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6話 ダンジョン攻略開始

6章 ダンジョン攻略開始


 今日は、高校で初めてできたとも…じゃなくて、如月と一緒にオワドをプレイする約束の日であった。

如月とプレイするのは楽しみだが、一つだけ気をつけなければならないことがある。

それは、俺がオワドの制作者であり、【クロア】であることを気づかれないようにすることだ。

万が一にもバレたら何をされるかわかったもんじゃない。

脅されて金を横取りされるかもだし、ネットとかに【クロア】の正体をばら撒くかもしれない。

そんなことになったら俺の人生は終了してしまう。

物理的にも、社会的にも終わる。

なんせ、【クロア】の主な活動はハッキングだからな。

 さて、如月との約束時間は午前10時からだったな。

今の時間は、朝の5時か。

まだまだ時間はあるな。

どれ、警察のデータにでも忍び込もうか。

キーボードの音がひっきりなしに部屋に響いている。

ハッキングの際に、俺は自分だけの世界に潜り込む。

その世界では自由に動けてどんなことでもできる。

ゲームのような世界だ。

警察のデータに入り込む時には、わざと入ってきたことを知らせている。

こっそりと入り込むこともできるが、それじゃあ面白くないだろ?

だから、いつも警官を弄んで俺は帰る。

今回もうまくいった。

必死に捕まえようとしてくる警官が面白かった。

どうやら、難解な事件はあまりないようだ。

だが、手に入れた情報の中に気になるものがあった。

少し調べてみると、わかったことがある。

如月の両親が警察官だということだ。

つまり、如月は警察官同士の間にできた子供なのだ。

そして、如月の過去やら色々調べてみると、未だに如月の将来の夢は警察だということがわかった。

しかも、如月は運動系ではなく、機械系であることもわかった。

俺の敵にあたることになる。

これにより、余計に俺の正体がバレてはいけないと身を引き締めた。

 色々としているうちにもうすぐ午前10時になりそうだった。

すぐに俺はオワドにログインした。

そして、ステータスを偽装してアイテムの数も偽装した。

これでバレることはないだろう。

偽装は何十にも重ねた。

もし、バレたら俺は最悪刑務所に入れられて犯罪者扱いになってしまう。

そんなのはごめんだ。

 待ち合わせの場所に向かうと、すでに如月がいた。

如月のプレイヤーネームは「銀騎士シルバーナイト」である。

少し厨二病っぽいが、如月の名前をいじっていることがわかる。

如月の本名は、如月きさらぎ しゅんである。

如月の苗字と名前の頭文字と語尾をそれぞれとると、「きし」と「ぎん」となる。

そのため、このような名前にしたのだろう。

見た目は、銀の短いストレートヘアで透き通るような白い肌、線の細い体、鎧はつけておらず、腰に銀の剣を指しており、白い騎士のような身軽な服を着ている。

タンク系ではないようだ。

俺のプレイヤーネームは、「ロク」である。

俺も名前をいじってつけた名前である。

見た目は、黒の長髪のストレートヘアで後ろでまとめて束ねており、漆黒の目をしている。

服装は、黒を主とする中国風の服だ。

「待たせたか?」

ゲーム用オンラインで如月と繋げてあるから、会話することができる。

「全然待ってないよ。さっき着いたとこ」

この会話だけ聞いたら、恋人同士だと思われそうだな。

「そうか。まず、どこに向かうんだ?俺はどこでも構わない」

本当にどこでも大丈夫な俺はそのまま伝えた。

「まずは、お互いの強さを知るために近くの中級ダンジョンにでも潜ろうか」

中級ダンジョンか、。

オワドにダンジョンは全部で63個ある。

その中でも、初級、中級、上級、最上級がある。

中級はゲームを少しやりこんでる奴でないと全ての攻略は難しいだろう。

つまり、中級も攻略できないやつはついてくるなという意味なのだろうか。

「わかった」

まあ、制作者だし、ゲームは毎日しているから中級なら全然余裕だ。

俺と如月は中級ダンジョンに向かった。

その中級ダンジョンは定番のモンスターが出てくるダンジョンだった。

ゴブリンやオーク、ミノタウロス、蛇型魔物など。

中級ダンジョンは20階層まである。

 ちなみに、初級は10階層、中級は20階層、上級は30階層、最上級は10階層と決まっている。

なぜ、最上級が10階層なのかと思ったか?

それはな、最上級は他のダンジョンと比べ物にならないくらいにレベルが高いのだ。

それが、40階層や50階層であってみろ。

やる気が失せるだろ?

 中級ダンジョンに向かう方法は二つある。

普通に徒歩か馬などか、金を払ってワープゲートを通るかのどちらかだ。

金と言っても、オワド内のモンスターを狩って売り、手に入るものである。

如月がとった方法は中級ダンジョンまで走る方法だ。

俺も如月も素早く動けるような格好なため、すぐにダンジョンについた。

俺と如月は中級ダンジョンに潜った。

まず出てくるのは、定番中の定番、ゴブリンだ。

ゴブリンは入ってきたプレイヤーによって数が決まる。

今回は2人なため、2匹である。

俺は二刀流魔剣士だ。

ゴブリン程度なら魔法を使わなくても、一本の剣だけで大丈夫だろう。

だが、今は状況が違う。

この中級ダンジョンにはお互いの強さを確かめるためにいる。

だから、氷の魔法を剣に纏って、二刀流でゴブリンを切った。

魔法を氷にしたのは、ゴブリン自体が消滅しないようにするためだ。

氷にしたら、まだゴブリンの体は保たれる。

如月の方を見ると、銀の剣でゴブリンの頭を切り落とした。

どうやら如月はスピードに全振りのようだ。

強さは、そこらへんのゲーマーよりも腕が立つ。

さすが、情報を担当する警察を目指すだけのことはある。

「すごいね!黒須くん!いや、ロクと言った方がいいかな?」

如月は銀の剣を静かに鞘に収めて、俺の方を向いた。

なぜか、嬉しそうな感情が声色から感じ取れるのだが、なぜなのか。

「ありがとう。今、他に会話を聞いてる奴なんていないから黒須でいい」

このゲーム用オンラインは俺が管理している俺専用のコードだ。

誰にも聞かれる必要がないから完全に安心できる。

「了解!でもさ、本当にすごいよね。僕、こんなにオワドで戦える人って見たことがないよ」

あれ、そこまで力出したか?

もう少し力を抑えとけばよかったかも。

「そうか?過大評価しすぎじゃないか?」

次からはもう少し力を抑えよう。

「そんなことないよ!だって、二刀流って扱いが難しくて有名なのに、意図も容易く使ってるし、その上魔法剣も!魔法剣って現実にはないし、オワドでは自分で考えて操作しなきゃいけないからあらゆるゲーマーが頭を抱えているものなのに、黒須くんはすごく上手に使ってるし_____________________」

如月はものすごい早口で話し始めた。

これは、知ってるぞ。

止めないとずっと何時間も話し続けるやつだ。

彗が何かのスポーツ選手や有名人のことを話す時もこんな感じだ。

「わ、わかった。だから、一旦ストップ」

俺は威嚇している動物を諌めるように止めた。

「あ、ごめんね。僕ばっかり話したら迷惑だよね」

なぜか、如月のキャラクターが落ち込んでいるように思えた。

「いいや、俺は客観的にどう見えるのかわかってよかった。それに、俺の友達にさっきの如月みたいに話す奴がいるから慣れてる」

そう、彗は如月のように止めようとしても止まらないから、如月は彗に比べたら気分もだいぶましなんだ。

「そっか、ありがとう。じゃあさ、強いことはわかったからさ、上級ダンジョンに行こうよ。中級ダンジョンだと物足りないでしょ?」

如月はなぜか知らないがありがとうと言った。

「わかった。上級ダンジョンはどこに行くんだ?」

上級ダンジョンは中級ダンジョンに比べると数が少ないが、少ないとは言っても20個はある。

 ちなみに、初級ダンジョンは30個、中級ダンジョンは20個、上級ダンジョンは知っての通り10個、最上級ダンジョンは3個だ。

 ダンジョンには強さ以外にもたくさん種類がある。

毒や火山や水や自然など、様々な環境にその環境にあったモンスター。

そのダンジョンの対策によって攻略の進み具合が全くもって違う。

「それは、未だ攻略されていない、火山の上級ダンジョンだよ!あそこはマグマの対策も必要で、マグマの中にいる未発見のモンスターもいるらしいから行きたかったんだよね。けど、1人だと難しくって、。」

火山の上級ダンジョンってまだ攻略されてなかったんだな。

最上級ダンジョンは1つも攻略されていないことは知っていたが、上級ダンジョンでもまだ攻略されていないものがあったんだな。

 俺は、上級ダンジョンに向かいながら、平原にいるモンスターも倒しながら、オワドのダンジョンの攻略されているものと攻略されていないものを確認した。

 確認したところ、初級、中級は全て攻略されていた。

上級は20個中6個は攻略されていて、最上級は一つも攻略されていなかった。

これならば、まだ新たに設定を増やす必要はなさそうだ。

 もし、ダンジョンのほとんどが攻略されていたら、魔王とかの設定をつけようかと思っていたが、まだ当分は大丈夫そうだ。

 上級ダンジョンに到着した。

 マグマ対策で、熱耐性のポーションを事前に買ってある。

「フフフ、ようやく念願の上級ダンジョン攻略だ。火竜が出るらしい!・・・あれ、どうしたの?黒須くん」

俺はすごい悪巧みを思いついたような声で話す如月に少し引いた。

「いや、ちょっと、話し方がきもいから、」

「きもいとは失敬な!ただオワドを愛しているだけだよ!」

俺は、少し後ずさりながら目を泳がせた。

「黒須くん!?」

如月は少しショックを受けたみたいだ。

「ははっ。冗談だよ」

もちろん本気で言ったわけではない。

少しからかっただけだ。

それに、自分の作ったゲームを愛してくれているのはとても嬉しい。

 さて、からかうのはここら辺にして、早速ダンジョンに潜ろうではないか。

「じゃあ、早速潜ろうか」

俺は熱耐性のポーションを取り出した。

「うん!」

俺と如月は同時にポーションを飲み干した。

これで、2時間は効果が続く。

 まず待ち構えているのは、マグマに囲まれている細い道だ。

だが、熱耐性のポーションを飲んでいる俺たちには関係のないことだ。

それに、このマグマは底を浅くしているから落ちることはない。

 「ここまでは余裕だね」

細い道を渡り終わり、次の階層へと進んだ。

次の階層は、マグマ耐性のある鱗を持ったトカゲがボスモンスターである。

色は通常のトカゲよりも濃い焦茶で、よく見ないとわからないくらいの鱗肌、舌はカメレオンのように長く、強さからは理解できなようなつぶらな黒い瞳、尻尾は胴体よりも長く、自由自在に動く。

このトカゲは、マグマ耐性があるだけで、マグマの中で泳ぐことはない。

環境は、どこに出るかわからないマグマの噴射のある場所だ。

本当は、裏攻略がここにはあるんだよな。

この階層のマグマに誘導してトカゲを落とせばいいだけなのだ。

そこのマグマはそこが深いから、マグマで泳げないトカゲは上がってこない。

だが、こんなことを知っているとわかれば怪しまれるかもしれない。

 一応、ダンジョンが攻略された1ヶ月後に裏攻略は表示してたんだけど、ダンジョンの攻略された数までは数えてなかったんだよな。

 トカゲのいる階層についた。

自分で全て作ったからやはりそこまで楽しいとは思わない。

如月は、何か小声でぶつぶつと言っている。

耳を澄ませて聞いてみた。

「あれは、鱗が分厚いトカゲ?鑑定してみよう。名前はファイアリザードか。火のトカゲ。おそらくマグマに耐性があるのだろう。でも、なぜマグマのない足場にいるのだろう。もしかして、長時間マグマの中に入れない?それとも泳げない?足の形的にイモリではない。なら攻略法はマグマに関係があるかも。この階層の広さといいマグマといい、攻略法に関係している?_________________」如月はすごく真剣に攻略法やトカゲについて考えていた。

初見でここまでわかるなんてすごいな。

しかもほとんどあってる。

それに、完全にトカゲになるように工夫したところも見てくれている。制作者にとってこれ以上の嬉しいことなどないな。

だけど、このままだとボス部屋に入ってるからトカゲが襲ってくる。

「如月、ちょっと一旦ストップ!あのトカゲ、こっちに向かってきてるから!」

もう本当に少しでトカゲがきてしまう。

けど、如月は集中しているのか気づいていない。

これで本当にいつもやってきているのか?すぐにやられるぞ。

仕方ない。

俺はトカゲを仕留めないように手加減しなければならない。

まだ攻略されていないダンジョンのモンスターを、しかも上級ダンジョンのモンスターを一発で倒してしまったらやばいことになってしまう。

2本の剣のうち、能力がまだ弱い白い剣だけ使う。

まずはトカゲは舌を使ってくる。

舌はマグマに耐えるほど強く硬い。

少し切れ込みを入れるだけでいいだろう。

 俺はオワドを作った際に最上級ダンジョンも攻略してしまったし、裏クエストも全てしてしまった。

それにより、レベルがカンストしてしまった。

今度カンストからまだ上がれるようにしようとは思っているが、まだできていない。

 白い剣でトカゲの舌を少し切って跳ね返した。

すると、トカゲが怒り、咆哮が響いた。

それにより、如月の小声がやみ、トカゲと戦闘となったことに気づいたようだ。

「え、もう戦闘始まってる感じ?」

如月は銀の剣を取り出して構えた。

「もう始まってるよ。今から本格的に攻撃がくるよ!気をつけて」

俺は倒すのに必死なフリをしながら話した。

「ごめん!僕集中すると周りが見えなくなることがちょくちょくあって、それで、オワドでパーティも組めないんだよね」

如月の言ったように、オワドではパーティを組むことができる。

たまにソロのやつもいるが、ソロはオワドをしているやつの中の1割程度だ。

如月とこれまで話していた内容の中には如月がソロとわかる内容もあった。

「そっか、まあ、時間稼ぎくらいなら俺一人でもできるから。安心して」

そんなことを話しているうちにトカゲの攻撃がきた。

先ほどの舌よりも赤くなっている。

これは、自身の舌に熱を込めて、攻撃する手段だ。

この攻撃に当たると、即死である。

ただ、装備にもよる。剣で耐久値が高いものだと攻撃を正面から受け止めることができる。

そして、攻撃を避けると、地面が溶け、10分程度はそこを通れなくなる。

しかも、10分立ったとしても地面が凹んで戦いにくくなる。

つまり、耐久性の高い武器で攻撃を受け止めるのが一番いい。

如月はアイテムボックスから盾を取り出して攻撃を受け止めた。

懸命な判断である。

俺も盾にしたほうが良かったかな?まあ過ぎたことはしょうがない。

さて、どうやって倒そうか。

俺が一人で倒すと、普通にやばい。

なら、如月にヒントを気付かれないように言いながら勝利に導くか。

「如月、こいつどうやって倒すんだ?」

俺はトカゲの攻撃を避けながら如月に話しかけた。

如月は盾を上手く使いながら攻撃を避けている。

「わからない!だから、まずは攻撃を当ててみる」

トカゲは、マグマの体への侵入を防ぐために頑丈な鱗で覆われている。

その鱗はマグマに耐えれるほどに硬い。

そのため、鱗を傷つけられるのはレベルが200以上になった時である。

俺はレベルがカンストしてるから心配はないが、如月のレベルは100前後である。

切るどころか傷すら作れないだろう。

なので、どうにかマグマに落とすという裏攻略を如月が思いつくように誘導させなければならない。

 そんなことを考えているうちに、如月はもうトカゲに切り掛かる直前だった。

いくら俺が考えてたからと言って、300メートルはありそうな距離をこの短時間で移動しやがった。

スピード全ぶりすぎやしないか?それだと攻撃がどうなるか、。

 硬い鉄と鉄がぶつかり合ったような音が響き、弾けた。

 おそらく、勢いがありすぎて、剣でトカゲを攻撃した際に反発して跳ね返ったのだろう。

攻撃をくらったトカゲの鱗には、微かだが、わずかな傷が入っていた。まあ、その傷があるからと言ってトカゲにダメージが行くかといえば行かないだろうが、。

 如月のレベルは100前後だ。なのに、このように傷が少し入るとは、。

スピードに上手く乗せて剣を当てたからか?

素晴らしいな。

 このオワドで様々なプレイヤーを見てきたが、このように上手く攻撃する奴は見たことがない。

 ふと、思った。「面白い」と。この自分が一から全て作ったゲームの中で面白いなどという感情が出てくるなど、作って実践し終わった時には思っても見なかった。

 攻撃が弾かれた時に、如月は素早く後ろに下がった。

「くそっ、硬すぎ。1匹目のボスでこの強さかよ」

吐き捨てるように如月がつぶやいた。

「なぁ、如月。このボスは正面から戦っても勝てないと思うんだ」

俺は上手く如月を誘導して裏攻略を見つけさせないとなのだ。

「それは、そうなんだけど、、」

如月はいかにもどうすればいいのか困ったような声だった。

「だからさ、他に攻略法が無いかを探さないか?」

これは、普通に言っても探られる要素はないだろう。

「………そうだな、。うん、そうしよう!」

少し間があったが、この強さではこのトカゲに勝てないと如月も承知したのだろう。

 これは俺の想像だが、おそらく如月は真っ直ぐ正面から戦いたかったのだろう。

だが、自分の強さで正面から戦っても負けることは自分でもわかっていたのだろう。

だから、いつかは正面から戦おうとでも決心したのだろう。

 「でも、他の攻略法って言っても、何があるの?」

如月と俺は盾で攻撃を受け止めたり、隠れたりしながら話し始めた。

「俺が知っているわけない。だから、探すんだ」

ここから如月に自然に裏攻略を伝えなければいけない。

「探す、…。でも、どうやって」

どうやって、か。それを上手くリードしながら如月が思いついたようにしなければならない。

攻略を考えるより難しいんだが、。

「あのトカゲとこのステージをよく観察して、思いつく攻略をどんどん試していこう」

俺は考えた。

作戦名は、「数撃ちゃ当たるだろう作戦!」だ!!

 如月はこのボス部屋に入った時に、自分で思う見解を独り言としてすごく呟いていた。

だから、少し手伝えば裏攻略を発見できると思ったのだ。

まぁ、如月の頭におんぶにだっこしようって感じだ。

「如月、トカゲとこのステージで分かったことないか?」

ここからは、うまくヒントを会話の中に紛れさせないといけない。

そのヒントを意図的に入れてるとバレてはいけない。

重々警戒しないと俺は最悪少年院入りだ。

「分かってることはあるけど、他にもないか考えてみる」

如月が考え始めた。

その証拠に何かぶつぶつ呟いているのが聞こえる。

「分かった」

俺は返事をしたが、集中しているのか、うんともすんともならなかった。

 考え始めて、数分がたった。

その間、俺と如月は別々に物陰に隠れるなり、攻撃を避けるなりしていた。

如月はまだ考えてるのかぶつぶつ聞こえる。

俺は物陰に隠れた。

その時、丁度如月後ろで火山が噴き出した。

そして、トカゲはその瞬間を待っていましたとでも言うように火山の噴き出しを隠れ蓑にし、舌を曲げ、如月の死角に忍ばせた。

どうやらこのまま如月を攻撃するらしい。

でも、如月の実力ならこの攻撃を避けることはできるだろう。

 そう思い、安心したのも束の間。

如月の声を聞くと、何も気づいていない。

それに、後ろを振り返ってもない。

見てすらいない。

 俺なら、俺の本来のレベルなら如月を助けることができる。

だが、そうすると、頭のいい如月は俺が何者かを追求してくるだろう。

最悪、何かを勘付くだろう。

そうなると、俺はおしまいだ。

 これはただのゲームだ。

別に死んでもやり直せる。リプライできるのだ。

現実はリプライできない。

だから、助けるふりをすればいい。

そう、それでいいはずなのに、。

何かが俺のどこかで引っかかっている。

 そんなことを考えている間にもトカゲの舌は如月へと近づいていく。

 もう、何がやりたいのか、自分なはずなのにわからない。

トカゲの攻撃が如月に当たるまでもうすぐだ。

どうすればいいんだ。


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