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26章 間が悪い

執筆に少し時間がかかってしまいました。

26章 間が悪い


 1時間もかけて手に入れた情報、それは、偽の情報だった。

俺は一瞬驚いたが、すぐに目を輝かせて笑った。

 ここまで俺を手のひらで転がすようなことができたやつはいなかった。

楽しい、そう魂で叫んでいるようだった。

これまででも、強いハッカーは何人かいたし、楽しいとも思えた。

でも、今回は違う。

確実な手応えが一切ない。

まるで、俺の行動が全てわかっているかのようだ。

なわけないな。だって、俺の行動は履歴にも何でも残らないようにしてあるからな。

あ、もしかして、これフラグか?

でもまぁ、フラグって気づいたらフラグじゃなくなるらしいし、大丈夫だろう。

 俺は考え始めた。

ここに個人情報がないということは、別の場所に隠してある、または、情報の奥にあるのかも。

とりあえず、情報を全体的に探してみよう。

他の場所はウイルスがついているため、時間がかかる。

ならば、情報の中に潜った方が効率がいい。

俺はすぐさま情報と情報との隙間に入り込んだ。

そして、情報を見ていくと、偽の情報と本来の情報のちょっとした違いを見つけた。

 そこからは早かった。

偽の情報は素通りし、本来の情報は見て、そうしていくうちに、個人情報のある場所へと辿り着いた。

 個人情報は目の前にある。

だが、この個人情報の周りには何種類かのウイルスが張り付いている。

それも、ここだけ執拗に。

当たり前と言えば当たり前だろう。

現にここは情報の塊の中央部分だ。

 俺は個人情報のウイルスを気をつけて除去し始めた。

個人情報の近くにいるため、攻撃が来るかもしれない。

そのため、俺は周りを十分に警戒しながら作業をした。

 ウイルスは、パソコンを破壊するものや情報をリセットして無くすもの、情報を勝手にネットにあげるものもある。

そんな危険物を除去し始めて2時間_。

きりがない。

こんだけのウイルス、設置するのも大変だったろうに。

にしても、何も攻撃が来ない。

【コメット】、今いないのだろうか。

もうハッキングを始めてから3時間少しだ。

どこか、出かけているのか?

【コメット】自身がいないのなら、勝手にハッキングするのは何か違う気がする。

正面でぶつかりたい。

そうだ!

わざと少しだけ自分の存在を知らせてみよう!

そうすれば通知がいくはずだ。

 俺はすぐに自分の存在を知らせた。

数秒後、個人情報以外の情報にくっついたウイルスが全て俺に襲いかかってきた。

俺はすぐに逃げの姿勢になった。

流石に俺とはいえ、この大量のウイルスを全て対処するのは難しい。

すでに周りはぎっしりとウイルスに囲まれている。

だから、一瞬で対処できるウイルスのところだけを狙って走り出した。

部屋にはキーボードの音が隙間なく響いている。

 逃げ道を作り出しながら、危なすぎるウイルスに注意し、ウイルスに見つからぬよう、隠れた。

俺は自分自身に何かつけられていないことを確認した。

そして、初めからトラップだったことに気づいた。

何も攻撃せず、何も介入せず、罠も設置せず、何をされても何もせず、このトラップだけのために待ち続けた。

何もしないという状況に陥ることで、俺、【クロア】が自分の存在を知らせようとすることはわかっていたのだろう。

面白い。こんなにも【クロア】を理解し、対処できた奴は初めてだ。

しかも、対処できるだけではなく、俺を手のひらで転がすようなこともできる。

ものすごく楽しい。面白い。

俺は笑っていた。自分が笑っていることに気づかないほどにずっと笑っていた。

今、楽しいと面白いという感情が心の中を埋め尽くしている。

俺の目も何もかも、今はパソコンの中の世界に取り込まれそうになるほどに夢中になっている。

 俺は針の穴のように狭い情報の穴から入り込んだ。

それに続いてウイルスは情報を公開せぬように自分の体自身を使って情報を隠し、他のウイルスは俺に触れようと迫ってくる。

俺は逃げ回りながら情報を集めようとする。

長期戦になりそうだ。

いつもなら絶対に嫌がるのだが、今回は違う。

楽しい、面白い。

長期戦がこんなにも面白いと感じたのは初めてだ。

 

 プルルルル、プルルルルル


突然、パソコンの横に置いてあったスマホが鳴った。

この一番盛り上がりそうな時に、だ。

むかつきながらもスマホの画面を一瞬見ると、如月からの電話だった。

俺は無視することを選んだ。

電話なんていつでもできる。

それに、パソコンの方が重要だ。

あまりにも長く目を離すとパソコンが壊れてしまう。

そんな事態にはなりたくない。

そして、一番はやはり楽しい。この人生の最高潮のような時間を最優先したい。

俺はパソコンに再び集中を移した。

楽しい。さっきの邪魔な電話が気にならないくらいに楽しい。

時間を忘れそうなほど集中していた。


 プルルルル、プルルルルル


またもや如月から電話がかかってきた。

それでも俺は無視を続けた。


 プルルルル、プルルルルル

      :

      :


何回も何回も電話がかかってくる。

電話がかかってくるたびに集中が切れてしまう。

このままでは楽しい時間が嫌な時間になってしまう。

俺は仕方なく机の上に置いてあるヘッドホンをつけ、スマホとつなぎ、電話に出た。

「もしもし」

苛立ちが出ないように猫を被った。

「あ、ようやく出た。黒須くん。あのメモリなんだけどさ、本当にパソコンのメモリ?」

その如月の言葉に俺は凍りついた。


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