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17話 寂しかった

17章 寂しかった


「えーっと、つまり、僕は【エンドレス】として、兄さんは【ロク】と【クロア】として、この敷地内でわざわざ戦ってたってこと?」

搖斗は少し恥ずかしそうに言った。

「そうだな。まあなんというか、さすが兄弟というべきなのか、どうなのか、」

俺は不思議というようなよくわからないような感情を持ちながら呟いた。

「ていうか、これ、兄さんにはバレたくなかったのに」

搖斗は顔を手で覆いながら顔を赤くした。

 搖斗の言うこれは自分がハッカーということと言うよりも、厨二病感満載な名前とキャラだろう。

というか、搖斗は自分のやっていることが恥ずかしいものだとわかっていながらやっていたのか。ある意味すごいな。

「まあ、バレたもんはしょうがない。それに、俺[オワド]の制作者だからキャラクター申請がきた時点でこのキャラは知ってたし、」

「うぅ、兄さん、このことは墓まで持ってって」

「あ、あぁ!もちろん!」

「ありがとぅ」


 色々と困惑していた状況が落ち着き、ゆっくりと会話し始めた。

「搖斗はなんでハッカーなんてやってたんだ?俺が言うことでも無いけど、」

俺は外国にいる搖斗を見ていてもハッカーだとは気づかなかった。

まぁ、部屋の中までは覗けないのもあるが、。

「え、あぁ、それはね___」

 搖斗は話し始めた。


僕は、両親に連れられて外国に来ていた。

小5なりたての頃の僕は英語が苦手で、あまり理解できていなかった。

なのに、両親は仕事があるからと言って、遠くに行ってしまった。

僕はシェアハウスに住むことになり、学校は進学校に行くことになった。

最初、シェアハウスでの人たちと頑張って話した。

1年間はずっとそうやって生活した。

学校は小6かららしい。両親が決めてもう学校側にも連絡したらしい。

小5の勉強は家庭教師が来た。

 最初の頃は本当に辛かった。

英語は理解できないし、誰とも話せないから頼れない。

勉強だって英語で書かれてるからよくわからない。

そんな環境は辛すぎて、逃げたくなった。

でも、一人で逃げれるわけがない。

まだ子供なのだから。

だから、僕は娯楽に走った。

両親に金額をもらい、パソコンやヘッドホンを買った。

漫画やアニメ、音楽、。

興味のあることをやった。

その中にハッキングがあった。

犯罪だということはわかっていた。

でも、やってしまった。

やってはいけないという背徳感、バレてはいけないという緊張、とてもやめられなかった。

パソコンは兄さんに少し教えてもらっていたから操作はできた。

他は調べてやってみた。

そこからどんどんヒートアップしていった。

 僕はハッキングに慣れてきた時の頃、離れ離れになった兄さんのことを思い出した。

兄さんは今どんな風なのか確認したくて日本の防犯カメラをハッキングすることにした。

だが、どれだけ頑張っても、どれだけ時間をかけても弾かれる。

唯一わかったのが、妨害しているのが【クロア】という名前のハッカーだということだった。

自分が実力不足だということがわかったため、防犯カメラのハッキングは諦めた。

だが、兄さんが使っている機器ならハッキングできるだろうと思い、兄さんのパソコンにハッキングをした。

だけど、跳ね返された上に、ウイルスまでばら撒かれた。

そして、その犯人も【クロア】だった。

その後もことごとくハッキングが妨害された。

僕はだんだんと悔しくなった。

 ある日、両親が突然やってきた。

用事は、もう日本に帰ってもいいということだった。

僕の学校の成績などを見て、もう海外にいる必要はないだろうとのことだった。

別に両親に認められるようにやっていたわけではない。

僕が通っている進学校の成績を保つためには頑張らないといけなかった。

そうするうちにだんだんと成績が上がっていった。

この外国での友達もできたし、いろんな趣味もできた。

でも、何年振りかに兄さんに会えるのは嬉しかった。

 日本に帰り、兄さんに会えた。

そして、僕が家に帰ってきて少し経つと、【クロア】が現れなくなった。

ネットを見てもなんの情報も無く、神隠しにでもあったのかと思うほどに急だった。

だから僕は、心配するわけでもなく、ハッキングをしようとした。

でも、罠やウイルスが大量に仕込まれており、中々辿り着けなかった。

けれど、ついに少しだけ入り込み、対戦表を渡した。

後は、知っての通りだ。


「まぁ、今まで続いてるのは【クロア】、兄さんがいたからかな。ハッカーになったのは自分の辛さを紛らわすためにかな」

搖斗は気恥ずかしそうに語った。

 この話を聞いての通り、搖斗も重度のブラコンである。

「そうか、。辛かったな。ごめんな助けてあげられなくて」

俺は搖斗の辛い気持ちを汲み取って、自分を責めた。

「兄さんは悪くないよ。それに、元々昔は成績がよくなかったのは事実だし、よかった部分もあったんだよ」

搖斗は俺が自分をせめていることに焦り、否定した。

(搖斗は優しいな。でも、兄さん「は」っていうところ、両親は悪いって思ってんだな)

俺は感動しつつも、搖斗も両親のことをよく思っていないということに気づいたしだいである。

「搖斗!安心しろ!兄ちゃんが搖斗のこと守るし、甘々に溺愛してやるから!欲しいものがあればなんでも買ってやるし、やれることはやってあげられる!これまでできなかったことを一緒にやろう!」

俺はすごく楽しそうに言った。

それを見て、搖斗はふわりと柔らかく笑った。


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