ろぉぉーく
その日のカチカチ山は暑かった。
そう。あの二人が帰ってきたのだ。
爺ぃと婆ぁが。
時刻は18:00を過ぎた頃、二人は囲炉裏の前で暖をとる。
「久しぶりじゃなぁ婆さんや」
「おぅ、いきとったのか爺さんや」
二人の会話はそれだけである。
カチカチ山の周囲に結界を張りに配置についた戦士達は爺ぃと婆ぁとの力の差に驚きを隠せずにいた。
円卓で食べたたこ焼きで口の中を火傷したキューリーは舌で腫れた部分を気にしながら重い口を開いた。
「何故、お前たち、あの山を火血火血山と言うかしっているか?」
隊員達は額に汗が通るのを感じながら、キューリーの話を聞く。
「それはな‥あの山に近づくと恐怖で歯が鳴るんだよ」
カチカチ
カチカチ
ってな。
隊員達は知っていた。なろう系の小説を書いたばかりの人がよくするミスである伏線貼りすぎて回収しきれず作者が迷走してしまいがちなことを。
そして、格好つけて火血火血山と書いたこの作者は変換も修正も面倒なのでこれからカチカチ山とする事を。
キューリーは七福柱の一柱である男に声をかける。
「あのGとBがいる場所に結界を貼れるか?」
その男、七福柱の一柱であり
絶対防御の化身
「自宅警備員」
自宅警備員は軽く頷き印を組み始める
この呪文の印は高度な技術が必要となる。
自宅警備員の指が高速で動き始める。
イケメンのブログを見つければこいつは性格悪いと書き。
ママタレのブログを見つければ飯、不味そうと書き。
好きだった同級生のブログを見つければ、何もせず。
その子が結婚したと報告があれば、悪口を書き。
まるでそれはベートーベン「運命」をピアノで奏でるが如く。
そして、自宅警備員は溜まった気を解放する。
「絶対防御」
周囲一帯に光が包み込む。
火血火血山
改め、
カチカチ山に結界を張ることに成功したのであった。
つづく