自決
「自決」
私は、嘘吐きで、
わがままで、
間違えだらけで、
傲慢で、
自分と自分の身内だけに都合よく、
時に、母を蹴落とし、
父をも殴り、
場合によっては、少年の教えを冒涜し、
それでも、四十三年間、大袈裟に生きてきました。
そして、最愛の人をも疑い、警戒してしまいました。
更には、たったひとりの妹にも唾をかけ、それでも、赦されてきました。
ごめんなさい。私は君の哲学のために死ぬことができない臆病者でもあります。
私は、とても、よろしく人格が形成されていると姉に言われますが、
それも全て、嘘まみれ泥まみれが真実であります。
更には純粋なる愛を育む才能にも恵まれてはいません。
私は常に未完成であり、四十三年間、簡単に人を裏切り、
勝手に生きてきました。
また、手首の傷を勲章と称し、友に自慢したりも致します。
余談になりますが、連れている女性は、
いつも、いつも、それは美しい人ばかりです。
私は勤勉を怠らず、他人からは卑怯者だと罵られますが、
本当は小心者です。
私は寂しがり屋なので、自身の居場所に、
世界全てを選択している大馬鹿者でもあります。
また、時折、自らの部屋で手を合わせ、自分自身を神の子であると主張したりも致します。
我が親愛なる友 堀江由佳里院長先生へ
西ノ宮仁明会病院 隔離病棟にて。
愛を込めて。
自決。
令和二年 十二月二十四日
ムラカワアオイ。