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序章 獣檻破獄
地球上の全ての生物は皆、平等である——。
それは、地球を大切にする人間の理想に過ぎない。
人類は火を使い、言語を操り、知恵を持った。
そして地球の歴史上では僅かな年月の間に文明を築き、革命を起こし、科学技術を用いて瞬く間に発展していった。
しかし同時に、地球の自然環境は悪化していく速度を緩めない。
工場や車の排気ガスが空気を汚染する。
人口の増大で森林が減少していく。
人間の勝手な乱獲や急激に変化する環境に対応できず、絶滅していく野生動物達。
そんな人間に怒りを覚える動物は少なくなかった。
いや、人間を味方してくれる動物も植物も もう地球にはいない。
人間を殺せ。絶滅させろ。人間さえいなくなれば。
地球はそんな生物達の悲痛な叫びに耳を貸す。
そうだ。人間は愚かだ。
人間同士で殺し合い、災害に苦しみ、挙句の果てには地球を壊そうとする。
同じ失敗を繰り返す——。
地球は動物達に人間のような知恵と言語を与えた。
ある日突然、
人間と動物の立場が逆転した。