12話 いい知らせ
12章 いい知らせ
後もう少しで両親が帰ってくる。
俺は、どうやって両親との時間を減らせるか考えていた。
(そもそも、あんな最低な奴らに会う必要もないんだけど、会わなきゃずっといるからなぁ)
両親は今、海外の会社におり、家にはほとんどいないのだ。
なのに、なぜか1ヶ月に一度は必ず帰ってくる。
なぜなのだろうか。
本居の玄関の開く音が聞こえる。
帰ってきてしまった。
俺は早く会話を終わらせようと、すぐに本居に向かった。
俺の家は近代の家と違い、どちらかといえば、昭和よりの家だ。
木造建築で、部屋の床は全て畳。
ちなみに、俺の住んでいる離れは自分で稼いだお金を使って建てた。
その時は、父に自分で稼いだ金かと問われただけだった。
俺は本居に入り、キシキシと鳴る木の廊下を進んだ。
そして、両親がいる部屋の戸を開けた。
「久しいな、北斗。勉強はちゃんとしているんだろうな」
父は感情をあまり表さない人だ。
俺は父の笑った時の顔を見たことがない。
それ以前に無表情以外の顔を見たことがない。
「北斗、早く返事しなさい」
母は父が第一で父が完全に正しいと思っている。
そのため、父を否定しないし、自分の意見もあまり言わない。
「はい。変わりないです」
俺は父と母の本質を見た時から、敬語で話すようになった。
両親はそれもなんとも言わない。
「北斗、お前にいい知らせがある。来週、搖斗がこの家に帰ってくる」
搖斗が帰ってくる…?本当に?
ようやく搖斗が帰ってくる。
「そうですか。でも、なぜ今なのでしょう」
俺は表情を変えずに問うた。
「私がいいと判断したからだ」
こいつが?てことは、優秀になった、後継として申し分ないくらいになったということか?
相変わらず、人の意見を聞かない。
「わかりました」
「私らは、明日、ここをたつ。搖斗のことは任せる。最悪、家政婦か手伝いを雇ってもいい。その時は連絡しろ」
そう言われ、俺は部屋をでた。
小5になった時に搖斗が外国に行ったから、6年6ヶ月くらいぶりか?
ようやく、会える。
そう思い、俺は気分が弾んだ。