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13 ご所望


 そこそこ賑やかな楽しい日々、


 ヴァサコさんもすっかり家族の一員です。


 今日はアリシエラさんが、試用試験データ最終確認に来訪中。




「ヴァサコさんは、特に問題行動とかは無さそうですね」


 そうですね、王都へのお買い物でルルナさんのお供もしましたが、


 ゴーレムって気付いた人は皆無だったそうですよ。


 むしろナンパされて困ってたそうで。



「過剰な反撃とかしませんでしたか」


 いえ、歳相応の乙女な反応だったそうです。


 しつこくナンパしてきたチャラ男のアレを蹴り上げたくらいで。



「それくらいならお歳頃乙女の通常反応ですね」


 で、どうでしょう、ヴァサコさんの今後についてなのですが。



「ひとつだけ気になっていたことがあるのです」

「ヴァサコさんは、自身が普通の存在であることに悩んでいたようなことは……」


 いえ、まったく。


 そんなに悩むほど重要なことなのですか、ゴーレムにとって普通であることって。



「一番最初にご説明しました通り、『ヴァサーゴ』タイプのゴーレムには、既存の魔導知性体とは異なる知性ユニットが搭載されております」

「目指したのは、過剰な学習機能を排したことによる、極端に個性的な自我を持たない、いたって普通な思考回路」

「つまり、『ヴァサーゴ』はこれから先もずっと変わらず、あのままの普通の存在であり続けることが運命づけられているのです」

「そしてそれが当人の悩みとなる可能性を、一番危惧していたのです……」


 ……僕には難しいことは皆目分かりませんが、


 ヴァサコさん自身が生まれてきたことを否定しないよう、ずっと寄り添ってあげられたらな、と思います。


 この先悩んだりすることもあるかもしれませんが、


 それこそがヴァサコさんの個性ってことで。


 うちのみんなも、同じ気持ちだと思いますよ。



「……了解しました」

「あの子のこと、くれぐれもお願いしますね」

「もちろん、家族としてのみならず、恋人としてだって最高のパートナー足り得ますよ」

「それこそが『ヴァサーゴ』ヴァサコさんの完璧ゴーレムとしてのレゾンデートル、かもしれませんよ」


 あー、善処します……


 そういえば、ヴァサコさんがよく言っていた追加オプション的な装備って、簡単に後付けできるものなのですか。



「いいえ、『ヴァサーゴ』素体が専門的な分野で活躍するには、生み出される前からの綿密で精緻な調整が必須なのです」

「つまり、余剰オプション的な外付け装備は、素体自体のバランスを崩してしまいかねないインシデントとなりうるので、絶対にNGなのですよ」

「申し訳ありませんが、あのままのヴァサコさんを可愛がってあげてください」


 ……了解です。



 それと、先日ヴァサコさんに何か欲しいものはないかと聞いたところ、


 その……大きめの胸パッドをご所望だったのですが……



「えーと、それもまたヴァサコさんなりの個性ということで」

「その件の対応につきましては、"愛の魔狩人"としてのフォリスさんに一任しますねっ」

「それでは、ごきげんようっ」



 ……あの逃げ足の速さも、アリシエラさんの魅力なのです。


 ネコしっぽぷるんぷるんですもんっ。




 おっと、そういえば、


『クルゼス クロコダイル コインパース』の取説の最後の、


『ネクスト なんちゃら ヒント!』が、



"お色気ゴーレム"



 だったはずなんだけど、


 ヴァサコさんって、あんまり"お色気ゴーレム"って感じはしないよね。



 あーなるほど、


 次回予告からの前評判を気にしてたんですね、


 それでアレをご所望……



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