・・

指相撲かーいっ!

なるほど、気性が荒くても殴り合いではなくて指相撲で解決するのか。

うん、平和的でいいかもしれない・・・


「それにな、海の魚ももっと入手しやすくなるぞ?」

「ちょっとそれ凄く魅力的なんだけど!」

「リュン、食い物に釣られるなよ・・・」

「はっ・・・ でもニクス兄さん。キートを食べれる機会も増えるわよ?」

「なんだと!それは魅力的だな」

「おい、ニクスもかよ」


その後も話し合いを続けた結果、皆で魔国にあるレザールさんの故郷へと移住する事になった。

そこはあのライカンスロープさんの故郷でもあるらしい。

国境は3日後には閉じられるらしいので今日中に荷造りを済ませる事になった。

国境さえ超えてしまえばいいのでとにかく詰め込めばいい。

仕分けはその後にやっても問題ないからね。

なんせ国境は30分もあれば超えれる。さすが国境の町だよね。


「心配しなくても大丈夫だ。

 故郷までは少し遠いがすぐに着くからな」


レザールさんはそう言っていたがどういう事なのだろうか。

クィーン達の様な足が速い馬でも居るのだろうか。

まぁ行けば分かるだろうと思い、家に戻って荷造りでもと考えたところでふと疑問が湧いた。

魔国でも信仰する神様ってアリェーニャ様なんだろうか。


「ニクス兄さん、ちょっと教会に行こう」

「ん?どうした。どのみち教会には報告へ寄るつもりだったが」


そうだった、移住先が決まった事をオンス父さんたちにも伝えなければいけなかった。

忘れてたよ、ハハハ・・・


再び教会へと向かい、私は真っ先に礼拝室へと向かった。

アリェーニャ様、お聞きしたいのですが魔国の担当はどなたでしょうか。

アリェーニャ様だとありがたいのですけど。

するとペカッと光り毎度お馴染みとなった真っ白な空間に佇んでいた。


「久方ぶりですねぇ。

 この北の大陸は私の担当となっておりますよ」

「ご無沙汰してます、アリェーニャ様。

 そうなんですか、よかった。安心しました。

 あ、ついでに聞いておきたいのですが

 頂いた加護の小さな災厄は払いのけるというのは効果出てますかね?

 なんか色々と面倒事に巻き込まれているような気がするのですが・・・」

「あ~、その加護はですね。

 魔物にしか効果がないのですよぉ・・・」

「魔物にしか・・・なるほど。

 確かに魔物に襲われるとかはないかも。

 と言うか、わざわざ此処に呼ばなくてもよかったのでは?」

「それはですねぇ、ちょっと渡したい物がありましてぇ。

 不動尊さんからこちらを預かって参りました~」


と、手渡されたのは白檀で作られた数珠だった。

ほら、少し前に流行ったパワーストーンのブレスレットみたいに手首につけるタイプ。


「不動尊さんも心配していらっしゃいましてねぇ。

 リュンさんが成人するまでの期間限定であればと、許可がおりましてぇ。

 不動尊さんの加護が本来の力を発揮できるようになります~。

 管轄が違う世界だったので今までは本領発揮出来ていなかったらしいんですよねぇ」

「なるほど、不動尊様に感謝をお伝え願えますか?」

「勿論ですとも」

「アリェーニャ様もありがとうございます」

「どういたしまして。それではまたお会いしましょう。ごきげんよう~」


確認出来たのでこれで安心だ。

違う神様が担当だったら折角頂いた加護も発動しない可能性だってあっただろうからね。

それに・・・ 不動尊様から数珠まで頂いてしまった。

きっと厄除け効果も本領発揮してくれるだろう。


礼拝室を後にして再びリックス兄さん達と合流しレザールさん達の故郷へ行こうと思う事を伝えた。


「魔国か。いいんじゃないかな。

 彼等も魔道具を扱っては居るけど自然との調和を大切にしているからね。

 人族の様になんでもかんでも魔道具で済ませている訳ではないし」

「その魔道具ってさ、そんなに便利なの?」

「便利と言えば便利かもしれないけどな。

 使うには魔力が必要になるから我々獣人族だと魔力が無くて扱いにくいんだ」

「つまり魔力を持ってない人には無用の長物って事よね」


たぶんあれよね、魔道具=電化製品みたいな感じ?

電力がないジャングルの奥地に電子レンジ持って行っても邪魔、みたいな。

たしか人族にしたって全員が魔法を使える訳じゃないんだから、魔力の無い人だって居るんだろうし。

そこんとこ国王は解っているんだろうか、解ってなさそうだけど・・・

高齢者にも居たのよねぇ、お店の人に唆されて最新型のスマホ買ったけど使いこなせなかったって人が。

まぁ国王が困ろうが困らなかろうが私の知った事ではないからどうでもいいや。


私達は今度こそ家へと戻り荷造りを始める事にした。

読んで下さりありがとうございます。

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