カゼ将軍の館
風は止んだ。
「いいか、まず私が話しをするから君は黙っていてくれ。君の話し方では誤解を与えかねない」
「何がゴカイだよ。思った事をしゃべって何が悪い?」
「とにかくまず私に話しをさせてくれ。でも、しかしカゼ将軍に会えるのか」
「何グダグダ言ってる」
ユキは館の前で声を張り上げた。
「おい、こらカゼ将軍。用があるから出てこい」
「だから最初からケンカ越しは止めろと……」
少ししてゴォーと音がして突風が吹き荒れ、二人は地面にしゃがんだ。少しして突風は収まった。そして門が空いた。
二人は館の中へと入っていった。門から邸宅まで数分かかった。
「ここからは私に話さしてくれ」
何処からともなく声がした。
「ようこそ、いらっしゃい。適当に掛けなさい」
二人が椅子に座ると、ヒューヒュー音をたてながらカゼ将軍が現れた。
「久しぶりの客人で、つい嬉しくなってしまいました。本当にたまにしか来ないのでね。それもだいたい迷い込んでくる人々なんですよ。でも君たちは違うようだね」
「カゼ将軍、突然の訪問で失礼しました。私は寅之助、この者はユキと言います。今日は将軍にお聞きしたい事がありまして訪問しました。
実は昨今、我々の世界で疫病が流行っているのですが、その原因について噂の類いではありますが、カゼ将軍の怒りをかって疫病が流行っているのではないかというのです。その事について将軍にお聞き出来ればと思い、お伺いしました」
「私も風の噂には聞いていますよ。そういう事がないとは言いません。でも、私が単独で動く事はほとんどないのです。
普通は太陽や海、山々等、他のものとの連係によるのです。
今回の事は私がいなくてもわかる事ですが、わざわざ来てくれたので少し話しましょう」