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25話 進取果敢

25章 進取果敢


北斗は部屋でパソコンで日課をしていた。

北斗はその日課をしながら色々と考えていた。

 おそらく、如月の件は解決するだろう。

あれだけ精密にバレないように頑張ったのだ。

バレたらやばいことになってしまう。

 次は【コメット】のことだ。

ウイルスを【クロア】である俺に投入してくるやつなんて中々いない。

そもそも、俺のパソコンに何かを投入しようとしても、強固な防御によって防がれる。

万が一にも入り込まれそうになっても、俺自身にスマホを通して連絡がくる。

だが、今回は何の連絡も無かった。しかも、防御は意味をなさなかった。

つまり、相手は、防御をすり抜け、連絡も防いだということになる。

そのため、最高の準備をして挑むことにしようと思う。

ハッキングのための準備は万端。

眠くならないようにエナジードリンクも置いてある。

糖分補給のためにお菓子も置いてある。

これで挑んでいこう。

 現在、夜の10時。

なぜ夜なのかと言うと、【コメット】のアカウントから発信されたコメントはほとんどが夜なのだ。

俺は居留守の時にハッキングを仕掛けるのは嫌だ。

やるなら、ちゃんと戦いたい。

【クロア】である俺をここまで追い詰めたのはこいつが初めてだった。

そんな相手には誠心誠意向き合いたい。

まぁ、ハッカーが言うセリフでもないが、。

 俺は目を閉じながら深く息を吐いて、ゆっくりと目を開けた。

そして、素早くキーボードを打ち始めた。

4つのモニターを目だけ動かし、見ていく。

 【コメット】をハッキングする。

そのためにも、防御網を潜らないといけない。

あれだけのウイルスを作るやつだ、【コメット】はどんな防御網なのか気になっていた。

だが、実際に見てみると、それは防御網に見える大量のウイルスだった。

少しでも触れたらウイルスがくっついてしまう。

それでも、ここ以外の道は俺が不利な状況に陥ってしまう。

だから、ウイルスに入られないように隙間を完全に防ぎ、進んでいく。

この完全状態は流石にずっとは続かない。

ならば、ゴリ押しで進むだけだ。

俺は完全状態に入り、ウイルスの防御網を進み始めた。

進み始めてわかった。このウイルスが多すぎて手の前が見えない。

まっすぐ進んでいることくらいはわかるが、この状態の俺を攻撃できるなら少しやばいことになってしまう。

完全状態とはいえ、集中力が失われると、ヒビが入ってしまう。

とはいえ、周りをできるだけ警戒していても何も起こらない。

手を出せないのだろうか。

もしかして、このウイルスの制作者である【コメット】でさえ、このウイルスが効いてしまうのだろうか。

だが、現時点ではよくわからない。

 ウイルス網をようやく潜り抜けて、【コメット】の敷地に入ることができた。

だが、入れたとは言え敷地だ。【コメット】自身ではない。

でも、これで【コメット】にハッキングを仕掛けられる。

 ウイルス制作は俺よりもできても、ハッキングは負ける気がしない。

俺は自慢げな顔でハッキングを始めた。

楽しみながらも警戒を解かず、最短ルートでするすると相手の内側に入っていく。

そういえば、ネットで【クロア】のあだ名で黒蛇とかカメレオンとか言われてたな。

 ハッキングは意外とうまくいき、もうすぐ個人情報のある部分にたどり着く。

もっと抵抗やら何やらされると思っていたが、通常のセキュリティ以外何もなかった。

どうしてなのだろう。

俺は【コメット】の個人情報のある部分へとたどり着いた。

すぐに、その情報に手を伸ばした。

その時、俺は危機感を覚えた。

そのため、後ろに全力で下がった。

 あの瞬間、毛が逆立つ、鳥肌が立つ、そんな生優しいほどの危機感ではなかった。

ゾクリと背筋が凍る、いや、体全体が凍ったような危機感。

俺は隅々まで調べ始めた。

そこには、ごく小さなウイルスが情報全てにまとわりついていた。

そのウイルスは、パソコンを壊すとても危険なものだ。

小さいゆえに隙間から入り込み、パソコンをぐちゃぐちゃにし、処理が追いつかないパソコンは限界値を超えて熱くなり、壊れる。

そうなると、中にある情報も一切なくなり、パソコンが使えなくなってしまう。

危機一髪といったところだろうか。

もし、あそこで情報を取ろうと触ったりでもしたら、、。

考えたくもない。

俺のパソコンには自分の個人情報から今までハッキングしてきたやつの個人情報、そして、[オワド]がある。

一応、予備のパソコンに情報はコピーしてあるが、[オワド]の場合、予備のパソコンごときでは正常に働かない。

そうなると、何万人もの人に迷惑がかかってしまう。

このウイルスには絶対触ってはいけない。

 もしかしたら、これまでの道のりにもこのウイルスがついていたのかもしれない。

それでも無事だったのは、適当な情報はいらないと自分で判断したおかげでもある。

 それにしても、こんな量のウイルス、情報がウイルスにやられないように制作し、設置するなんてすごく繊細で難しい作業なはずだが、。

どれだけの時間をかけたのだろう。

俺は【コメット】を少し尊敬した。

 これだけ個人情報に近付いているのに、何も攻撃を仕掛けてこない。

ウイルスを設置しているだけで、罠もなく、フェイクもない。

なぜ、何もしてこないのか、。

まるで、まるで何も音がしない密室空間、いや、水の中のようだ。

けれど、何もしてこないならウイルスだけに集中できる。

一部のウイルスだけ取り除けば、中の情報の狭い隙間を通っていけば情報をあされる。

ただ、そのためには、この爆弾と同じようなウイルスを何個も取り除かなければならない。

少しでも失敗すればパソコンが消失する。

失敗すれば俺の苦労、思い出が全てなくなる。

それでも、恐怖、背徳感、どう言えばいいのか、。

取り返しがつかないということはわかっている。

でも、やめられない。

俺はウイルスを丁寧に、慎重に、除去し始めた。

崖っぷちの状況にさえ興奮してしまう自分がいる。

なんて、変なのだろう。

そう思いながらも除去する作業を止めない。

 約1時間後。

個人情報の部分だけウイルスを除去できた。

俺は、早速その情報に手を伸ばした。

「え、これって、」

その情報を見て、俺は驚いた。


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