魔将シュロウガ−3
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「勝った?」
シュロウガが倒れ、地響きが響き終わった後、メルが呟いた。
誰もが倒れたシュロウガを見つめている。
静寂――やがて
「勝ったよね?」
後方にいたクレハがメルに近づき言う。
「これは――」
「シュヴェリア様!?」
ステラの声にシュヴェリアは笑みを浮かべた。
「ああ、我々の勝利だ!」
やったぁぁぁ! クレハがメルに飛びつき、ステラがシュヴェリアに飛びついた。
「やった~ やりましたね~ シュヴェリア様」
シュヴェリアに抱き着くステラ、ふくよかな胸の感触に戸惑う。
「ステラ、その、そんなにくっつかれると困るのだが……」
妙齢の女性に抱き着かれるのは悪い気はしないが、対応に困る。だというのに、
「いいじゃないですか~ こんなときぐらい~」
ステラは抱き着く手を離さない。それどころか身体をこすりつけてくるから困りものだ。
「ちょ、ステラ――」
シュヴェリアがステラに戸惑っている間、彼を見つめる冷たい視線があった。
じ~、どこか冷たい視線でシュヴェリアとステラのやり取りを見つめるクレハ。
彼女は後ろからメルに抱き着いたまま、いちゃつく2人を冷たい視線で見ていた。
「あの、クレハさん、私に当たられても困ります」
気付けば力一杯メルを抱きしめていたクレハ。たまりかねてメルが声を上げる。
「あ、ごめん、メルちゃん!」
慌ててメルを離すクレハ。メルがやれやれと息を吐く。
「あはは、今日ばかりは仕方ないんじゃない?」
カルナがクレハをなだめる様にそんなことを言った。
「むぅ……」
へそを曲げた様に唸った後、シュヴェリアの元まで歩いて行くクレハ。
「いつまでやってるんですか?」かなり鋭い一言で慌てて離れる、ステラとシュヴェリア。
笑顔で取り繕う2人にクレハは冷たい表情を返す。
「やれやれですね」
「ま、いつも通りじゃない?」
メルの言葉に返すようにカルナが呟く。その表情は先ほどまでとくらべものにならないほど明るかった。
「シュヴェリア君、勲章ものだよ、魔将を退けるなんて――」
「いや、皆の力あってこそだ。私一人ではなし得なかった」
クレハに睨まれたままカルナの言葉に答えるシュヴェリア。建前ではなく、本気で思っていた一言だった。
(いい連携だった。あの連携がなければ勝利し得なかっただろう)
仲間たちの面々をそれぞれ見てシュヴェリアは思った。
「お~い」
やがて洞窟入り口方面から声が聞こえて思い出したように駆けだす一同。シュロウガの倒れた向こう側、遺跡入り口付近に駆けだす。
「無事だったか!?」
深冬に肩を貸して立つクロードを見てシュヴェリアは声を上げた。
「はは、まあ、なんとかな……」
「申し訳ありません、何の役にも立てませんでした」
申し訳なさそうに言うクロードと深冬に「そんなことはないさ」と励ましの言葉をかけるシュヴェリア。カルナと目を合わせ、2人の回復を頼む。
(これでひとまずは幕引きだな、シュロウガには悪いことをしたが――)
おそらく気を失っているのだろう、倒れたまま動かないシュロウガを見てシュヴェリアは人知れず謝罪した。背後ではメルと深冬が「君、回復魔法も使えるの?」なんて話していた。
戦闘後の落ち着いた一時、あとはどうやってシュロウガを放置して帰るかと考えていた時だった。――ウンブラからは倒せと言われるだろうからな。
「フククク、ハッハッハッハ」
洞窟内に声が響く。身構える一同。倒れていたシュロウガがゆっくりと起き上がる。
「東ノ賢者、黒キ英雄、ソノ一行、マサカココマデノ実力ガアロウトハ――」
「おい、おい、マジかよ」
クロードが驚きの声を上げる。
「あれだけやったまだ戦えるんですか~」
「か、勘弁してくださいー!!」
ステラとメルが悲鳴を上げていた。
「馬鹿な、有り得ん!!」
驚愕するシュヴェリア。以前のシュロウガならばとっくに限界のはず――
「シュヴェリアさん!!」
クレハが叫ぶように言う。
「フム、本来ナラ陛下二オ見セシテカラ使ウノガ通リナノダガ」
シュロウガは立ち上がると、全身に力を込めた。
「シュヴェリア殿、貴殿ヘノ敬意ヲコメテ、アトライアス陛下モ知ラヌ我ガ力、トクトゴ覧ニイレヨウ」
「なんだと!!」
驚愕するシュヴェリアの前でシュロウガの外層が変化を始める。




