とある少女の葛藤(アリスside)
レナお姉さんが初めてだったの、膝を付いて私の目線に合わせて目を見てくれたの。
「パパのおしごと、さいしょうさま?」
「…急にどうしたんだいアリス」
「マーサがね、いってたの」
旦那様はお国のために立派に宰相様と言うお仕事されております。とっても多忙ですからわがままは言ってはいけませんよ。って。でもアリスはパパと遊びたい!!
今日はパパ仕事お休みだしそのために朝早く起きてパパの部屋まで突撃したんだから。
……今頃マーサ、わたしのこと探してるかな。あとで叱られる…
「…そうだな、パパのお仕事は…国を良くするお仕事だからね。とても忙しいよ」
「でもパパともっとあそびたい。ママとマーサとアリスでおでかけしたい」
ぶぅっと口を膨らませていたらパパが困った顔をしていた。頭を撫でてくれたけどアリスはそれでだまされたりしないよ!
腕組みして断固遊び行く!をしていれば優しい声とお花みたいな匂いがする。
「あらあらアリス?ここにいたのね。ふふ、パパを困らせちゃダメよ?」
「ママ!!」
ママのところに行けばギュッと優しく抱きしめてくれる。温かくて優しくてとっても好き!
パパもママに近付いて朝のご挨拶のキスをしてた。相変わらず仲良し。
「…マグリット、やっとお休み出来たのね。まだバタバタしているのかしら」
「シェリル、すまないね。…内情は酷いものさ…人を人とも思わない奴らばかりさ。」
「そう…また戦争になるのかしら」
「……そうだな…。彼がいる限りはそうなってしまうかもしれんな…私が不甲斐ないばかりに彼に辛い思いをさせてしまっている。」
「…マグリット……いいえ、そんな事はないわ。貴方は良くやっているわよ」
ふがいない、ってマーサがこの間教えてくれた言葉だ。なさけない、とかだらしないって言葉だった気がする。
「パパはふがいなくないよ!!パパはかっこいいんだから!!」
わたしがそう言えばパパとママは最初驚いてたけどその後何故かおかしそうに笑ってた。アリスおかしいことなんて言ってないのにな。
首を傾げていれば朝のチャイムが鳴る。
「あら、もうこんな時間ね。パナケア様にお祈りしてくるわ」
「ああ、毎日ありがとう、シェリル」
「アリスも、マーサが探していたわ。あまり心配かけちゃだめよ?」
「はーい」
ママは毎日パナケア様にお祈りしてる。パナケア様は何でも病気を治してくれる神様なんだって、パパやアリスが元気でいられるようにってお祈りしてくれてるんですよってマーサが言ってた。
扉が閉まってパパと2人になった。パパ最近元気がないからおでかけしたら元気になるかなって思ったんだけどな。
「パパお仕事たいへん?」
「…そうだね。」
「でもパパの周り沢山人いるからみんなで力あわせたら大変じゃないよ!」
「ふふ…そうだな、みんながアリスのような考えだったら良かったんだがね」
「?みんなでやらないの?」
「……パパの考えじゃ嫌だって人が沢山いるんだ」
「どうして?」
「…みんながみんな良い人じゃないから、かな」
「悪い人沢山なの?」
「はは、そうだな。パパの周りは悪い人沢山、だ」
それは大変だ…!パパ、悪い人と戦ってるからきっと忙しいんだね…!そんな人アリスが倒してあげるのに。
「アリスに任せて!叱ってあげるから!ダメだよって!」
ぺしってしたらマーサに怒られそうだから叱るだけにしておこう。
「誰も味方いないなんて大変…でもパパにはアリスがいるよ!ママも、マーサも!」
その言葉にパパは、ははっと笑うとわたしの頭をわしゃわしゃ撫でる。
大きくて大好きな手、アリスの頭すっぽりだ。
「アリスやシェリル…私には家族がいるからね、大丈夫だ。でもねアリス、私の仕事は私1人では出来ないお仕事なんだよ」
「うん?」
「だから、パパは見極めなきゃいけないんだ。悪い大人は沢山いるが全員が全員そうじゃない、世界には良い大人も沢山いる。そう言う良い人を見つけられるように」
「!そうなの…!?うーん…どうやったら悪い人と良い人わかる?」
それは凄く難しいなぁと困ったように笑う。
そして膝を付いてアリスの目線に合わせてくれた。パパの顔、良く見える。
「そうだね、アリスの場合は……もし何かあった時、しっかりとアリスの目線に合わせてくれる大人を信じなさい。膝を汚しても話を聞いてくれる人を。」
「その人はいい人なの?」
「そうだね……もしかしたら悪い人かもしれないな、でもねアリス。人を信じることをやめないで欲しい」
「…うん?」
「まだ難しいかな。…でもね、信じる事を諦めなければいつか信じて良かったと…裏切られてきた事も忘れられるくらいの素敵な未来へと繋がるかもしれない。だからねアリス」
___信じる事を怖がらないで…__
***
「ママ?どうしたの…?」
「………」
「ママ?」
「…アリス、今日はパパのお兄さん…ベイグ公爵様が来るから大人しくお部屋にいるのよ」
ママが疲れた顔してる。最近お家にくるベイグ叔父さん、いつもアリスを怖い顔で見下ろしてくるからあんまり好きじゃない。
それにあの叔父さんが来るといつもパパの怒った声も聞こえる。
「いい加減にしてくれないか、兄さん」
「何故だ!!ワシと手を組めばこの国すら手に入ると言うのに!!」
「だからですよ、ベイグ兄さん。貴方は上から見下ろすばかり…膝をつき同じ目線に何故なれない」
「っ…何故ワシがそんなことせねばならん!!ワシは公爵だぞ!!」
「……はぁ…、話は終わりです。帰ってください」
ドアの隙間から見ていたパパと叔父さんのやり取り。あの時、ドア越しに見た叔父さんの怖い顔を見てわかった。
「小僧がっ…!」
叔父さんはきっとパパが言っていた悪い人だ。
それから暫くしてパパが倒れた。
_____
「はぁっ、はぁ…っ…うっ、怖いっよぅ…」
家から逃げ出して、1人で怖くて寂しくて…足も痛くて、それでも勇気を出して声をあげた。
でも誰も助けてくれなかった。冷たい目がアリスを見下ろしてきてこわかったの。
「大丈夫ですか!?」
でもね、レナお姉さんは違ったよ。
「ふふ、こんなに可愛い子を置いていったりしませんよ」
泣いても置いて行かないでくれた、怪我を治してくれた、話を聞いてくれた。優しく、笑いかけてくれた。ひだまりみたいな温かい笑顔でアリスを見てくれた。
良くみたらね、レナお姉さんの膝が土で汚れてたの。
膝を汚しても話を聞いてくれる人を信じなさい
パパの言葉を思いだした、信じたいって…きっとこの人じゃなきゃダメだって思ったよ。
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「アリスお嬢様大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよマーサ」
レナお姉さんがアリス達のために危ない場所にママを助けに行ってくれた。マーサの手をギュッと握ると優しく握り返してくれる、レナお姉さんと一緒だ。
そんなレナお姉さんとの約束通り、わたしはマーサとお父さんを守らなくちゃ。
「くろう、一緒にパパとマーサ守ろうね」
「ワンっ」
金色の瞳、キラキラと揺れててまるでエイジお兄さんみたいだ。…最初は怖かったけど、エイジお兄さんもレナお姉さんと同じ。膝を付いてアリスを見てくれた、守ってくれた。
だから今は全然怖くない!レナお姉さんのことがとっっても大好きですっごく強い、まるで2人は王子様とお姫様みたいなの。それに王子様は絶対負けないんだよ。あれ?でもエイジお兄さん、レナお姉さんを信仰してたからレナお姉さんは神様??うーん、よくわからなくなってきた!
と、とにかく、そんなお兄さんのわんちゃんだからくろうも同じですっごく強い!だからきっと大丈夫!
「アリスお嬢様、その…」
「?」
「…あのお2人は一体何者なのでしょうか…
レナ様は無詠唱で力をお使いでした。旦那様の御病気は普通の魔術では治せないはずですし…あの温かい光は魔術では見た事がありません。」
レナお姉さんが魔法使いなのは内緒だからマーサには言えない。
「それに…エイジ様も、魔獣だなんて高度なものを扱えるだなんて余程の力の持ち主です」
アリスもお姉さんとお兄さんのこと、沢山知っている訳じゃないよ。でもねわたしは信じるって決めたの、パパとママを治して助けてくれるって言ってくれたレナお姉さんを、エイジお兄さんを。膝を汚してくれた2人を。
だからねマーサ、大丈夫だよ。
「マーサ、わたしは2人を信じてるよ」
驚いたようにわたしを見るマーサ。
それからいつもの優しい顔で笑ってくれた。
「…アリスお嬢様が信じたのならば私も信じます。今はお2人の無事を祈りましょう」
「うん!」
話を書くのって難しい…読みにくかったらすみません…
あと2.3話後にエイジくんのターンに入ります。




