10 末永く
目の前には、なんと言いますか、普通の女の子。
本当に普通の子なのですが、
あえて違いを挙げるとするなら、
お耳がちょっとだけ魔導具っぽいかも。
僕の素の反応をデータとして知りたいとのことで、
アリシエラさんは最低限のレクチャーだけで、すぐに帰っちゃいました。
で、先ほどマスターとして登録完了。
えーと、マスター登録は、この子が目を開けるまで頭を撫で撫でしてくださいっ、だったのですが。
うん、綺麗な青いひとみですね。
一部の召喚者の男性にとって金髪で青い目というのは、大変にツボなのだそうですが、
それって召喚者だけには限らんのですよ、アランさん。
つまりは、僕にとっても、ツボ。
「……早く名前を決めてほしいのです」
おっと、ごめんね。
えーと、名前……
「……お悩みでしたら自主的にデータベースからランダムで選択するのです」
どんな候補があるのかな?
「……"まっする"・"なまこん"・"ぽげむた"・"びにぼん"」
はい、ストップ。
僕が決めるから、ちょっと待っててね。
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命名『ヴァサコ』
僕が提案した候補はことごとく却下されて、
最終的な折衷案がコレでした。
うん、可愛いくなくもない、かな。
そういえばヴァサコさんは、何に特化したゴーレムなのですか?
「……"汎用性試験体"つまり日常生活を問題無く送れるかどうかを確認するためのプロトタイプです」
「……試験不合格の暁には即行で廃棄処分となるのです」
「……生かすも殺すもマスター次第というハードでイカす人生なのです」
マスターの責任重大だね。
「……たかが試作ゴーレムですのでお気軽に使い潰せば良いのです」
……末永くよろしくね。
「……マスターフォリスのデータから人外でも分け隔てなくらぶらぶ対象に出来るという性癖の異常なまでの幅広さを確認です」
「……つまりは先ほどのセリフは本気のプロポーズと認識するのです」
うーん、ちょっと違うかな。
末永く友達でありたい、っていうセリフの可能性もあったよね。
「……つまりはまずはお友達からのお付き合いなのです」
はい、よろしくね。