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妖精社会  作者: 創作
三章_第二次巨人大戦編

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44_守り手

…俺も役目をやるかな

胸元に垂れ下がる大きな宝玉から自然力を取り出す。刹那、巨大な、身に余るほどの自然力の流動が身体を襲う。内から痛みが込み上げる。それを遠吠え、さらには足を地面に縫い付けて気合いで耐える。

「水」最上級魔術〈穹窿きゅうりゅうの檻〉

魔術が収束し、縁と獣人を閉じ込める隔絶空間。それを守護する無数の檻が縦に重なり「監獄」とも取れる結界を創る。空間が閉じられる時に見えたのはヨスガを切り裂こうと猛進する獣人と黒い瘴気の中にある彼奴(あいつ)の姿だった。

…気張れよ

俺は念を飛ばして、その場から去った。


*  *  *


『今の避難状況は』

俺は手近にいた憲兵にそう聞いた。

「狼がしゃべった…」

『率直に聞くぞ、避難にあと何分かかる』

「あ、ああ。いいところ、四十五分くらいだな」

『十分以内にやってくれ』

「んな、無茶な」

『敵をヨスガが抑え込める時間がそれだけしかない。頼む』

俺だって、無理を強いていることは分かる。それでもやるしかないのだ。

「どうした、揉めているように見えたが」

その時、長身で堅いがよく鋭い眼光を放つ、いかにも「指揮官」と思しき人が現れる。

「この『物憑き』がですね…さっき、見たじゃないですか。騎士と獣人が檻に囲まれるの。アレがあと十分も持たないっていうんですよ」

「それは本当か、君」

『マジだ。十分。それだけだ。仮に獣人が倒せても、別の化け物を見ることになるぞ』

「なるほど。…多くを助けるのが我らの仕事だ。連絡係に繋げ、『あらゆる手続きを省略し祠の中に国民を非難させることを最優先にせよ』と」

「正気ですか⁉︎後で立場なくなりますよ」

「杞憂だったらそれでいい。いつも言ってるよな、最悪を想定して動け、と。もう繰り返すわけにはいかない。あの『二十六年前の厄災』を」

「……了解です、団長。各人に繋ぎます」

「よろしく頼む」

「総員で取り掛かる天幕で休んでいる奴らも起こしてくれ」

その後はその『団長』と呼ばれる人の指示の元、祠への非難誘導が行われた。その人は敏腕で七分が過ぎようという頃には坂へと続いていた行列は祠目前まで縮小させていた。


「ねぇ、ヨスガって何者なの」

祠内の入り口近くで警備を続行するクロエが話しかけてくる。疑問も持って当然だ。本気を出していないとはいえ、獣人と渡り合って見せたのだ。それに彼奴(あいつ)は最近、一足飛びに強くなる。

『普通のやつだよ、魔術を使えないこと。変な呪いにかかっていること以外は、な』

「それもう普通じゃないじゃない…」

クロエはそれを聞いて、呆れた顔をして頭を抱えるような表情をする。

『心の部分は人と変わらないってことだ』

昔のことを懐古すると、村での記憶が蘇る。

『縁はな——』

俺はあいつに何があったのかをクロエに話した。



 それからどれだけが経っただろう。少なくとも約束の十分は経っていた。流石にもう決着はついているだろう。果たしてあの中にいるのは獣人か、それとも——。

 刹那、まばゆい光が辺り一帯を包み、過剰な閃光に目を覆う。

 次の瞬間、目に入ったのはあの水の檻を空へと伸びる一筋の極光が貫いている現実離れした光景だった。


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