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優しい笑み

「私に、呪いを治す力をください」


私の言葉に女神様は驚いたように目を見開く。


《…いいのですか。元の世界に帰れないのですよ?》

「……はい、私は彼を…治したいです」


もうそれは私の中で決定していることだ。

帰れない……確かにそれはショックなことだ。でも…彼が死んでしまうことの方が、辛いと思う。だって、元の世界に帰れなくとも生きてさえいれば私は何とかなるのだから。

女神様は驚いていた目を細め優しく微笑む。


「女神様、私の願いを叶えてください。お願いしま……っきゃっ!?」


女神様にお願いしようとしたその時、掴まれていた腕を引っ張られ強い力で後ろから抱きしめられた。


「……っは、……」

「っエイジさん…!?」


上半身を起こし浅い呼吸をしながら尚も強い力で抱き寄せられて、口から心臓が飛び出そうな程にドクドク脈打つ。男性に抱きしめられることなんてない私はどう対処していいかわからない。


(っな、何っ…?!)


もしかして苦しいのだろうか?痛過ぎて横になってられないのかもしれない…


「……エイジさん?苦しいのですか…?」

「……っ、、」


チラリ、エイジさんの顔を見れば女神様を殺しそうな勢いで睨んでいた。な、なんで睨んで!?

あの人は味方だと、伝えたいのに更に強く胸に押し付けられ喋れない。

エイジさん、あの人神様です…!!


「……連れていかせないっ…は、はっ…」

「エイジさん……?」

「国だろうが、神だろうが……っは、……

……誰にもっ、渡さない…!」

「!」


彼の言葉に息が詰まった。

…もしかして、私が元の世界に帰ると勘違いしてる…?


「あ、あのエイジさん…!」


何とか胸元から顔を出し彼を呼ぶも聞こえていないらしく、刀を抜きそうになっている手を慌てて止めた。

ダメだ…!声聞こえてないっ…

この状況にどうしていいかわからず顔を百面相しながらオロオロする私を見かねて、女神様は《安心なさい黒魔法を司る子よ》と微笑んだ。


《……彼女、レナはこの世界に残ることを選択しました》


「!」


抱き締められていた力が緩むと、身動きが取れるようになった。

でも腰に回されている手は未だに離してくれずに、おずおずと見上げれば近くには驚き目を見開くエイジさんの顔。


「な、んで……」


そう言ったエイジさんの顔が、期待と不安が混じる子供のように思えて。私は目を見開いた。彼は、こんな表情も出来るのかと。

これは、母性…と言うものなのかわからなかったけど彼が安心出来るように出来るだけ優しく微笑んであげたいと、心からそう思った。


「ふふ、こんな状況の貴方を1人にはしませんよ」

「……っ」


私の言葉にエイジさんはヒュっと小さく息を吸うと腰に回していた腕に力が入る。


《……心優しき異界の子レナ、…呪いを解く呪解の力を授けます》


そう女神が口にすればキラキラと粒子のような物が私の身体を纏った。その様子を見ていたエイジさんはハッとしたように驚いた顔をする。


「……呪解の、力……まさか…!」

「エイジさん」


私が顔の刺青にゆっくりと触れればピクリとエイジさんは身体を揺らす。

触れた手に神経を集中すると力を込めた。

貴方の呪いが解けますように、幸せになれますようにと。


「!っ……痛みが…」


スゥっと彼の顔にあった刺青が消えていく。


(ああ、良かった……呪いが消えていく……)


グニャリ。

___あれ、おかしいな……安心したからだろうか、何だか目の前が歪み霞んでいく。

だんだんと意識が朦朧としてくる私に、エイジさんは珍しく慌てて問いかける。


「っおい…!」

「……、もう、大丈夫…ですよ」


痣に添えていた手で優しく彼の頬を撫ぜると私はホッとしたように微笑んだ。


「……レナ、」


完全に刺青の消えた彼の顔を確認してホッとすれば急激にガクンっと身体の力が抜ける。腰に回されていたエイジさんの腕のお陰で倒れることはなかったが、完全に彼に持たれかかる形になった。

エイジさんはことの流れについて行けてないように目を見開き唖然としながら今しがた綺麗になった自分の顔に触れる。


「呪いが……なくなった……?」


(本当に良かった……)


私は残り少ない力を振り絞り、女神へと視線を向けた。


「女神様……ありがとう、ございます……」

《心優しき人の子にさちあらんことを》


「……しっかりしろっ…!」

「ふふ……大丈夫、ですよ。少し、……眠いだけ…、だから、…」


顔を歪めるエイジさん。

違うんです……私は、貴方に笑ってほしい。笑った貴方の顔が見たくて、だからそんな顔をしないで、

__ああ、もう目を開けてられない。


「……笑って…、?」


薄れゆく意識の中でエイジさんが私の肩を抱く手に少し力を入れたのがわかった。


「__ありがとう、レナ」



ああ___そっか、エイジさんは…そんなふうに優しく、静かに笑うんですね。


ずっと見たかった笑みを最後に私は完全に意識を手放した。


改稿しまくりですみません…、、


次はエイジ視点になります。

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