救いの手
すみません、一話抜けておりました…
「ここなら大丈夫そうかな」
「……」
あの後、アリスちゃんの手を引き綺麗な川が流れている橋の下までやってきた。中々立派な橋がかかっていて人通りも多いしここなら見通しもいい。もし追ってが来ても人混みに紛れて逃げられそう。
「アリスちゃん大丈夫ですか?」
アリスちゃんの目線に合わせるように屈めば俯いたまま彼女はポツリと言葉を漏らした。
「……お姉さん、だけだったの」
「えっ?」
私だけって何がだろう?そう首を傾げていれば座っていた私を立たせて徐にぴょこぴょこと歩き出した。そして橋下からひっそりと顔を出すとアリスちゃんはとある場所を指さした。
「…アリスもママもパパも、今は本邸から避難しててあそこの別荘にいるの」
「……えっ」
アリスちゃんが指差した方向にはあの宿屋から見えていたお城のような建物。
え、あれって別荘だったの…?そもそも本邸って……っと言うかあれ家だったの?!
驚く私を他所にアリスちゃんは胸元から先程握り締めていたであろうネックレスを取り出した。どうやらそれはロケットペンダントだったらしく中にあった写真を見せてくれた。
そこには綺麗な女性とダンディーな男性、その間には可愛らしい美少女…目の前のアリスちゃんが写っていた。
そしてその写真を見ながらポツリポツリと彼女は話しだす。
「アリスのパパはね、お国のエライ人で沢山のお仕事をしてるの。でもある日ね、急に倒れて…お医者さんは過労だって言ってて…でも全然治らなくて。だからね、すごい魔術師さんをよんだんだ。そしたらこれは呪いだって」
「!」
呪いってまさかエイジさんと同じ…?
アリスちゃんのパパさんは誰かに呪いをかけられたってこと…?
…あの時の呪いをかけられていたエイジさんは見ていて本当に辛かった。それが肉親…ましてや自分のご両親にだなんて…
「魔術師さんにどうしようも出来ないって言われて…ママ、それ聞いてから元気無くなっちゃってご飯も食べれなくなって…っぐす…パパもママも寝たきりになって。そしたらね、急におじさんが家に尋ねてきたの」
「…おじさん?」
「……パパのお兄さんだって。…アリス、そのおじさんがあまり好きじゃなかったの。いつも怖い顔してパパを見てたから…だからお家にきた時に隠れてたの。そしたら…「上手く呪いは発動したのか」って、「もうすぐでここが手に入る」って言ってる所を聞いちゃったの」
そ、それって…その叔父さんがアリスちゃんのお父さんに呪いをかけたってこと?
アリスちゃんの話を聞く限りお父さんはお偉いさんで、その叔父さんはアリスちゃんの家…と言うかお父さんの地位を手に入れるのが目的?…と言う事はアリスちゃんを必要に追ってるのは相続遺産目当て…とか…?それとも口封じ…?
「侍女のマーサがアリスだけ逃してくれてっ…!!マーサがどうなったのかもわからなくて、っそれに早くっ、早くパパを治さなくちゃっ…!パパもママもマーサもいなくなったらアリス1人になっちゃう」
当時の状況を思い出したのかアリスちゃんの目に涙が溜まっていく。でも泣かないようにしているのかスカートの端をギュッと握り耐えている。
こんなに幼いのに、この子はずっとこうして耐えていたのかな…
「………、」
「……アリスちゃん?」
「っ…、」
すると急にアリスちゃんが座り込んでしまった。え?どうしたんだろう。心配になり顔を覗き込むもずっと黙ったままで反応がない。よく見れば右足を押さえて震えている。
……まさか
「アリスちゃん、怪我してませんか?」
「!」
「…足ですか?」
ぎくっと身体が揺れた。どうやら当たりのよう。やっぱり怪我をしているらしい。
いつだろう、あのぶつかってしまった時だろうか?
目を逸らすアリスちゃん。あまり私に怪我を見られたくないようだがでもこれは見過ごせない。じっと彼女を見れば先に折れたのはアリスちゃん。おずおずと靴を脱いだ。
白いレースの靴下には血が滲んでいる。脱がせてみれば酷い靴擦れで痛々しいそれ。どうやらあの時の怪我ではないみたいで安心したが目の前の悲惨な状態に眉を寄せた。
血も少し固まっているのを見る限り結構前からあるみたい。逃げているうちにこんなことになってしまったのだろうか。
「血が出てるじゃないですか…!」
「…っ」
「どうしてすぐに言わないんですか、痛かったでしょう?」
「……、ぐずっ…怪我、してるのわかったら置いてかれちゃうと思ったの…」
再び目に涙をためると今度はそれがポロポロと頬を流れた。それを止めようとぐしぐしと摩るが止まる事がない。
そうか、さっきも泣かないようにしていたのは泣いてしまえば置いていかれるとそう思ったのか。
「みんな、っみんな助けてくれなかったの…っ、だからっ…少しでもっ、良い子にしなきゃって」
この子はどれだけ辛い思いをしたのだろう…普通の子供ならこんな怪我をしていただけでも泣き喚くだろうに。両親も倒れ1人で心細い中で泣きもせず誰にも助けて貰えずここまで来たのだろうか。
(___ああ、なんだか…)
ここに来た時の私と重なった。私は運良くエイジさんと言う優しい人に巡り会えた…でもアリスちゃんは?私に会うまでずっと1人ぼっちだったのだ。
考えただけで私も泣きそうになる。でもここで私が泣くのは違う、きっとアリスちゃんが不安に思うだろうから。だから私のすべき事は。
「大丈夫です、アリスちゃん」
「…っえ?」
そんな彼女に私はふふっと笑った。アリスちゃんが少しでも安心してくれるように。
「こんな可愛い女の子を…しかも怪我をしている子を置いて行くなんてしないですよ?」
「……っう、ぐすっ…ほん、と?」
「それに、実は私魔法使いなんです」
「…ぐすっ、…魔法、使い…?魔術師さんじゃ、ないの…?」
「いえ、魔法使いですよ」
ふふっと笑いかければ涙が止まりアリスちゃんは好奇心を宿した瞳を向けた。
「今から見る事は秘密ですよ?」と言えばきょとんとした後に彼女はコクンと頷く。
怪我した場所に手をかざし、傷が治るように願えば温かい光がアリスちゃんの足を包んだ。
「!…傷、治った…!」
「ふふ、内緒ですからね?」
「すっ、すごい…!!」
キラキラ、尊敬の眼差しがこもった瞳を向けられてほっこりする。ふふ、癒し。可愛いなぁ…
そんなことを思いながらもアリスちゃんを優しく抱きしめた。
「!…レナお姉さん…?」
「アリスちゃん、我慢せず沢山泣いていいんです。私はアリスちゃんを置いていったりしません。だから大丈夫」
目を見開いたアリスちゃんの背中を優しくポンポンと叩けばすぐに目にいっぱいの涙を溜めて顔をくしゃりと歪ませた。
「辛かったですね、もう1人じゃないですよ」
「うっ、うっ…うわぁぁん…!」
その後しばらく涙が収まるまでアリスちゃんを抱きしめて優しく声をかけ続けた。
誤字脱字あれば何卒…(と言うか見てくれてる人いるのか…)




