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開闢 1

警視庁刑事部・捜査一課、対獣類特別捜査班。


今日も警視庁にはひっきりなしに電話のコール音が響いている。

怒号や不安の声、稀にある新情報。

対応に追われている奴等を横目に先程渡った資料を読み返す。




事の発端はアフリカでの出来事だった。

サバンナのサファリツアーに参加していた観光客6名とガイド1名が投石などにより全員死亡した。


最初は人間による犯行だと思われ、現地の警察が調査していたところ、背後からゾウに襲われた。

そのゾウは鼻にナイフを持っていたと聞く。

警官は重傷を負い、ゾウはその場で射殺された。


その際、謎の言語を発していたという。



この時を境に、人類の安泰していた生活が一変する。


凶暴化する動物達がどんどん増えていき、人間の生活を邪魔するようになった。

あらゆるインフラを崩壊させ、人間を滅殺していく。


動物によって殺された人間の数は7500万人を超えていた。


異常事態を察知して世界各国の政府は「対獣類特別捜査班」をそれぞれ設置した。



調査を進めていくうちにある事実が発覚した。


動物達はただの凶暴化ではなく、“知能“を持って行動しているということだ。


ただでさえ力を持っている動物が知能を扱えるようになっていると分かり、世界はさらに困惑に包まれる。



そして、最も恐れていたことが起こった。


南極観測隊の基地が征服されたのだ。

それは普段は愛らしい姿をしているペンギンやアザラシによるものだった。


隊員が所有していた銃を奪い、脅し、基地に立て篭もった。

その時反抗した1人の隊員が殺されたという。


この事件を受け、SBIの捜査の重点が南極に向くと、それまで大人しくしていた動物達が一斉に暴走しだした。


幸い、日本はまだ大きな被害がは出ていないが、日本の捜査班も世界に合わせて動き出そうとしていた。


「先輩、そんな怖い顔しないでくださいよー」


ひょろっとした長身を少し屈めて俺の顔を覗き込んだのは、新人刑事の(ひいらぎ)真白(ましろ)だ。

その整った中性的な顔を軽く睨む。


「無視ですかぁ?せっかくバディ組んだのに…仲良くしてくださいよー」


間延びした声と口を尖らせる姿にイラつく。


「お前とは仕事上の付き合いだ。馴れ馴れしくするつもりはない」

「うわ、ひどぉ。そんなんだからイケメンなのに30になっても相手がいないんですよ」

「余計なお世話だ」


これからコイツと行動を共にすると思うとうんざりしてきて大きなため息をつく。


「おい。瑞樹(みずき)、柊」


すると背後から今回の捜査班の最高責任者を務め、捜査一課の課長でもある勝木(かつき)正司(せいじ)が声をかける。

勝木に目を向けると、威厳のある顔には疲労が浮かんでいた。


「例の薬の研究所の日本支部が見つかった。お前らにはそこの捜査にあたってもらう」

勝木が資料を渡しながら言う。

「分かりました。すぐに向かいます。行くぞ、柊」

「はーい」


柊に声をかけ、俺たちは警視庁を後にした。


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