願いのその先へ
僕は2年間付き合っていた彼女と別れた。
理由は好きじゃなくなったから、らしい。なんとなく分かっていた、そんな気がしていた。
長くて、幸せで、楽しい夢を見ていたんだ。僕はあの頃どんな顔をしてたんだろう、もう思い出せない。
「おい、高橋起きろ」
どこか聞き慣れた声が聞こえる、首が…少し痛い、肩も、腰も。
「起きろって言ってるだろ」
背中を叩かれた、いったい誰が呼んでるんだ?
僕は重い瞼を開けた。
すると眩しくも暖かい光が目に差し込む。
「やっと起きたか高橋」
目の前に立っている人物を見て、僕は驚いた。
「俺の授業で寝るってことは放課後の補習の準備ができてるってことだな!」
その人物は大きな声で笑った、周りにいる人達も笑っている。
ここは…
「やっと起きたんだね高橋くん、授業始まってすぐ寝ちゃうんだから」
隣で僕を見ていた女の子がそう囁いてきた。
「佐藤…?」
僕は思わず声をこぼした。
「明後日から夏休みだからって、あんまりのんびりしてちゃダメよ?」
よく聞いていた声だ。
佐藤は1年生の時の隣の席だった子だ。
僕の元カノだ…
「窓際だからって眠たくなる気持ちはわかるが、寝すぎると授業についてこれないぞ?」
僕を起こしたこの人は数学の田中先生だ。
しかしなぜだ、僕は今、3年生のはず…
夢でも、見ているというのか…?
それとも、今まで夢を見ていたのか?
「なあ先生、ちょっと背中叩いて見て」
僕は試してみることにした。
「おい、どうしたんだ、寝ぼけてるのか?」
先生は僕の背中を軽く叩いた。
痛い… どうやら現実のようだ。
そうか、僕は長い夢を見ていただけなんだ。
気が向いたら続き書きますね。






