表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/17

09 バイト


「いいバイトがありますぜ、ダンナ」


 ちょっとアリシエラさん、


 元はといえば誰のせいでしたっけ、


 今の僕の経済危機的状況。



「申し訳ありませんっ」

「覆水盆に返らずの森、『収納』魔法で仕舞われていたモノは、入れ物を処分しちゃうと、何であろうと二度と取り戻すことは出来ないのです」


 ……何だか、"生き物生きたまま可能"な『収納』が国を挙げての監視対象な理由が、心底理解できましたよ。


 怖いですよね、『収納』って。



「『収納』に限らず、魔導具の付与関係には細心の注意を払うべきであること、お分かりいただけたと思います」


 お互い気を付けましょう、自他共に命は大事に、ですよね。



「はいっ、反省すべきは反省し、それを踏まえて前に進むこと、それこそが私たち探求者の正しい在り方なのですっ」

「というわけで、いいバイトがありますぜ、ダンナ」


 はいはい、どんなバイトですか。



 ---



 えーと、人柱、ですね。


 アリシエラさんのバイトちっくなお願いは、


 新作魔導具の試用試験でした。



 これが上手いこといったら、


"黒猫嵐工房"製品として販売、


 僕にもお裾分けがあるそうなのです。




 名称『ヴァリアブル サービス ゴーレム』


 略称、『ヴァサーゴ』



 これまで単一機能だったゴーレムを、より汎用性を高くして、マスターの生活を日常的にサポートできる存在を目指した、新型魔導人形。


 アリシエラさんは既に、人造つくも神という人族そっくりの人造知性体を生み出しておりますが、


 知性体であるがゆえの問題も多々あるのです。


 要するに、自立した知的生命体を人工的にポコポコ量産して良いのかってこと。



 で、『ヴァサーゴ』ですが、これまでの人造生命体のような自立思考型の魔導人工知能は未搭載。


 ボディの制御も、状況判断も、マスターの命令の理解も、


 その全てを内蔵された固有のデータベースに基づいた行動のみで行う、


 特定用途に特化した、まさにゴーレムちっくなゴーレム。



 でもそれって、"汎用性を高く"という売り文句と矛盾しているような……



「この場合の"汎用性"とは、マスターと行動を共にする際の最低限のコミュニケーション能力、並びに、一般常識を厳守出来る行動パターンの確立、を意味しているのですよ」

「その要件を満たした上で、それぞれ必要とされる専門能力に特化させるという、日常生活から専門分野までの、まさに皆さまの暮らし全般にお役立ち出来るゴーレムなのですっ」


 なるほど、納得です。



 これまでの魔導生命体は、それぞれが自立した家族のような存在でしたが、


『ヴァサーゴ』はあくまで、より便利な魔導具であることを目指したのですね。


 まあ、道具に愛着を持つことは悪いことでは無いですし、


『ヴァサーゴ』に愛着を持ってはいけないってわけじゃないですもんね。



「さすがは『愛の魔狩人』フォリスさんっ」

「すでに『ヴァサーゴ』とらぶらぶする気満々ってことですねっ」


 えーと"フラグ"はご勘弁……



 ---



 錬金術師の夢が、完璧なホムンクルスの錬成ならば、


 魔導具技師の夢は、完全な人造人型ゴーレムの作製。



 僕が思うに、たぶん夢を達成したいっていう原動力は、


 えっちっちパワーなんだろうな、と。



 いや、アリシエラさんがそうだってわけじゃないですよ。


 あくまで、僕個人の感想です。



 でもやっぱり、理想の異性を追い求めるって、生涯を懸けるにふさわしいテーマですよね。


 まあ、本当に生涯を懸けたいのなら、本人が一番生命力に満ち溢れた年齢であり続けられるすべを先に探さないとね。



 閑話休題。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ