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32:会いたくなかったわよ

前日まではやっと双葉から本葉になった程度だった花達は一気に育って開花していた。

梅やロウバイ、レモンなどの木も草花だったわよ! どうなってるのよこれ。

花はね、ちゃんとそれぞれの特徴がある花で匂いもそうだったのよ。

だけど茎や葉がちゃんと草花のそれなのよ!

いやぁぁ頭がバグりそう、理解が追いつかないと言うか私の記憶にある物と違うから脳が混乱してる!

しかもさ、ヒマワリがね?・・・

あの茶色い種になる部分が顔になってるのよ、ダンシングフラワーみたいに!

それでもって周りの黄色い花びらがさ、青白い炎纏ってるの!

これもぉ花じゃないよね?魔物だよね?

はっ、ヤダ気が付いちゃったじゃない・・・

これって向日葵じゃなくてさ・・・ 火が周りにあるから()()()

まさかと思って魔物図鑑を調べてみたらちゃっかりと載っていたわよ、()()()って!!

親父ギャグと言うか駄洒落と言うか、気が付きたくなかったぁぁぁ。

なんなのマスクラットといい、トガリネズミといいコレといいさぁ・・・


「今の叫び声はなんだ! うおぉっなんだこれは!」

「ね?・・・」


駆けつけたニクス兄さんも驚いていた。

取り敢えず()()()だけ刈り取ってもいいかな、魔物だし不気味だし。

草刈り鎌を持って来てみればカムイがモグモグと食べていた・・・

ちょっとカムイ、食べても大丈夫なの?

放っておくとどんどん増えて大変になるって?

刈るだけじゃ駄目だから根こそぎ食べてるの? そ、そうなのね・・・

スギナみたいなものなんだろうか・・・

なんでこんな厄介なのを売るかなぁ、他の人が買って無ければいいんだけど。


「ニクス兄さん、これ放置しておくとむちゃくちゃ増えて大変みたい。

 刈るんじゃなくて根こそぎ抜いて燃やすのがいいかも。

 パパスさんに言っておいた方がいいかな?」

「そうだな、ギルドの方にも報告した方がいいだろうな。

 売っていた行商人も知らないかもしれないし注意喚起して貰う方がいいだろう」


私が行こうと思ったのにニクス兄さんが行くという。

私には他に厄介な草花が混じってないか調べて欲しいんだそうな。

まぁ私がと言うよりはカムイや魔蜂達なんだけどね、確認するのは。


皆に確認して貰った所、幸いにして他の草花は普通に植物だったよ。

どれも美味しい蜜が獲れるから楽しみにしておいてとも言われた。

来年は素直に森や山から苗を取ってこようと思う私だったりする。

戻って来たニクス兄さんによれば、他にも3軒ほど購入した家があったそうだ。

ギルドの人がすぐに動いてくれ無事処理出来たらしい。

それと同時に国の方へも報告をあげて輸入業者に注意喚起も促してくれるそうだ。

いっその事さ、植物の種や苗とか生き物の生体とか輸入禁止にするとか検疫設けるとかでもいいと思うけどね。

日本でも問題になってたしねぇ、外来種のせいで在来種が絶滅しかけたり個体数が減ったり。

取り敢えずは()()()の被害が広がらなくてよかったよ、ホントに。



その後は特に変わった事も無く、川で網漁をしたり森で罠猟をしたり薪集めをしたりしていた。

ニクス兄さんも狩りへと出掛けたり、ギルドから狩猟の依頼を受けたりしている。

この日私はレナさんと一緒にサーモンベリーのジャムを作っていた。

サーモンの身のような朝やかなオレンジ色をしているからサーモンベリーと言うのだそうだ。

形はラズベリーに似ている。

サーモンベリーは他のベリーよりも少し水分が多いのだけどサッパリとした甘さで美味しい。

ただ水分が多いので日持ちがせず当日食べない分はジャムにする方がいいらしい。

ペチカの上でコトコトと煮込みながらレナさんと雑談をしているとレザールさんが慌てた様子で帰って来た。


「おかえりなさい?」

「あらレザール、随分と早かったのね」

「リュン、急いで教会に行くんだ」

「へ? どうしたの?」

「説明は司教様がしてくれる。急げ」


よくわからないけどレザールさんの様子がただ事では無かったので急いで教会へと向かう。

教会にはすでにニクス兄さんも来ていた。


「ニクス兄さん、何があったのか知ってる?」

「いやさっぱり解らない。パパス町長が呼びに来て兎に角教会へ行けと言われた」

「そうなんだ。何があったんだろうね」


神父様に案内されてリックス兄さん、司教様が待つ部屋へと向かえば・・・


「うげぇ、マシュ〇ロマン!」

「なんだそれは!うげぇとは失敬な!」


そう、あの誘拐犯のマシュ〇ロマンが居た。

何故に此処に居るのよ。二度と会いたくなかったわよ!


「これがマシュ〇ロマン・・・」ボソッ


ニクス兄さん、ボソッと言わないでくれるかな。笑いそうになるじゃないよ。

それで? 何故にマシュ〇ロマンが此処に居て私達が呼ばれたのかな。


「私が説明しよう」


銀髪ロン毛のイケオジエルフが1歩前へと出て来た。

そのイケオジエルフはリックス兄さんの文通相手の大司教様だった。

大司教様が持ち場の教会離れて出歩いていいのだろうか。

大司教様はリックス兄さんからの手紙を読んで大そう激怒されたようで、そのまま城へと乗り込み国王と王妃に説教をかましたそうだ。

あのマシュ〇ロマンはまだ未成人だそうで、それを僻地へ放り出すとはいかがなものか。

またきちんとした教育を施さず世の常識が理解出来ていないのもいかがなものか。

その他諸々と懇々と言い詰めたらしい。

このままだとまた国境の町で被害が出そうだからとマシュ〇ロマンの身柄は教会が預かる事にしたらしい。

そして教育の一環として謝罪へと連れて来たのだとか。

いや謝罪とか要らないしとは思うが大司教様の立場上、謝罪なしとはいかないのだろう。

うぇぇ、面倒臭い。


大司教様に促されてマシュ〇マンが謝罪の言葉を述べる。


「僕の精霊が早とちりをしてすまなかった」

「精霊が? 精霊が悪くて自分は悪くないと?」

「だってそうじゃないか。精霊が勝手に君を連れて来たんだからね」


私は大きく溜息をつきマシュ〇マンに近付き頭を掴んだ。


「なにをする!」

「なにをするじゃないね。

 まずさ、何故自分があの状況に置かれたかを考えようか。

 我儘放題好き放題、人の言葉に耳を傾けずに堕落生活送った結果でしょうがよ。

 そして少しは自分の状況を把握して打開策を考えて努力しなさいよ。

 他人まかせじゃなくて自分で動きなさいよ!」グリグリグリッ

「痛い痛い痛い痛いっ。

 僕は王子なんだから自分で動く必要も無ければ努力する必要もないんだ。

 パパもママもそう言ってたんだからな!」

「パパ?! ママ?! バブちゃんじゃあるまいし父とか母って言えないの?

 そもそもがだね?

 それが通じるのは両親の庇護がある城の中だけでしょう。

 頑張っても首都だけじゃないかな?

 いつまで親のすね齧るつもりよ、ばっかじゃないの?!

 自分の言動が周囲にどういった影響を与えるかとか少しは考えなさいよ!

 私の意思だってまるっと無視だったじゃないよ。

 まったく人を勝手に攫って使用人にしようなんざクソ迷惑なんだけど!」

「待てリュン。使用人にしようとしたなど聞いてないが」


しまった、言ってなかったんだっけ。

今度はニクス兄さんがマシュ〇ロマンの頭を掴んでグリグリとし始めてしまった。

ニクス兄さんの力だとかなり痛いんだろうなぁ。

まだまだ言いたい事はあったけど、暖簾に腕押し糠に釘状態で話が通じそうにないので止めた。

怒る方もね、気力も体力も使うのよ。

それに本来お説教なんてものは相手の事を思って、駄目な事を教えてこうした方がいいとアドバイスをするものだしね。

マシュ〇ロマンにそんな事する義理も無いし、気力体力時間の無駄だわよ。


「もっと怒りをぶつけてもよろしいのですよ?」

「いえ、もう十分ですし相手をするのも馬鹿臭くなりましたし。

 謝罪なんて人から言われてするものでもないでしょう?

 本人にその気はないみたいですしね。

 私としては二度と顔も見たく無いですし関わりたくも無いです」

「そうですか、承知いたしました」

「リュン、すまなかったね。後は私の方で大司教様と話しておくから」

「分かった、リックス兄さんお願いね。では失礼します」


ニクス兄さんはまだガルルルッと威嚇していたけど宥めて連れて帰った。

疲れた、主に精神的に疲れた・・・

読んで下さりありがとうございます。

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