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サイレン ナイ
「寅之助、サイレンの音しなかった?」
「いいや、気のせいだろう」
館まであと少しだが、途中、誰か うずくまっていた。
「アンタ、大丈夫かい?」
「えっ、あなた方は?」
「アタシはユキ、コイツは寅之助。カゼ将軍の館に行くのさ。アンタ、気分でも悪いのかい?」
「ええ、どうやら食べ物か何かに毒が入っていたようです。誰も知らないうちに、どこかに毒が入っていたようです。
いつの間にか気を失っていたようですが、しばらく横になっていたら大分よくなりました。
いや、もう大丈夫です。歩いて帰れます。
みんな飾り付けをして待っていますから、早く帰らないと。今日はみんなのイブですからね。あんまり待たしたら、また仕事で遅くなって何時まで待たせるの、って言われますからね。
どんな用事か知りませんが、あなた方も早く帰ったほうがいいですよ。この時期は日が暮れるのが早いですからね。
それに雪が降ってきそうな空模様ですよ。冷え込みそうですね。今はまだそうでもないですが。
いや、ご心配をおかけしました。僕はもう大丈夫。では、先に帰りますね。あなた方も気をつけて」