弐
むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
地球防衛特務機関sitifuku
うぃーいいーん!
ぷーわん!ぷーわん!
けたたましくサイレンの音が反響する。
高エネルギー反応有!
高エネルギー反応有!
死の山で高エネルギー反応出現!
対象高エネルギー反応Gと確認!
死の川で高エネルギー反応出現!
対象高エネルギー反応Bと確認!
まさか、GとBが同時に復活するとは、いや、二つ同時であるのは当たり前のことか‥。
総員!火血火血山にて、GとBが接触次第、大規模結界を張るよう指示を!
あとは天に祈るだけだ!
ある川の中に女が座禅を組み滝を浴びている。
その女が来てから川の環境は目まぐるしく変化して行った。
木々は生茂り、動物や昆虫は異常なまでに巨大に進化し、人間界を遮断するが如く発達していった。
しかし、その中でただ一つ、その女の周りの川の水は優しく変わらず流れていた。
水は思っていた。
この女は何者なのだろう‥
憔悴しきった体でこの地に降り‥
ただ、ただ座禅を組み滝を浴びる‥
そこに存在しているか、はたまた幻か‥
あーなるほど。あれは私だ。
水の流れの中の幻、あるようでない。
ないようである。
私だ。
水は友を得たように嬉しく思っていた。
「すまぬのぅ、友よ、戯れすぎたようじゃ」
水は頭を悩ませる。
声が聞こえたのだ。
水である私が。
水は女を見つめ気づく。
女の肩に魚がピチピチ跳ねていることを。
うっすらと女の顔に太陽の光がかすめる。
裂けるチーズの如く滝が優しく割れる。
そして七色の放物線がその女を囲む。
女は目をゆっくり開き
私に語りかける。
「そろそろ、帰るかのぅ」
水は知っていた。
またこの女はこの地に遊びにくるのを‥
その女は印を組み
気を集中する
「ルーラ」
そこには先程までいた女はいない。
まぼろしか‥
いや‥
それは違う。
だってそこには綺麗な虹がかかっているんだもの‥
さみしくなんてないさ。
水は笑ってた。
ワビサビの世界って深いなぁって笑ってた。