15話 見下し
15章 見下し
あるハッカーからの対戦状には、こう書かれていた。
・勝利条件:お互いのどちらかが先に2勝すること
・対戦方法:ゲームの対戦
・特殊ルール:ハッキングも可
このルールには、禁止事項が書かれていない。
つまり、実質何してもいいということだ。
俺は何をしてもいいが、その反面、何をされても文句は言えないということになる。
対戦スタートの文字が現れ、あるゲームのリンクが現れた。
そのゲームは、なんと[オワド]であった。
拍子抜けした。
俺の作ったこのゲームで挑んできたのだ。
これはもう、俺が勝つと同義である。
おそらく、このハッカーは[オワド]にハッキングできない点から選んだのであろう。
それもそうだろう。[オワド]は俺の夢が全て積み込まれている。
それに、俺がハッカーだということもあり、他人にハッキングされないように警備をガッチガチに固めている。
だが、安全圏にいる俺はその[オワド]を通して[オワド]をプレイしているやつをハッキングすることができる。
本来すごい手強いハッカーなのだろう。
だが、今の俺には手で転がされる小物にしか見えない。
そして、対戦相手の名前が表示された。
プレイヤー名は【エンドレス】。
なぜだろう、厨二病感が半端ない。
この名前の意味を調べてみると、「終わりのない、果てしなく」というものだった。
意味的にはわからなくもないが、もう少し何かなかったのだろうか。
もう少し、こう、ひねったりとか、、。
というのは置いておいて、。
まずは、[オワド]で対戦しながら、相手のことをハッキングしよう。
ただし、俺が[オワド]の制作者だということを悟られないように。
まず最初の対戦は、上級ダンジョン、一般ものでどれだけ深い階層に行けるかというものだった。
この試合では、相手のレベルやスキルを見ることができない。
ただ、相手の潜った階層はわかる。
ちなみに、今回潜る上級ダンジョンは、ザ・ダンジョンって感じの創風で、このダンジョンはプレイヤーによってクリアされている。
さて、【エンドレス】とやらはどう抵抗してくるのか。
楽しみで仕方ない。
俺は思わず、目の前にご馳走があるかのように舌舐めずりした。