第7話 今度は俺が撫でられる番か……
「大楠先生の看病に随分と時間かけてたね。部屋の中で何してたの?」
再び乗り込んだハイヤーで、何故か晴飛からの尋問を受ける俺。
「いや、サポーター巻いてあげたり、お粥作って食べさせてあげてただけだよ。ギックリ腰って、本当に動けなくなるんだから介助が大変でさ」
「ふーん。じゃあ、なんでボクが部屋に入った時に、大楠先生は赤ちゃんみたいに真っ赤な顔してたの?」
「それは……。お粥を食べた直後で身体がポカポカだったからだよ」
兎にも角にも、エッちゃん先生との赤ちゃんプレイは、隠し通さねばならない。
こんな性癖がバレたら、エッちゃん先生はギックリ腰が治っても学校に出てこれなくなる。
晴飛にバレてないよね?
「今日の大楠先生は、ギックリ腰で知己くんの事をどうこうは出来ないから大丈夫だったけど、気を付けてね」
「はいはい。晴飛ママは過保護だね~」
「ママ……」
あ、やべ。
さっきのエッちゃん先生とのパパ呼びプレイの余波でつい。
でも、何で俺ってば、男の晴飛の事をママ呼ばわりしたんだ?
まぁ、見た目的には晴飛はパパって柄じゃないし……って言ったら、また怒りそう。
「いや、晴飛。今のは」
「ふ~ん……。知己くんはマザコンなんだね」
「なんでそうなる⁉」
謂われなきマザコン呼ばわりが俺を襲う。
「だって、ボクの事、ママって言うから……。そういうのを知己くんが求めてるのかな~って思って」
「別に、そんなんじゃないよ。うちの母親は、俺の事なんて……」
そう言って、俺は目を伏せた。
だって、橘知己の母親は、おおよそマトモじゃない。
息子に銃火器を持たせるは、単騎で武装組織を壊滅するよう命じるは、パワハラでこちらを精神的に詰めてくるわ。
この男女比1:99の世界では、男子はとにかく大事にされる物なのに、明らかに扱いがおかしいんだよな……。
関係も余所余所しいし、何なんだろう……。
──って、ん? 頭に何か感触が。
「ヨシヨシ……。知己くんは頑張ってるよ……」
顔を上げると、晴飛が心配そうな顔で俺の頭をナデナデしてくれていた。
「え? 晴飛?」
「いいよ。今は、ボクに甘えて」
困惑する俺に、慈愛顔で晴飛が俺を見つめてくる。
ああ。
話題が母親の事になって、つい橘親子の歪な関係について考え込んでた俺の様子を見て、俺が家族に関してネガティブな感情を有していて、凹んでると思って慰めてくれてるのか。
「あんがと。晴飛はやっぱり優しい子だな」
「どういたしまして」
ここは、好意に甘えておこうという事で、大人しく撫でられておく俺。
さっきまでは、10歳年上の女教師赤ちゃんのパパ役をしていたのに、今度は俺がママに甘える番か。
「今度は俺が撫でられる番か……」
なんだか、夜のお仕事の女の人がホストにハマるみたいな感じだよなと言いかけた所で。
「……やっぱり、さっきの看病の時に、大楠先生の事も撫でたりしてたんだ」
「イタタッ! なんで頬をつねるんだよ晴飛」
「知己くんがボクに撫でられながら、他の女の人の事を考えてたのがムカついたから……」
ええ……。エッちゃん先生とのプレイ見てないのに何で分かったの⁉
っていうか、ママっぷりに思った以上にプライド持ってるんだな~晴飛は。
母性の化身か何かか?
「ゴメンって」
「謝るって事は、やっぱりしてたんだ……」
やべ、鎌かけられてた。
「お詫びに何でもするから」
「ふーん、何でもね。じゃあさ」
そう言うと、晴飛はこっちに笑顔で向き直る。
「ボクとデートしよっか」
男友達の顔は、ちょっと小悪魔的な可愛さを湛えていた。
晴飛は色々と譲る気はない模様。
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