31:ぶっ壊れたわよ
さて、厩の改築についてはドワーフさんにお任せするとして、庭にも花を植えておこうかな。
そう思い花の種を確認してみる。
何の花があるのかなぁ~。
カルーナ、ムスカリ、スノードロップ、クリスマスローズ、イベリス、スイートアリッサム、梅、ロウバイ、イチゴノキ、レモン、ヒマワリ。
ちょっと待って?
これ種じゃなくて球根種も混ざってるわよね?
なんなら花じゃなくて木もあるわよね?
それでもってヒマワリなんてあからさまに寒さが苦手な夏の花の様な?
えぇぇ・・・
これ全部種からでいいの?本当に?
それとも私が知ってる花と名前が同じってだけで実は別物とか?
うそーん・・・
悩んでいても仕方が無い。図鑑で調べてみよう。
チーン・・・
おかしいでしょ! 植物図鑑よねこれ。
なのになんで載ってないのよ!
もしかして北の大陸には無い花なの? ねぇねぇ誰か教えて!
と言うかこの図鑑、花が載ってないんだけど?!
「リュン、凄く小さく森林のと書いてあるぞ・・・」
「はぁ?! なにそれ!見えるかぁぁぁぁ!!」
ニクス兄さんに言われてよくよく見てみれば、ものすごく小さく森林のと書いてあった。
ずるくないか!こんな詐欺まがいな事を・・・ おのれぇ・・・
「どうする? 商団に頼んで花の図鑑を買って来て貰うか?」
「いや、知りたいのは今だし無くていいや・・・
植えてみれば解かるだろうし。やって見ればいいのよね」
植えてみて花が咲けば分かるだろうし、駄目だったら駄目で山にでも行って花を探して来よう。
取り敢えず梅やレモンなどの木であろう種は邪魔にならない様に庭の隅に種を撒いてみた。
他の花は玄関前と厩の前に花壇を作って種を撒いておいた。
養蜂箱は必要なのだろうか・・・
ミツバチなら必要だろうけど、魔蜂となればどうなんだろう。
必要だとすればかなりの大きさになると思うんだけど・・・
悩んでいるとツンツンと服を引っ張られた。
ん? どうしたの?
粘土と藁があれば自分達で作れるから大丈夫だって?
粘土に藁・・・
OK、判ったよ。粘土は川の近くの地層にあったような気がする。
藁は・・・町で聞いてみようかな。
川に網を仕掛けるついでに粘土も取って来た。
どのくらいの量が必要なのか解らないからバケツに1杯分。
足りなければまた取りに来ればいいしね。
魔蜂達に粘土を見せれば嬉しそうに手に取って捏ね始めた。
なんだかその動きは見た事がある気がするのは気のせいかしらね?
気のせいよねぇ、菊練りする蜂なんて見た事も聞いた事もないもの・・・
(こうやって粘土の中の空気を抜くのよ)
はぃ、菊練りしてたぁ! 器用だね魔蜂達。
って菊練りするとか陶芸でもするのだろうか。まさかね?
(こうやってこうして、蜜を溜める壺を作るの)
ぶっ・・・ 本当に陶芸してたよ。
さすがに窯焼きとか釉薬掛けとかしないだろうからどっちかと言うと土器?
いやどっちでもいいか。
私が思っていた養蜂とはかけ離れた物になりそうな事だけは解ったわよ。
気を取り直して町へと出掛ける。自分達の買い出しと藁を探すためだ。
雑穀類を購入したお店で藁を分けて貰える人が居ないか聞いてみた。
すると1束でいいのならばあげるわよと店主のおばさんに別けて貰う事が出来た。
お礼にとベリージャムを渡すと喜んでもらえた。
次にライカンスロープさんのお店で調味料やスパイス類を購入する。
そういえばこのお店でも蜂蜜の取り扱いはしているよね。
その蜂蜜は何処から仕入れているのだろうかと聞いてみた。
「ああ、これかい?
魔国で養蜂をやっているアイスベアがいるんだよ」
「養蜂! あの、その蜂の種類はわかります?」
「なんだリュンは興味があるのか?」
事情を話すとライカンスロープさんはアドバイスを貰えるように手紙を出してくれると言ってくれた。
凄く有難くて心強かった。
お礼を言って別れた後はパンと野菜を購入して家に戻った。
「藁貰ってみたよ、これで足りるかな?」
(うん、十分だよ。ありがとう)
藁で何を作るのかと眺めていたら、トントンと槌で叩いた後に縄を編み始めた。
待て、その槌は何処から出て来た。
そして器用に縄を編んでいるけどその縄を何に使うの・・・
私はてっきり粘土と藁を混ぜ合わせて土壁にでもするのかと思ったのに!
土器と縄を作る蜂・・・いや魔蜂だから普通の蜂とは違うんだろうけどさ。
娘ーーー!!
なんかおかんが知ってる蜂や養蜂じゃないんだけども!
そりゃ多少は違うんだろうなとは思ったよ?思ったけども!
まさか土器作ったり縄作ったりするとか思わないじゃないよ!
あれだ、蜂だと思うから駄目なのかもしれない。
そうだよ普通に魔物だと思えばいいのかも!
あ、ついでにいうと妖精とかエルフとかもぜんっぜん違ったよ!
映画とかに出て来るエルフや妖精とはまったく違ってイメージぶっ壊れたわよ!
ああゆうのはね、空想だからいいのかもしれないよ!
ふぅ、今度は声に出ていないはず。よしっ。
ちょっとだけ現実逃避をしてしまったけど、その縄を何に使うのか聞いてみた。
(壺に巻き付けて吊るすの)
(そうすると美味しくなるのよ)
なるほど、そうなんだね。
うん、よくわかったよ。これは蜂として扱ったら駄目だと思うんだ。
魔物というよりも魔族の人だと思った方がいいかもしれない・・・
(あら、魔族とは違うわよ)
(私達は魔蜂、魔物だもの)
分かってるよ、でもなんていえばいいかな。
変なマシュマロエルフとか泥棒精霊とかよりもずっと親しみやすいし知性的だしね?
あー、そうか。種族で考えなければいいのよ。
魔蜂の皆はね、私の友であり家族でもあるの。つまり大切な存在って事だね。
(友・・・)
(家族・・・)
(大切・・・)
(私達と?)
(いいの?)
行き成り見知らぬ場所に連れて来られたって共通点もあるしね。
こうして欲しいとか、あれが欲しいとか何か要望あれば遠慮なく言ってね?
(じゃあね、名前が欲しい)
(うん、名前!)
(デストーリャやエアレーも名前ある)
(私達も名前欲しい)
((( ねー )))
くっ・・・
名前・・・センスないのよ。
と言う事で昔見たアニメや小説から名前を拝借した。
ハッチ、マーヤ、アーヤ、ターヤ、サーヤ でどう?・・・
((( ありがとう )))
とは言え皆見た目が似ているので色違いのリボンを付けて貰う事にした。
赤がハッチ、桃色がマーヤ、橙色がアーヤ、水色がターヤ、薄紫がサーヤ。
因みにハッチが女王だ。
そして覚えきれるかは謎・・・
こうして魔蜂達は新しい家族となり一緒に森へ行ったりしながら日々を過ごすようになった。
厩の改装も終わり温室っぽいスペースも出来上がってこれで安心だと思う。
そしてさすがと言うべきか、ドワーフさんは魔蜂サイズの家、ドールハウスみたいなのまで作って壁に取り付けてくれていた。
これには魔蜂の皆も大喜びしていた。
蜂蜜が採れたらお裾分けしないとだね。
これで一段落もついた事だし明日からは罠も仕掛けて廻らないとだね。
冬支度始めなきゃと思った1週間後、私は叫ぶ事になる。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!」
読んで下さりありがとうございます。
ハッチのイメージをAIイラストで作って見たら、イメージとは違うのだけども可愛らしいのが出てきたので載せてみました。
便利なようで意外と難しい・・・
いつか使いこなせるようになりたいものです(;´Д`)




