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24話 フェイク

24章 フェイク


今、北斗の頭の中は混沌と化していた。

まだ対処できていない【コメット】による襲撃、まさかの、如月からの【クロア】ということがバレそうと言うこと。

最悪の事態が二つも重なってしまった。

 北斗は一旦冷静になるように深呼吸した。

深呼吸を何回か繰り返したところで落ち着いてきた。

まずは、一つずつ整理していこう。

如月の件は、何か俺が【クロア】ではないという証拠を差しださなければこの状態が続くだろう。

それは後々考えなければならない。

そして、【コメット】の件は残り2日しかない。

2日過ぎると、防いでいるウイルスが再びパソコン内に広がっていく。

本当は最初に【コメット】をハッキングしようかと考えたが、如月の件もあるため、時間がない。

ならば、先にウイルスを潰して時間を確保するのが得策であろう。

 北斗は動き出した。

ウイルスを除去するために、全て偽情報で作ったメモリを作り、そのメモリから何も出さないように少しの隙間もなく防いだ。

そこに、囲っていたウイルスを投入し、メモリをパソコンから取り出す。

この一見簡単そうに思える作業を3時間かけて行った。

この作業は本来簡単なのだが、何も出さないようにすることやウイルスを投入することが繊細な作業で、失敗すれば、再びウイルスを防がねばならない。

例えを言うとすると、スコープ無しの銃で500メートル先の1センチメートルの的に完璧に当てるくらい難しいのだ。

それができるのは、北斗の技量があってこそなのだ。

 3時間ぶっ続けで集中し続けた北斗は、ウイルスを除去できたと完全に確認できたら、気が抜けて、地面に寝転がった。

 これで、タイムリミットがなくなった。

後は再びウイルスを入れられたり、ハッキングされたりしないように防御力を高めなければならない。

これはすぐにできる。

 それが終われば、次は如月のことについて考えなければならない。

やることが多すぎる。

北斗は頭を抱えながら考え込んだ。

(頭の回る如月に生半可な証拠では絶対に説得できない。でも、実際に俺が【クロア】ではない情報はない。あぁ、ゲームの偽装でも使えたらいいのに)

その時、北斗はいい案を思いついた。

北斗はすぐに行動に移すことにした。

パソコンを触って何かをしている。

30分ほど経って、北斗の手が止まった。

「できた!」

そう言って、北斗がパソコンから何かを取り出した。

それはメモリだった。

 北斗が思いついた案は、本来のデータのメモリをパソコンから外して、別のメモリに変えることだった。

北斗はウイルスを除去するために別のメモリを使った。

それが今回の案のヒントになったのだ。

パソコンの機能がすごくいいため、メモリは4枚ほどになった。

これで如月に証拠を突き出せる。

 俺は如月に連絡した。

明日は学校に行く予定日だったため、学校でこのメモリを渡せばいいだろう。

このメモリは偽物とわからないように精密に作ってある。

メモリの中には、ゲームや調べ物など、高校生がパソコンで行うものの履歴を残してある。

大丈夫だろう。


 翌日。

俺は人生でのピンチを乗り越えるために覚悟を決めて学校へ来ていた。

メモリは持っている。

どう演技するかも頭に入っている。

シリアスな雰囲気にならないように、ラインを送った。

後は、如月が信用してくれるかどうかだ。

 俺は覚悟を決めて、いつも通りに教室へと入った。

如月は、もう来ているみたいだ。

北斗は荷物を下ろし、メモリを取り出した。

 如月の場所へ緊張しながらも表に出さず、歩いて行った。

「如月、これ、パソコンのメモリ。これ見たら、俺が違うってわかると思う。もし、疑うのなら、家に来てみればいい」

俺は感情が出ないようにポーカーフェイスを頑張った。

「わかったよ。そこまで言うなら帰って見てみるね」

そうして、如月はメモリを受け取った。

どうやら俺の行動に不信な点は無かったようだ。

これ以降、その日は如月と一言も話さずに過ごした。


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