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3話

…どのくらい経っただろう…長くない?

天界から落ちて、今も延々と落ち続けている。

最初は楽しかったけど、流石に飽きた。さっきなんて寝てた、この抵抗感が意外と心地いい気がして……

…っは!危ない、また寝るところだった。

周りは金色の雲で包まれていて景色も変わらないから本当につまらない。

はぁ…早く下界につかないかな。


その後もしばらく落ち続けて、ようやく金色の雲を抜けた。


「…わぁ…!すごい!空が青い!広ーい!」


見渡す限りの青と白。天界にいた時には見たことがない景色に心が躍る。

さっきまで落ちていたところを見ると、そこも一面の青。あれ?金色の雲がない…神術かな?


「ぅわっぷ!」


いきなり周りが白に変わった。また雲の中に入ったみたい。

…もう少しだ…もう少しで!

白が開ける…そこに待っていたのは、本で知った下界を遥かに超えた感動だ。


眼前には無限に広がる大地が待っていた。

緑の草木が生い茂り、大小様々な生き物が見える。あそこなんか飛んでる!戦ってみたい!

ん〜?あそこにあるのは建物?もしかしてあそこに人間が住んでるのかな?

他にもあれが山?なんか色が違う!あっちの広い水たまりが…海?


すごい…すごい!すごい!楽しそう!

感動で他に言えることがない。初めて見るもので溢れている。

初めて天剣を発動した時…いやそれ以上!今まで生きてきた中でいちばんの感動だ!

ああ〜全部行ってみたい!ここなら絶対に退屈しない!


おっと、呪いのことは忘れちゃいけない。…ふふ♪何から回ろっかな〜♪

ふと下を見ると地面が近づいている。そろそろ地面に着く。

…あっ着地どうしよ。あたし、飛べないんだよね…翼はあるんだけど。

なんか才能がないのか、どうしても飛べない。

まあ他で代用して似たようなことができるけど、結構速度出てるし今回は別の方法でいこ。


んー風でいいかな。現象をイメージして神術を発動する。

ん?ここ、神力が薄い。一応発動はできそうだけど、体内の神力は使いたくない。


神力を集めるために集中する。ふと別の力に気づいた。

これ、魔力?へー下界は魔力が多いんだ〜、天界とは違うな〜。

それなら、魔力を使えばいいじゃん!


天使は魔力と相性が悪いの人が多いけど、私はかなり相性がいい。

よし!魔力を取り込んで、発動する魔術をイメージ。

今回は風。上に吹上げ、私をゆっくりと下ろしてくれる風…よし!


足元に広がる草原に向けて風魔術を発動する。


「【風よ!】」「【か、風よ吹き上げろ!ウインド!】」


ん?今何か聞こえぇーーーー!!

瞬間とてつもない突風が私の体を吹き飛ばす。

まるで二つの渦が混じり合ったかのような風に、体の自由が効かない。


「ひょえええええ!!」


しばらく弄ばれた後、木の上に落っこちた。



木の枝をいくつも折り、地面に落ちる。

体のあちこちに、折れた枝と葉っぱがついてる…あー髪もボサボサ〜。


「いたた…あーひどい目あった。んー?力加減間違えたかなー?」


天界だと魔術を使うと処罰される。どうも魔物とか、壊魔が使うかららしい。

そもそも天界だと魔力が薄いから、まともに使えない。それに天士はみんな神術を使うから関係ない。


まあ私は隠れて使ってたけどね!


倉庫に魔石っていう魔力の塊あったからこっそり拝借した。

それから魔力を取り出して、魔術を発動したりした。…おじいちゃんに見つかってめっちゃ怒られたけど…


けどできることが、神術の劣化版だからすぐに飽きた。

だから今回魔術を使うのは本当に久しぶりだ。

それにしても、思ったより威力でたな〜。今度から気をつけよ。


枝や葉っぱを払って立ち上がる…草木の匂いを感じる。

ここが下界。やっぱり天界とは空気が違う。

柔らかな地面を踏み締めて、歩く。

辺り一面木が生い茂っている。その先にはさっき降りようとした草原が見える。

って誰かこっちにくる。


「あ、あのー!大丈夫ですかー!?」


ボロボロなローブを着たボサボサ頭の少年。

走るたびに掛けているメガネがズレ、持っている杖が大きいからか走りずらそうにしている。

これが人間?んー結構天使に似てる。けど神力を感じないから人間かな。


「はぁ…はぁ…はぁ…だ、大丈夫…げっほ!げほ!…大丈夫…ですか!」

「えっと…君こそ大丈夫?すごく息切れしてるけど。」

「は、はい…すぅー…はぁー…すみません、もう大丈夫です。ってそれより!怪我とかないですか!?」

「え、うんないけど。ああ〜さっきの見てたのかなー。ちょっと失敗しちゃってね。」

「う…いえあれは僕のせいなんです…まさか魔導士様とは思わなくて…」

「ん〜?君のせい?どゆこと?」


聞いてみると私が空から落ちて来ているのをみて、慌てて魔術を発動したそう。

けど私の魔術が同時に発動したから、干渉してからさっきみたいになったらしい。

それと魔導士っていうのはすごい魔術を使える人間のことだそう。


私が魔術を使ったことで、空を飛んでいると思ったそう。

魔導士か…強いのかな?会ってみたい。


「私は天士だよ?魔導士っていうのじゃないんだけど。」

「え、でも魔術使ってましたよね?それにてんしってなんですか?」

「?魔術って誰でも使えるんじゃないの?」

「そんなことないですよ!僕も使えますけど…全然まだまだで…」


どうも魔術をまともに使える人間は少ないらしい。

簡単な術の発動だけならほとんどの人ができるけど、戦闘とかになると一気に数が減る。

そもそも教える人がいないから覚えたり、訓練もできない。まあそれなら仕方ないよね。

で、魔導士っていうのは魔術で色々なことができる人のことを言うみたい。

空を飛べるレベルなら間違いなく魔導士だ!と思ったそうで…


「あっそうだ!私はエリシア!よろしくね!」

「僕はパルジオ。パルジオ・アデラートです。よろしくお願いします。」


簡単に自己紹介を行った後、パルジオ君の家に行くことになった。

人間の家!何があるのかな〜、ワクワクする!楽しみ!


◇◇


草原を抜けて、別の森に入ると一部分だけ道になっている。

この先に村があって、そこにパルジオ君の家がある。

森の中には見た事のない木の実や、植物、動物などいろいろなものが溢れている。


パルジオ君の家を見たら、後で森を探索してみよ♪

しばらく歩き続けていると木の柵に覆われた場所についた。

柵の中には木でできた建物が、所狭しと設置されている。


「エリシアさん着きました。ここが僕が暮らしている村、トリアルです!」

「わあぁ!これが村!色んな建物がある!あっあれなんだろう!」

「あっちょっとエリシアさん?!待ってください!あ、足速い…」


しばらく我を忘れて村中を歩き回った。

柵で覆われた場所にいる動物。

石で囲われた穴に設置されている桶。

クルクル回っている大きな物。見たことがないもので溢れている。


本当に下界にきて良かった!こんなにも新しい物で溢れていて、全てが楽しい!

まだまだ見てないものを見ようとしていると、お腹に違和感を感じた。

何にか音が鳴ってる。


「ん〜?これなんだろう。」

「あっエリシアさん!や、やっと…見つけました…はぁ…はぁ…」

「あっパルジオ君。ねえなんだかお腹が変なの、音が鳴ってて。」

「え?それってお腹が減ったんじゃないんですか?」

「?!えっ!下界ってお腹が少なくなるの?!か、回復魔術で治せる?!」

「いやそんなことしなくても何か食べれば…って回復魔術が使えるんですか?!」


何か…食べる?

…そういえばおじいちゃんが言ってた気がする。

天界は神力が満ちている。天使はそれを常時吸収しているから、食べ物を食べる必要がない。

そもそも食べ物を見たことがなかった。そのせいで私も経験がない。


えっといことは…初めて食べ物を食べれる!


「ね、ねえパルジオ君!何か食べ物あるの?!ぜひ見せてほしい!それに食べたい!」

「わ!わ、わかりました!僕の家にありますから!か、肩を掴んで揺らさないでください!」

「じゃ、お願い!さっ早く行こ!」

「案内しますから、ついてきてください。」


夕暮れの中パルジオ君について家に向かった。いや〜楽しみ♪


◇◇◇


パルジオ君に連れられて来た場所は、木で出来た小さな小屋。

彼について行き中に入る。

中には様々な物が溢れていて、天井から鉢に入った植物がいくつも吊るされている。


「少し散らかってて…すみませんそこの椅子に座っていてください。」

「これがパルジオ君の家…なんか色々あってすごいね!それに私の部屋よりも広い!」

「はは…親が建ててくれたのをもらっただけですよ。ご飯もう少し待ってください。」

「ご飯?食べ物のことかな…わかった!楽しみ!」


しばらく部屋の中を見て待つ。

家の中になんだか嗅いだことのない匂いが漂ってくる。

不思議。この匂いを嗅ぐと、よだれが止まらなくなる。

そしてついにその時が来た。


「お待たせしました。乳と肉が少しあったので、シチューにしました。」

「この白いのが食べ物?…もう食べていいの?」

「はいどうぞ。あっ熱いので気をつけてください。」


パルジオ君に渡された棒でシチューを掬う。…この匂い、早く食べたくなる。

思い切って、白い湯気が立つシチューを口の中に入れる。


瞬間電気が身体中を駆け巡る。


「…こ、これが食べ物…」

「あっ…お、お口に合わなかったですか…すみません…」

「そんなことない!すごいよこれ!」


器に入ったシチューを一気に口へと放り込む。

中に入った様々なものを噛むたび、幸せな気持ちが返ってくる。

暖かなシチューが体の中を満たしてくれる。


パルジオ君いわくこの料理は、野菜や肉などの具材に、乳に調味料を足してそれを煮る。

そのおかげで、具材の旨みがスープに染み込んでいく。

さらに具材も柔らかくなっていき、口に入れた時に野菜がホロホロと崩れ、肉は柔らかくて…もう色々すごい…


すごい…これが食べ物。これが料理!こんなにもすごいことがあったなんて!

っは!気づいてしまった…もし天界にも料理があったら、毎日こんな幸せな気分になれていた…

…私は今までなんて勿体無いことをぉ……ぐおおおお…

くぅ〜今はとにかく料理をもっと!楽しむしかない!


「ねえパルジオ君!もっとある?これもっと食べたいの!」

「はは…そんなに美味しそうに食べてもらえるならいくらでも作りますよ?」

「美味しい…こういうのを美味しいっていうんだね!うん、すごく美味しいよ!」

「ありがとうございます。具材もまだあるので、もう少し作りますね?」

「うん!お願い!」


この感動をイオやおじいちゃんに伝えたい。…いやおじいちゃんは知ってるかも。

もし知ってたら許せん…1人でこんなのを楽しんでいたなんて…


この後何度もおかわりをして、私のお腹が満足するまで食べ続けた。

私が初めて食べ物を食べたことを言ったら、シチューを吹きだしていた。

それと少し食べすぎたせいか、パルジオ君が困った顔をしていた。…ごめんね?


◇◇◇


窓の外を見ると真っ暗…これは天界と変わらない。


「エリシアさん、今日は泊まっていってください。夜の森は危ないですから。」

「いいの?ならそうさせてもらうね。」

「あっもし水浴びがしたくなったら、外の井戸を使ってください。」

「大丈夫だよ。むむー【浄化!】ふぅ〜!さっぱり!」

「エリシアさん本当に色々な魔術が使えるんですね。どこで覚えたんですか?」

「んー?天界だけど。まあ魔術は独学なんだけどね、神術を応用すれば簡単に使えるよ。」

「天界?神術?…すみません聞いた事ないです。」


天界や神術も知らない?けど、下界に現れる壊魔を倒すために天士は来てるはずだけど。


「そういえばパルジオ君はどこで魔術を覚えたの?下界だと珍しいんでしょ?」

「僕はたまたまこの村に魔導士様が現れた時に教わりました。ただ、風の初級しか使えないですが…」

「そうなんだ。よかったら私が教えよっか?ほらご飯のお礼に。」

「いいんですか?!ぜひお願いします!」


明日パルジオ君に魔術を教えることになった。私の独学でいいなら教えてあげよう。

教わることが嬉しいのか、ウキウキしながらベットの準備をしてくれる。

ご飯を食べたおかげか、今まで感じたこのない心地の良い眠気を感じる。


「んー…そろそろ寝ようかな…あれパルジオ君はどこで寝るのー?」

「あっ僕は床で寝ますから気にしないでください。」

「えー?一緒に寝れば良いじゃん…ほらこっち来て。」

「え!いやちょ、力強!?ああっ抱きつかないでください…うぅ…絶対眠れないよぉ…」


パルジオ君の体温を感じながら、心地の良い眠気に包まれ目を閉じる。

こんな気持ちで眠るのも初めてだ。今日は初めて知ることや、感じることがたくさんあった。

明日はどんな初めてが待ってるんだろう…今から楽しぐぅ……ZZZZZ…


「うぅ…柔らかい…良い匂いが…眠れないよぉ…」

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