表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/7

1話

 二十一世紀初頭。

 日本はまんがやアニメに類されるサブカルチャーの発展によって、世界から注目を浴びるようになっていた。

 新たなるサブカルチャーに「Vtuber」なるものが誕生した。

 そして時は経ち、Vtuberの数は一万人を超えると言われる現在、八百万の付喪神には「Vtuberの付喪神」がいた。





「はぁあ……つかれたあ……今日もタテセンの話長すぎるってんだよ、まじで。なんであんな長く話せるのかねー。おー、新しい味出たのかー。何々、スペシャルミックスマンゴートロピカル南極味? 南極に味って概念持ってくんなよ。冷たいってのは分かったから……ってすまん」


「ううんー、大丈夫だよー。シュウくんは相変わらず、話すのが好きだねー。わたしなんて、そんなに話のネタないからうらやましいなー……って、シュウくん、もしもしシュウくん!」


「え、何? ちゃんと聞いてるよ?」


「前見て、前見てー!」



 車でも来るのか。


 そう思って、モモの指摘通り携帯から前を見て、車からよけようとしようとして、フリーズした。


 ウチん家の前で女の子がぶっ倒れてる。



「これって、やべー状況だよな!? 警察とか救急車とか呼んだ方がいいのかな?」


「絶対、そういう状況だよね。よし、連絡を――」


「……しの…………」


「しの……、もしかして、今死のうとしてるって言った!? 大変じゃない。こんなちっちゃな子が死にたいだなんて、そんな、イジメられてるの? 大丈夫? 辛いことあったのかな? 話聞くから、起き上がれるかな?」


「わたし…………じゃになってく…………い」


「え、えええええええ!? 私の神社になってください!? 神社になってほしい、ってどういうこと、ねえ、シュウくんも慌ててないで、はやく、私と一緒にって、うわあああああああっ!」



 そうだった。モモは予測不可能な事態にとてつもなく弱いんだった。


 アドリブなんて絶対にできたもんじゃないし、授業中にクラスの誰かが倒れたりしたらそれを見て失神してしまう、それが鬼崎モモという人間なのだ。



「はーい、モモ、深呼吸ね。何か話せるみたいだし、モモが静かにならないと聞こえないからねー。はーい、深呼吸。吸ってー、吐いて―」


「わたしの信者になってくれ! そうじゃなきゃ、わし、死んじゃう!」


「死んじゃってなんだよ。しかも、元気になったし! 大丈夫か? 頭でも打ったんだじゃないか!?」


「君が信者になってくれないとわしはここから一歩も動けない。お願いだ、このVtuberの神様の信者になっておくれ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ