28:戦ったわよ
いつも足を運んでくださりありがとうございます。
目を覚ますと私の目の前にはモフモフとした毛があった。
なにこの毛・・・
もそもそと動かして何の毛なのかを確かめようとした。
「うひょふぇへへっ。やめんか!」
「うわぁ喋った!」
どうやら狼の獣人だったらしい・・・
この狼の獣人さんは国境警備隊の兵士さんで巡回中に休憩しようとこの洞に来たところ私が寝ていたのだとかで・・・
この洞は兵士さん達の休憩場所だったのか・・・
何故こんな所に居るのかと聞かれたので、経緯を話すと狼の獣人さんは頭を抱えてしまった。
最近この国境の町の人々の家で野菜や果物が消えると言う不思議な出来事が増えているのだとかで、なるほどあの精霊の仕業か・・・
果物は木に残ってたやつかなぁと思ったけど野菜は何処から?とは思ってたんだよね。
まさか人様の家から持って来てたとかそれって犯罪じゃん、窃盗だよ。
精霊や妖精は純粋な心の持ち主だと思ってたのになんか違う・・・
いやある意味純粋なのか? 自分の欲求に素直に従うって、少しは他人の事も考えようよ!
そう言えばあのマシュ〇ロマン、自分を王子って言ってたよな。
てことは母親は王妃? まぁなんでもいいけど子育ては失敗してるわよね。
いや、自分で子育てしてるのか?してなさそうだよなぁ。
もしかしてエルフ族自体が全体的にそういう考え方?
自分の欲求に対して素直というか我慢をしないと言うか・・・
何でもいいか、関わらなければいいんだし!!
「すまぬがマシュマ〇マンとはなんだろうか?」
「へ? あ、れ? 声に出てました?・・・」
「うむ・・・」
マシュマロはこの世界にもあるので取り敢えずはそのマシュマロがくっついて人形みたいな形になった物だと説明したら狼の獣人さんは吹いていた。
「なるほど、エルフの末王子はマシュマロ人形のようだったと・・・」
そう言いながら狼の獣人さん、ロドルフさんは肩が震えていた。
ロドルフさんはこの場所が国境の町から東に位置するエルフの国との境目付近なのだと教えてくれた。
徒歩だと半日くらいかかるらしい。
軽く食事を済ませたら町まで一緒に戻ってくれると言うので有難い。
恐らく私が居たあのマシュ〇ロマンの小屋は境目のエルフ側にあったのだろう。
歩いて来た方向がこっちでよかったよ、違う方向だとロドルフさんに会えなかっただろうからね。
もし会えずに延々と一人で彷徨っていたらと思うと恐ろしい。
ロドルフさんは携帯食と飲み物を分けてくれた。
固焼きビスケットのような物で意外にも味は美味しかった。
これおやつに欲しいかも、今度町で買い物する時に探してみよう。
その後は町へ向かって2人で歩いて行く。
こんな季節に巡回とは大変だろうなと思う。
でも時々魔物が集団で現れる事もあるのだそうで巡回は必須なんだと言っていた。
魔物が集団で湧くと言う事はスタンピードの前兆とかって感じなのだろうか。
違うとしても集団となると厄介だよね。
生態系のバランス崩れそうだし、町にも被害がでたら嫌だし。
町には戦闘スキルを持たない人だっている訳だし、持って居たとしても私みたいに変わり種だったりするとね?・・・
「む、見つけてしまったな・・・」
「へ?」
ロドルフさんの指差す方を見てみれば、小さな黒い物がワサワサと蠢いている。
うぇぇぇ、なんか気持ち悪いんだけど。背中に悪寒が走った。
「あそこまで小さいから虫系だろう、手間取りそうだな」
「虫系・・・」
そう言えば私の戦闘スキルに害虫駆除ってのがあったような?
虫類に対して命中率と殺傷力があがるんだったけか、魔物にも有効なんだろうか。
「ロドルフさん
私虫に対する戦闘スキル持ってるんですけど試してみてよいです?」
「お、おう。私としては助かるが大丈夫か?」
「物は試しでやって見ますね」
なんて言うんじゃなかった、戻れるなら10分前に戻りたい・・・
斧構えて近付いたらさ・・・
ブブーンッて飛んできたのよゴキちゃんが!!
あの小さなモソモソ蠢いてる黒いのってゴキちゃんだったのよ!見た目が!!
ゴキちゃんが集団でブブーンッてこっちに来たのを想像してみて欲しい。
声にならない悲鳴が出るわよ?
そりゃもぉね?必死に叩き落としていくわよ!
丸めた新聞紙でスパコーンッてやる要領よね、斧だけど・・・
北海道もそうだけど寒い所にゴキちゃんて居ないんじゃないのぉ?!
あ、これ魔物なんだっけ・・・魔物なら居ても仕方がないのかな・・・
とにかく必死でベシベシと叩き落としていれば、しばらくすると殲滅出来たらしい。
はぁ、疲れた・・・
「凄いな、鬼気迫る物があったな」
「ええそりゃもぉ必死でしたから。
あんなのが顔面目掛けて飛んで来たらね?」
「それにしても、あの小さいのをよく命中させられたな」
「スキルのお陰でしょうかね」
「お陰で助かった、私1人だと時間が掛かっただろうからな」
「お役に立てたのであればよかったです」
その後も2回ほど小さな集団を見つけた。
さすがにゴキちゃんではなかったけども、ネズミ系の魔物とヘビ系の魔物で見た目がいかにもって感じだった。
だったらゴキちゃんもいかにも魔物な姿でよかったのでは?と思った。
ネズミ系の魔物とヘビ系の魔物は素手で戦ったわよ。
スキルも素手Sだったしボブキャットの獣人だし?まぁある意味開き直ったとも言うけれども!
ゴキちゃんの後ならネズミもヘビも可愛い物だよ!
討伐をしていたらすっかり遅くなってしまい町に着いた頃には夜だった、たぶん。
ほら極夜だから1日中暗いからね。
ロドルフさんに家まで送ってもらったのだけど、家の前には人だかりが出来ていた。
「ただいま?」
「「「 リュン?!! 」」」
「ぐえっ」
ニクス兄さんが力強く抱きしめて来たので変な声が漏れてしまったじゃないか・・・
「ニクスくん、落ち着きたまえ。リュンちゃんがつぶれてしまうよ」
「そうだよ兄さん。リュンの顔色が悪くなってるよ」
「む、おぉぅ。すまん」
うん、正直ちょっと息苦しかったかな。
パパスさんとリックス兄さんのお陰で解放してもらえた。
「何処に行ってたんだ、急に居なくなって驚いたじゃないか」
「それなのですがね」
呼吸を整えていて喋れない私の代わりにロドルフさんが皆に説明をしてくれた。
「なんとはた迷惑な!」
「これはエルフの国へ抗議を入れねば!」
と皆怒っているのだけど、私としては関わりたくないんだよね。面倒臭いし。
とは言え、皆の食糧が盗まれるのはいただけない。
「ここは私に任せて頂けますか?
エルフの国へ抗議をするとなれば国へと報告を挙げねばならなくなります。
そうなると時間もかかりますし手続きも厄介ですからね。
国ではなく教会として抗議文を送りましょう。
ふふふ、私司教ですからね。そのくらいの力はあるのですよ」
なんでもリックス兄さんはエルフの国の大司教様とも面識があるらしく、その方に手紙を書くと言っていた。
教会関係の事ではないのにいいのだろうかと思ったのだけど、文通してるほど仲が良いらしい。
だから抗議文と言うよりはちょっとした愚痴っぽく書いて、事を荒げる気は無いけど気を付けて欲しいと伝えるのだとか。
なるほど、それならいいかもしれないね。
「僕の妹に手を出すなんてね。ふっ、ふふふっ。
何も対処してくれなかったら
エルフ族に魔除けの護符書くのやめちゃおっかなぁ」
いやいや待ってリックス兄さん。
それだと普通に商売で通過するエルフさんが可愛そうでしょ、巻き込まないで差し上げて!
読んで下さりありがとうございます。
これにてストックが無くなりました。
現在ネット回線の引き込み線が切れている家がうちの地区だけでも200戸以上になっているそうです。
復旧予定は未定で、作品更新も暫くは止まってしまいます。
復旧完了するまでお待ち頂ければ幸いです(>_<)




