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19話 なんでこんなことに…

19章 なんでこんなことに…


 後夜祭当日。

「ククッ。とっても可愛いよ。黒北くろきた 斗音とねちゃん」

最初は堪えていたが、徐々に腹を抱えて声も出ないくらいに彗は笑い始めた。

「おいっ!お前がやったんだろ!笑うんじゃない!」

俺はこんな格好しているのに、笑われて苛立った。

「大丈夫だよ、兄さん。すごく可愛いから」

搖斗はふわりと笑った。

「搖斗、」

俺と搖斗はお互いに見つめ合った。

「あー、はいはい。それは後にしようぜ」

彗は北斗と搖斗、二人の時間を遮った。

「てか、本当に言うと、お前、めっちゃ可愛い。けど、いつもの北斗からの変身がこれって思うと、、クフっ、笑ってしまうんだよ、」

彗は北斗を宥めようとしたが、結局、笑ってしまった。

「お前な〜、いい加減にしろよ。こちとら好きでやってるわけじゃ無いからな。ただ、搖斗にお願いされて仕方なくだからな」

俺はイヤイヤながらも、搖斗にどうしてもとお願いされたからやってやってるだけだ。

搖斗がいなかったらこんな、人生でやらない人の方が多いこと、やるわけがない。

「はいはい、アリガトーゴザイマス」

彗は適当に感情のこもっていない声でお礼を言った。

「まぁまぁ、彗兄も兄さんも落ち着いて。もうすぐ後夜祭、始まるんでしょ?」

この中で一番年下なのに冷静な搖斗が場を収めた。

「本当じゃん!もう行かないと!」

彗は今気づいた。

「それじゃあ、嫌だけど、行ってくるね、搖斗」

俺は静かに立ち上がった。

「うん。本当は兄さんの踊ってるとこ直接見たかったけど、我慢するよ」

搖斗はニコリと笑って見送った。

その時、搖斗が「まぁ、ドローンで除くけどね」と言ったことには誰も気づかなかった。


彗と北斗は体育館前に立った。

「準備はいい?ほ、斗音」

彗は名前を間違えそうになりながら言った。

「ええ、大丈夫よ」

俺は声を高くして話した。

そして、ガチャッと音を立てながら、体育館の扉が開いた。

この体育館は通常の学校の体育館よりも大きく、全校生徒が入っても余裕なほどだった。

 (なんで、俺はこんなところに、、、)

北斗は、黒髪ロング、ストレートのウィッグをかぶり、化粧をして、キラキラと美しいドレスを着ながら歩いた。

もちろん、靴はヒールだ。

北斗は恥ずかしくて周りをよく見れなかった。

 (さて、俺が女の子を連れてきたと思っている周りの反応はどうかな?)

彗はバレない程度に周りを見渡した。

すると、様々な反応があった。

女子達は、「あの女だれ?彗くんは私を選ぶはずだったのに、。許せない」「この学校の女子じゃない。なら、どこの学校の子?調べなきゃ」「すごい、可愛い子」など色々だった。

(やっぱり女の子を選ばなくてよかった。てか、これ、北斗がやばいんじゃ、。まぁ、いっか)

彗は楽観的だった。

男子達はというと、「どこの子だろう。綺麗」「めっちゃ可愛い。天羽、羨まし」「天羽の彼女かな?」とかだった。

(あぁ、今すぐにでもこいつは男だって叫びたい)

彗は我慢した。

 「あれ?」

少しして、彗は体育館の窓にキラッと光が反射したようなものが見えたような気がした。

よく目を凝らしてみると、ドローンだった。

(あぁ、搖斗か。流石にブラコンもすぎるだろ)

彗は苦笑いした。

 「ねぇ、彗。早く終わらせて帰ろ?」

北斗が恥ずかしくなって、彗の服の裾を掴んで上目遣いでお願いした。

その行動に周りの男子は顔を赤くした。

北斗は女子の演技のことも考えていたが、この行動は無意識に行なっていた。

「それはできないんだ。この後夜祭はミスコンもあって、それが終わらないと帰れないんだ」

彗はいつもの北斗に対する態度ではなくて、学校の女子に対する一番優しい態度を演じた。

「えぇ、なら、何時くらい?」

北斗はすぐに帰りたかった。

「まだまだ後だよ」

彗はイタズラに時間を教えなかった。

そんなことをしていると、曲が流れ始めた。

「斗音。踊ろ」

彗は手を差し出した。

「わかった」

北斗は嫌な顔をしないように頑張って顔を取り繕った。

「お前、ちゃんと踊れるのか?」

彗が小さな声で言ってきた。

「大丈夫。ここにくる前にダンスのビデオ見てきたから」

北斗も小さい声で返事を返した。

「それで覚えれたのか?」

彗は心配になった。

それもそうだろう。

ビデオを見ただけで覚えられる人なんてそうそういない。

「?あぁ。当たり前だ」

北斗は何を普通のことを聞いてきているのだろうと思い、首を傾げた。

「あぁ、そうだった。お前はそういう奴だった」

彗は昔のことを思い出していた。

 

 北斗は昔からやればなんでもできる奴だった。

テストだって間違えたことはなかった。

しかも、運動は完璧でそれこそ文武両道という言葉が一番合う存在だった。

顔も整っていて、毎日告られていた。

 北斗曰く、普通のことだと言っていた。

けれど、絶対に普通じゃない。

俺が普通じゃないと言っても、普通だと言い切っていた。

 だが、ある時から北斗は内気になってしまった気がする。

なんでだっただろうか。

あぁ、そうだ。あれだ____________


「ぃ…彗!」

北斗が放心状態の彗を呼んだ。

「あ、あぁ、すまん。ぼーっとしてたわ」

彗の意識が現実に戻った。

 そして、曲が流れ始めた。

北斗は女子側のダンスを踊るのが初めてだと言うのに完璧に踊っている。

彗は学校で練習をしたりしていたため、もちろん完璧だ。

まぁ、元の運動神経がいいと言うこともあるだろうが。

その二人のダンスは周りから見るととても綺麗なものだった。

思わずダンスを踊るよりも意識がそちらへ行くほどだった。

 その後も、何曲か流れ、ついにダンスが終わった。

彗と北斗は汗もかかずに踊りきった。

「ふぅ、これでダンスは終わりだな。次は何するんだ?」

北斗は彗にだけ聞こえるように話した。

「後は、ミスコンだな。ミスコンまで少し時間あるから、恥にあるメシ食おうぜ」

彗も北斗同様北斗にだけ聞こえる声で喋った。

しかし、2人とも一応は演じているため、周りから見ていると近寄りがたい雰囲気であった。

「おう!少しお腹空いてたんだ。早く行こうぜ」

北斗と彗は食事が置いてある場所に向かった。

 そこで色々食べていると、放送がかかった。

「この会場にいる女子の皆様、もうすぐミス・コンテストが始まりますゆえ、準備が終わり次第舞台裏へと移動をお願いいたします」

それを聞いて、北斗はゲンナリと気分が沈んだ。

「行ってくる、、、」

北斗は気分が乗らない中、すぐに帰れるよう、準備しに行った。


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