7話 つくもがみ
「じゃーかーらー、わしがVtuberの付喪神なんじゃってのになんで信じてくれんのじゃ! わしは本当の本当に神様なんじゃ!」
通報された。
わし、神様なのに警察に通報されてしまった。
「おじょうちゃん、迷子になっちゃって混乱してるのは分かるけど、本当のことを教えてくれないとお兄さんたちも困っちゃうよ」
「そうだよ。ここは僕の家だからさ、ずっとここにいることはできないんだ。君にもお家があるでしょ? ママとパパは心配していると思うけどなあ……」
「うんうん! モモが一緒に探してあげるから、嘘なんてつかなくていいんだよー。さっきはモモもパニクっちゃったけど、もう大丈夫だから」
ここの家主、近藤習に通報されてしまったのだ。
これはわしが出自について説明できなかったからなのだが、不服なものは不服である。
膨れっ面のわしを見て、ますます幼女のような扱いをしてくるが、わしは幼女じゃない。バーチャルの文化ができたのは最近じゃが、わしは神様でこやつらとは生きている年数が違うのだ。
「混乱させてしまっているのは分かっているのじゃが、わしにもわしなりの理由があって、ここから離れることはできないのじゃ。神様と話したのは初めてなのか?」
「う、うん……君が何を言っているのかは、よく分からないけれど、少なくとも神様と話したことはないよ。神社に行ったとしても、僕なんかに興味を持ってくれるわけないからね」
それは違うと思うのじゃが、わざわざ強く否定する必要もなかろう。わしはわしの出自を説明しようと試みた。
「わしは本当の本当に神様なんじゃ。信じられないかもしれないが、Vtuberを象ったバーチャル存在の象徴と言っても過言ではない。そのことはわかったか?」