壱
むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
地球防衛特務機関sitifuku
うぃーいいーん!
ぷーわん!ぷーわん!
けたたましくサイレンの音が反響する。
高エネルギー反応有!
高エネルギー反応有!
死の山で高エネルギー反応出現!
対象高エネルギー反応Gと確認!
死の川で高エネルギー反応出現!
対象高エネルギー反応Bと確認!
まさか、GとBが同時に復活するとは、いや、二つ同時であるのは当たり前のことか‥。
総員!火血火血山にて、GとBが接触次第、大規模結界を張るよう指示を!
あとは天に祈るだけだ!
ある山の頂上にて、座禅を組む男が1人いた。
その男が来てから山の環境は目まぐるしく変化していった。
木々は枯れ始め、川は枯渇し、地は荒れ、あらゆる生命体は失われていった。
しかし、その中でただ一つ、その男の横で巨大な岩だけは変わらず、佇んでいた。
岩は思っていた。
この男は何者であろう‥
傷だらけの体でこの地に降り‥
ただ、ただ、座禅を組み‥
そこにいるだけの存在‥
あーなるほど。あれは私だ。
変わらずそこにいるだけの存在。
岩は友を得たように嬉しく思っていた。
「すまぬな、友よ。長いをした。」
岩は頭を悩ませる。
声が聞こえたのだ。
岩である私が。
岩はふと男を見つめ気づく。
男の肩に鳥が止まっている。
なにも聞こえぬ山が、男を中心に緑が広がり動物や木々達の話し声が戻りかつて以上の自然の豊かな山に変貌して行った。
その男の目がゆっくりと開き
私に語りかける。
「迷惑をかけたな友よ」
急に雨雲がかかり
シトシトと雨が降り始める。
岩を濡らしていく。
友が去る事を悲しむが如く岩を濡らしていく。
「そう泣くではない。たまに遊びにくるわぃ」
男は岩を背にし、歩を進める。
男は右手をあげ、手を握り親指をたてる。
岩に向かって。
岩は笑ってた。
なんかそのポーズかっこいいって言って笑ってた。