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27:意味分らんし

私の目の前にマシュ〇ロマンか鏡餅かって様なプヨンとした人がニコニコと座っている。

誰これ・・・その前に何処よ此処。

おかしいな、庭で薪割りしてたはずなんだけどな。


「やぁ僕の名前はビェリ・メドヴェーチ。

 こう見えてもエルフの王子なんだ」

「う・・・」


嘘だぁ!と言いそうになって慌てて口を押えた。

いやだってさぁ、エルフってこうスリムな美形のイメージがあるじゃない?

こういったプヨンなエルフって映画とかでも見た事無い様な?


「君、森の中で迷子になってたんだって?

 僕の精霊が偶然君を見つけて此処に運んできたんだけど

 駄目だよ1人で森の中になんか入ったら」


ん?・・・

森の中で迷子? どういう事?


「あのですね。

 確かに森の近くに住んではいますが、庭で薪割りをしていただけなんですが?」

「え?・・・ 庭で薪割り?」


ビェリ・メドヴェーチさんは慌てて精霊を呼び出して確認をしている。

周りに誰も居なかったからてっきり迷子だと思った?

いやいやいや、すぐ近くに家あったよね?

なんならクィーンやノワールなんかも庭先で散歩してたよね?

カムイなんか薪運びしてたわよね?

襲われそうになっているのかと思ったって、えぇぇ・・・

勝手に勘違いしないで貰えるかな?


「どうやら僕の精霊が勘違いしたみたいだ、ごめんね」

「あのね?もし本当の迷子を見つけたとしてもですね。

 まずは声を掛けてみましょうよ?黙って連れてくるのは誘拐と同じですよね?」

「まったくもってその通りだよね、本当にごめんねぇ」

「それで、此処は何処なんです?

 私さっさと帰って薪割りの続きしたいんですけど」

「此処は僕の住んでいる家だね」

「 ・・・ 」


いやだからそうではなくて・・・

場所をだね? 地名というかね?

ちょっとビェリ・メドヴェーチさん、何故視線を反らすかな・・・


「ごめん、僕にも場所はわからないんだ・・・

 両親に標準体型に戻る様に体を動かしてこいと此処に連れて来られたから」


なんでも食べる事が大好きで運動嫌いだそうで・・・

末っ子王子と言う事もあって皆が甘やかした結果マシュ〇ロマンな我儘豊満ボディが出来上がったらしく、このままではいかんとご両親が一念発起してビェリ・メドヴェーチさんを此処へと連れて来たと。

定期的に様子は見に来てくれるらしいけど、成果が出るまではここで暮らすのだそうで・・・

いやいや待って?

一応王子なのであれば世話人が居るはずよね?

その人達くらい場所を知っているんじゃないの?

え? その世話人がさっきの精霊?

食料探しに行った時に私を見つけたから場所は解らない?

ちょ、待って?

私の中の精霊のイメージがガラガラと音を立てて崩れていく。

おかしい、精霊って博識なんじゃないの?・・・

土地とかも詳しいんじゃないの?・・・

まだ修行中の若い精霊だから仕方がない? あ、そう・・・

場所が解らなければどうやって帰ればいいのか解らないじゃないよ。

あれ、待てよ?

私をどうやって連れて来たのよ。

魔法でちょちょいと連れて来た? なるほど?

だったら魔法でちょちょいと帰して貰えませんかね?

え? 無理? マーキングしてないから魔法で移動出来ない?

なにそれ・・・

しておきなさいよマーキング!なんなのよもぉ!


「その内母上が様子を見に来ると思うから

 その時に君を送り届けて貰えるように頼んでみるよ」

「それっていつ頃になります?」

「この前来たばかりだから後80年後くらいかな?」

「はっ? 待てるかぁぁぁぁぁ!!」


エルフは獣人よりも長命だから時間の感覚がおかしい・・・

この前来たってのも20年前だって言うし、じゃあこっちから連絡を入れて貰えばと思ったけどビェリ・メドヴェーチさんからは連絡を取る事は出来ないらしい。

病気や怪我をした時に困るんじゃないの?と思ったのだけど、病気や怪我は精霊が治せるのだとか。

なるほど、そこはちゃんと精霊らしいことが出来るんだ・・・

しかしこれは困ったぞ・・・ニクス兄さんが心配するじゃないか。

クィーン達が上手く伝えてくれればよいのだけど・・・


取り敢えず極夜が終わるまでは此処に留まった方がいいだろう。

幾ら月や星が出ているとは言え周囲や足元は見えにくいからね。

現在地が解らないなら家とは真逆に進む可能性だってあるし、川に出来たクラックとかにハマったら危険すぎる。

数日もすれば極夜も終わるはずだ。


さて此処にしばらく滞在するのであれば、食料と薪の確保が必須となる。

保存庫を見てみれば野菜と果物しかないんだもの・・・

エルフは菜食なのだろうかと聞いてみたけどそうでもないらしい。

なるほど? 自分で獲って少しは体を動かせと言う事なんだろうか。

弓は扱えると言うので小型から中型の獲物を狙うのがいいかもしれない。

と言うか私薪割り用の斧しかもってないんだけどね・・・

仕方が無い、私は罠猟で頑張るか・・・



ペシッ

「魔法で浮いて移動しようとするんじゃないわよ!」

ゲシッ

「転がって移動しようとするんじゃないわよ!」

パコーンッ

「疲れたってまだ10mしか進んでないわよ!」


イラッ イライラッ

なんなのこのぐぅたらエルフ・・・

なにかと楽をしようとしてすぐ魔法を使おうとしやがる・・・

ダイエットする気あるの? 無いでしょ・・・

ダイエットなんて周りに言われたから渋々やったって意味無いのよ。

本人が「やるぞ!」って気にならなきゃ無理なのよ。

頑張ってみる気も無くてすぐ弱音を吐くし。

楽して痩せれるなら苦労はせんわぁぁぁ!!


「ほら僕王子だしさぁ、食糧調達や薪の調達なんて使用人達の仕事でしょ?

 やった事が無いんだよねぇ」

「やった事が無いんだよねぇ、じゃ無いのよ!

 やらなきゃ困るでしょ?餓死したいの?凍死したいの?」

「ん~、その心配は無いんじゃないかなぁ。精霊が居るし」

「精霊は使用人じゃないわよ?・・・」

「当たり前じゃないか。精霊は僕を守る為に居るんだからね」

「 ・・・ 」


だめだ、解ってない・・・

それとも私の認識がおかしいのだろうか?

精霊ってもっと敬われる存在であってこんな使用人みたいな扱いをしていい存在では無いと思うのだけど?

敬うまで行かなくてもせめて対等な立場であるべきだと思うのだけど?


「あ!そうだよ。君が使用人として働いてくれればいいんじゃないかな」

「は?」

「ここに居る間だけでいいからさ、ちゃんと給金も払うし。

 うん、そうすれば問題ないよね」


いやいや、問題ありありでしょ!


「私は君の部下でも配下でもないしどちらかといえば被害者だね?

 何故に君の為に働く必要があるのかな?」

「でも僕は王子だし君は平民だよね?

 それにどのみち狩りをしたり薪を集めたりするんでしょ?

 ちょっと多めに集めればいいだけじゃないか」

「そのちょっと多めがどれだけ苦労すると思ってるんですか。

 そもそもここで生き延びるのに身分は関係ないですよ?」

「そうかなぁ? 平民よりも王族の命が優先されるべきだと思うよ?

 だから君は僕の命を守らなければならない」

「いや意味分らんし!」


なんだろうかこのマシュマ〇マン。

エルフ族の考え方って皆こんな感じなんだろうか?

だとしたら絶対関わり合いたくない。


「分かった、そこで雪に埋もれるなり小屋に戻るなり好きにすればいい。

 私は私で好きにさせてもらう。君の面倒を見る義理は無いからね。

 それから精霊にも言っておくね、二度と私の目の前に現れるな。

 まったく忌々しい、クソ迷惑だ!」

「え?あれ、ちょっと君・・・」


そのまま真っ直ぐにズンズンと進んで行く。

方向?わかんないわよ! ただあのままマシュ〇ロマンと一緒に居たくなかった。


ザックザックザックッ

ズンズンズンッ

歩いて居れば体は温かい。

着替えが無いので汗をかく前に止まって少し休憩をして体温を下げる。

そしてまた歩き出すというのを繰り返した。

今の所空腹感も眠気もやって来ては居ない。

どこかゆっくり休めそうな洞窟や木の洞がないか探しながら歩いている。

そう言えばさっきから思ったよりも周囲が見えているんだよね。

まだ極夜の期間だしなんでだろう。

ザックザックザックッ

あぁ、そうかそう言う事か。猫科だから夜目が利くんじゃん!

忘れてたわよ・・・

しまったぁ、夜目が利くんだったらもっと早くに行動すればよかったぁ・・・


どの位歩いただろう、いい感じの木の洞を見つけたのでそこで休む事にする。

さすがに疲れて少し眠りたい。

地面には落ち葉が積み重なっていたのでもしかしたら何かの動物が此処で休んで居たのかもしれない。

ごめんよ、一晩だけ譲っておくれ。座った瞬間私は眠りに就いた。

読んで下さりありがとうございます。

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