表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

01 フィールドワーク

『リヴァイス 74 連休狩人と賑やかな無勇伝』の続きで、


『(清貧)狩人』フォリスのお話しです。


 お楽しみいただければ幸いです。




 最近、毎日が楽しい、フォリスです。


 平穏で穏やかな暮らしを、


 幸せと感じるか、退屈と感じるかは、人それぞれ。



 僕は今、とても幸せです。



 ---



 今日のお仕事は、狩人では無く、森の案内人。


 この魔灸の森の自然を楽しみたいという人が時々訪れるので、


 ガイドとして同行するのです。



 で、魔灸の森の案内人。




「空気が美味しいのですね」


 お気に召していただいたようで何よりです。


 その右側にある背が低い木は、触るとかぶれますのでご注意を。



「ありがとうございます、フォリスさん」


 いえいえ、急がず焦らず、森を楽しみながら進みましょう。



 ---



 今日、案内しているお嬢さんは、


 フェリシルスさん。



 アルセリア王都在住の学生さんで、


 自然生物学を学んでいるそうです。


 平たくいうと、魔物・動物・植物・地理・気象などが様々に影響し合う状況を総合的な見地から研究する、


 つまり、自然の営みと生き物の暮らしの連鎖的な繋がりを学ぶ学問だとか。



 まあ、僕には難しいことは皆目分かりませんが、


 自然が大好きな方だということは一目瞭然ですので、


 大変に好印象なのです。



 少しだけ歳上なのですが、とても素直で聡明なところも、


 大変に好感が持てるのです。




「天候、崩れそうですね」


 凄いですね、風と雲で気付いたのかな。


 もう少し進むと洞穴がありますので、


 雨宿りには間に合うはずです。



 ふたり、少しだけ歩みを早めて、洞穴を目指します。



 ---




 ちょうど洞穴に着いた頃に本降りの雨。


 普段の僕なら雨など気にせずに雨具で進むのですが、


 今日は森の案内人なのです。


 フェリシルスさんが濡れ濡れにならなくて何より。



「虫すらも暮らしていない空の洞穴……」

「こういう洞穴は、生き物の溜まり場だと思っていたのですが」


 入り口を塞ぐように植わっている細い木々、


 この森の生き物はあの木の匂いが大嫌いなんです。


 森の狩人としては、こういう避難場所を知っておくのは重要なことなのですよ。



「あれって……ウラミズキの幼木ですよね」

「忌避効果なんてありましたかしら」


 不思議ですよね。


 例えば、あの木を僕の家の庭に植えかえても、魔物避けにはならないのです。


 この森の、ほんの一部の場所のウラミズキだけが、あの効能を持つのです。



「まさに自然生物学の研究対象ですね」


 はい、この機会に存分にどうぞ。



「……とても興味深い事象、でも残念ですが後輩に委ねましょう」


 ?



「フィールドワークは、今回が最後ですので」


 学者さん、辞めちゃうんですか。



 フェリシルスさん、ほんの少し、困り顔。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ