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閑話:クィーン・ノワール・カムイの奮闘

ネット回線復旧しました!

真冬の中、わりと穏やかだったある日。


リュンクスは薪の在庫を作るべく庭で薪割をしていた。

その様子をクィーン、ノワール、カムイの3頭は見守りながら雪の下に残っている牧草を食んでいた。

丸太が無くなり掛ければクィーンが運び、薪が積み上がればノワールとカムイが厩や薪置き場へと移動させている。

それぞれが運びながらほんの一瞬、リュンクスから目を放した。

その一瞬でリュンクスの姿が消えた。


(あら?リュンの姿が見えないのだけど)

(あら、本当。何処へ行ったのかしら)

(家の中で休憩しているのかな。僕見て来るね)


カムイが器用に玄関ドアを開けて家の中を覗き込む。


(リュン、居る?)


家の中は静まり返り時折ペチカの中で火がはぜる音が聞こえてくるだけだった。

カムイはフンフンと鼻を動かして匂いを嗅ぐがリュンクスとニクスの残り香しかしない。

パタンとドアを閉めてクィーン達の元へと戻る。


(家の中には居ないね)

(じゃあ何処へ行ったのかしら)

(ねぇ、嗅いだ事が無い匂いがかすかに残っているのだけど)

クンクンクンッ

(あらやだ、これ精霊の匂いじゃない)

(精霊?)

(しかもここら辺に住んでいる精霊とは違う匂いだわ)

(さすがクィーン。よく解るね)

(意識して嗅げばカムイやノワールだって解るわよ)

クンカクンカッ

(あ、本当だ。知らない匂いがするや)

(この森とは違う匂いよね)


ちょっと森の精霊に聞いて来るわねとクィーンは駆け出して行った。

じゃぁ僕はニクスを呼んでくるねとカムイも森へと駆け出して行った。

ポツンと取り残されたノワールは念入りに周囲の匂いも嗅いでいく。


(私まで森に行ってすれ違いになっても困るものね)


幼くてもさすがデストーリャ種、ノワールもしっかり者だった。

念入りに匂いを嗅いだ後に溜息をつく。


(匂いが移動した形跡も無いし、移動した足跡も無い。

 そして知らない精霊の匂い。これってもしかして精霊に連れ去られたって事?)


ノワールは以前クィーンが話してくれた事を思い出す。

ほとんどの精霊は友好的で優しいのだけど、たまに悪戯好きの若い精霊がいるのだとか。


(もしかして運悪くその悪戯好きの若い妖精が此処に来ちゃったて事?)


そう思うとノワールは落ち着かなくなってしまう。

精霊は寒さなど気にしないからいいかも知れない、でもリュンクスは薪割をしていたからアノガジェを脱いでパルカだけになっていたのだ。


(動くのを止めたら寒くなるじゃない、せめてアノガジェも持って行きなさいよ)


動揺しているからなのか、ちょっと斜め上な考えをするノワールだった。

そこへカムイとクィーンが戻って来た。

カムイはニクスを咥えて引きずっていた。


(ちょっとカムイ。引きずらないであげてよ)

(だって動こうとしてくれないんだもん)

「クィーン、カムイに放してくれと言って貰えるか。

 いったいどうしたと言うのだ。獲物が置きっぱなしになったじゃないか」

(それどころじゃないのよニクス)

(リュンが大変なんだよ、居なくなったんだよ)

(ここから移動した形跡が無いのに姿が見当たらないのよ)

「なんだ? 何かを伝えたいのか?」


悲しいかな、3頭が幾ら訴えてもニクスには「ブフン」「フガフガッ」「ヒューン」としか聞こえないのである。


(だめだぁ、リュンみたいに伝わらないよ)

(困ったわね)

(ニクスは察しが悪いのよ。

 リュンの姿が見えなくて私達が騒いでるんだから普通は察してくれるでしょ)

(僕、上手く描けるか解らないけど絵を描いてみるよ)

(カムイ描けるの?)

(リュンが描いているの見た事あるからマネすればいいよね?)


とは言えカムイも所詮熊である。

頑張っては見るものの上手く描ける訳も無く、3歳児がクレヨンで書きました!みたいな絵が出来上がった。


「なんだカムイ。何を描いた。

 ジャガ芋か?ジャガ芋が食べたいのならリュンに言えば・・・

 そう言えばリュンは?

 薪割をしていたのではないのか?」

(だからね!そのリュンが居なくなったのよ!)

(突然急に姿が見えなくなったのよ!)

(僕達が薪運びやってる間に、ほんの一瞬で消えたんだよ!)

「ん? 家で休憩でもしているのか?」

(だーかーらー、違うんだってば!)

(森の精霊も知らないって言ってたし大変なのよニクス)

(休憩するにしてもアノガジェが置きっぱなしなのは変だと思わないのかしら)

(もぉ家の中見せた方が早い気がするから僕このまま運ぶね)


ズルズルズルッ


「待て待てカムイ。引きずるな、歩けるんだから。

 そんなに急がなくてもじゃが芋もリュンも消えたりしないだろう」

(だーかーらぁー、消えたんだってば!)

(もぉ、これはリックスを連れてきた方が早いわね)


そう言ってクィーンは教会へと走って行った。

それと同時に家の中からニクスの絶叫が響く。


「ぬぅああぁぁぁぁ、リュンが居ない!!」

(だからさっきからそう言っているじゃないか)

(察しの悪い男ねぇ・・・)


今にも卒倒しそうなニクスを引き摺ってカムイが戻って来て、雪の上に投げ出されたアノガジェの前に落とす。


「アノガジェが置きっぱなしに・・・ リューンッ!何処だ!」

(だから消えたんだってば!もぉ!)

(知らない匂いがする妖精が連れ去ったのよきっと!)

(もぉなんで伝わらないかな) チッ

(周囲にリュンの足跡がないのも気付きなさいよね) チッ


2頭して呆れた目でニクスを見つめる。


「ど、ど、ど、どうしよう。

 ここでの暮らしに飽きたのだろうか。

 それとも俺の大喰らいに愛想が尽きたのだろうか」

(なんでそうなるのよ!ニクスが大喰らいなのは今更でしょ)

(ここでの暮らしをリュンは気に入ってたじゃないか)

(( なんでそんな事もわからないのかな)) チッ


そこへリックスを乗せたクィーンが戻って来た。


「兄さん、何事ですか。

 クィーンが僕を呼びに来るなんてよほどの事なんでしょう?」

「リックス、リュンが・・・ リュンがっ」


クィーンがリックスをアノガジェの前に押し出す。

続いてカムイが地面に掛かれた絵の前へとリックスを押し出す。

最後にノワールがフンフンと鼻息で訴える。


「なるほど。

 薪割をしていたリューンが突然消えたと言う事でいいのかな?」


3頭はウンウンと思い切り首を縦に振る。


「ではパパス町長と警備隊に報告してきます。クィーン乗せて行ってくれるかい?

 兄さんは・・・ ああ駄目だな。気を失ってるじゃないか。

 カムイ悪いけど適当に家の中に放り込んでおいてくれる?

ノワールは何か手掛かりが無いか庭を見て廻ってくれるかな?」

(( 任せて! ))


やれやれ、どちらが年上なのかと溜息をつく3頭であった。


その後は報告を受けたパパスやレザール、町の住人達や警備隊などの有志が集まり、家の周囲や森の中を探してみた。

だがこれと言った手掛かりも無く、鼻が利く獣人達が獣姿で探しても匂いを探り当てる事も出来ず。

深夜になり気温もさらに下がって来たので捜索は一旦切り上げて明朝再開と言う事になった。

リックスはニクスを1人にしておけないからと泊まる事にしたのだが、一度教会に戻ればよかったと後悔する事になる。


家の中へと入り込んだ3頭がニクスを取り囲んで何やら訴えているのである。

時々溜息やら舌打ちが聞こえてくるのは気のせいだと思いたいリックスだった。

しばらくして3頭は家の外へと出て行った。


(さてと、ノワールとカムイは厩へ戻って休みなさい)

(クィーンはどうするの?)

(私は家の周囲を見張っておくわ。

 これだけ騒がしかったから、どさくさに紛れて食料を狙う獣が居そうだから)

(じゃぁ僕も一緒に見張るよ)

(カムイはノワールと一緒に厩を見張りながら休んでて欲しいの。

 ほらエアレーとか狙われそうでしょ)

(そっか、わかったよ)

(だったら私とカムイは交代で寝る事にしようか)

(うん、そうだね。ノワールが先に寝てね、女の子なんだし)

(あらそう?じゃあそうさせて貰うわね)


クィーンの予想は大当たりで、保存庫や燻製小屋を狙う獣が数匹いた。

クィーンは見つける度に後ろ足で蹴り上げて追い払っていたのだけども

(どさくさに紛れて来ているんじゃないわよ!こっちはそれどころじゃないのよ!

 リュンは大変な事になってるしニクスは使い物にならなくなってるし!)

と叫んでいたのでストレス発散も兼ねていたのかもしれない。

幸か不幸かこのクィーンの叫びはニクスにもリックスにも当然ながら聞こえていなかった。


幸い厩が狙われる事は無かった。

正確にはやはり数匹ほど姿を現したのだが、厩へ辿り着く前にペルルが追い払っていたのだ。

(カムイもノワールも頑張ったのだからここは任せろ)

なんとも男前なペルルである、雌だけども。

こうして動物達によって食料も厩も守られたのであった。



夜明けと共に捜索が再開されたがリュンは見つからず、困り果てていた所にリュンが戻ってきた。


「ただいま?」

「「「 リュン?!! 」」」

「ぐえっ」

「ニクスくん、落ち着きたまえ。リュンちゃんがつぶれてしまうよ」

「そうだよ兄さん。リュンの顔色が悪くなってるよ」

「む、おぉぅ。すまん」


そんな様子を離れた場所から見ながら3頭はやれやれと安堵の溜息をつくのだった。


(さぁ私達は後でゆっくりとリュンと話せばいいし。

 今はニクス達に譲ってゆっくり休みましょう)

(うん、そうだね。リュンの顔もみれて安心したし)

(リュンにはニクスの様子は伝えないでおく?)

(そうねぇ、リュンもあんなニクスの様子なんて知りたくないだろうし)

(分かった、じゃぁ内緒だね)


3頭は厩へと戻ってゆっくりと眠りに就く。

この後リュンとの会話でノワールがうっかり口を滑らすとは知らずに・・・

やっと更新する事が出来ました。

待っていて下さった方々ありがとうございます。

今後共楽しんで頂ける様頑張りますので宜しくお願い致します。

ペコリ(o_ _)o))

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