1、ダークソウルにおける「ソウル」とはなんだったのか?
1、序文 ダークソウル世界は絵画の中の世界でした
なんのこっちゃという方もいると思うので解説を。
ダークソウル3の「お嬢様」の描く絵、あれこそが実はダークソウルの世界なんだよ! という説です(公式でそう言ってるわけじゃないよ)。
お嬢様に絵の具を渡すとこう言います。
「ずっと寒くて、暗くて、とっても優しい画…。きっといつか、誰かの居場所になるような」
そしてタイトルはこうつけるそうです(名前を教えるとそうつけてくれるけど)。
「灰」
それでピンと来た方もいるでしょう。
古い時代 世界はまだ分かたれず、霧に覆われ 灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあった
アリアンデル絵画世界と呼ばれる世界は、世界のどこにも居場所が無いという人たちが集まっていました。
なぜ居場所がなくなったのか。
『語り部の杖』
忌み者たちに絵画の伝承を伝える異端の語り部の杖
彼ら自身もまた居場所ない忌み人であり
その体も、魂も、杖も、全て穢れている
彼らは言わば社会的弱者だったのだと思います。
身体的に迫害を受けるような人。病気。生まれ。そんな彼らがようやくたどり着いた安住の土地「絵画世界」では、誰もが同じなので差別も区別もされません。
全員おんなじならば、差別もされません。迫害もありません。そして、ずーっと続く世界であれば、なおさら幸せでしょう。
きっとお嬢様の描き出す絵は、灰色で、誰もが差別されない優しい世界であることでしょう。
「古い時代」のように。
2、本章 『ソウル』ってなんだ?
さて、実はダークソウル世界が絵画世界そのものであったという仮説を元に話を進めていきます。
ふと思ったことがあります。
だが、いつかはじめての火がおこり
火と共に差異がもたらされた
熱と冷たさと、生と死と、そして光と闇と
とオープニングでは語られます。そしてこの後偉大なソウルの持ち主(人類含む)も語られるのですが、唯一語られないソウルがあります。
「生のソウル」、どこにいった?
「いや、差異の両側面を一人が担当してるんだろ、ニトとか」。
と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。
光のソウルの持ち主ことグウィンは、しかし闇のソウルまでは管轄外でした。まったく相反する力を操れるものは登場していないのです。
ニトは死を(詳しく考えていくと熱的死なのではないか説もある)を担当していましたが、生は管轄外でした。死人(骸骨とか)を操ることが出来ても、突然生き物をはやしたりはできませんでした。
もう一度言います。
「生のソウル」、どこにいった?
結論を言います。
「生のソウル」=敵を倒した時に得られるソウル
思えばごくごく簡単な理屈です。
生物を殺せば、生命力が出てきます。エフェクトでいうと白い光です。そしてそれは「ソウル」という力として本人に宿ります。ソウルの力は、人間ではないネズミだとか歩く植物(元人間かもしれないけど)とか神でも持っていて、奪えます。
これこそが生命を生命として定義するための力、「ソウル」なのです。
そして、ソウルは生きていない存在は持っていません。始まりの古竜達は生きてすらおらず、故に死ぬこともありませんでした。だからソウルの業を使うことが出来ませんでした。しかし、生きているシースだけはソウルの業を使えました。
で、このソウル。なんで誰も使い手がおらんねんという話になってくる。
答えは単純。生きているものは、すべからくこのソウルを見出しているからこそ生きている。生のソウルを奪われるから死ぬ。
唯一の例外は人間でした。人間はダークソウルのせいで不死身なので、生きている状態を奪われても(ソウルをロストしても)死ねないのです。正確にはそもそも死という概念がないのだと思います。ただ、死という「呪い」を身に引き受けて、重くなっていくのでしょう。
またこの生のソウル、不滅で暗く重い人間性にも影響を与えています。人間性の輪郭がなぜか白く燃えてますよね。
おそらく、人間性という闇の固まりでも、生命という要素に関してはこのソウルの影響を受けざるをえないのだと思います。
またこのソウル、実はアイテムとしても出てきます。
名も無き戦士のソウル
亡者となり、遂に動かなくなった
名も無き不死の戦士のソウル
使用によりソウルを獲得する
ソウルは生命すべての源であり
不死となり、また亡者となっても
皆本能的にそれを求め続ける
まんま答えが書いてありますが、ここで疑問が浮かびます。
そんな大切なソウルが、なぜ、現在ダクソ世界に存在する動植物神様人間含めて、あそこまでいきわたっているのか?
ダークソウルのようにたくさん分裂したんでしょうか? でも、そんないっきに分裂するものでしょうか? そもそもソウルって、そんな無尽蔵に出てきていいもんなんでしょうか?
3、本章 『ソウル』ももしかして絵の一部分だったんじゃね? 説
ここで冒頭に戻ってきます。
ダークソウルの世界は絵画世界の出来事でした。
暗い魂の血をつかって新しい世界を作る、その世界の中でまた絵画が作られる、そうした無限ループの世界でした。
人間も、神々も、古竜も、実はダークソウルで描かれていたというまさかの展開。壮大なタイトル回収です。
お嬢様の絵を見てみても、きっとそれは灰色一色で、一点に火が灯っている絵としてできあがることでしょう。無尽蔵に発生する生命のソウルなんてどこにもありません。
いや、ありました。
キャンバスです。
お嬢様自身も考えていなかったのだと思いますが、ダークソウルで描かれるあの世界の一番下に敷かれているのはキャンバスです。キャンバスは、基本的には白、キャンバスはキャンバスであって絵ではないので、無色透明のものとして扱われます。
染料の下にある真っ白な色。これが生命のソウルそのものなのです。
それは恐ろしく大量にありました。大量にあったがために、ダークソウルの世界はたくさんの生命に満ち溢れる世界になりました。
そのきっかけを作ったのは、最初の火です。
そして、闇より生まれた幾匹かが
火に惹かれ、王のソウルを見出した
実は世界は闇という染料によって描かれていました。神でさえ、闇から生まれています。
しかし、闇から作られても必ずしも生き物になるとは限りません。人間性は形状を変える性質を持っています。時に、石になったりします。正確には「虫」「植物」「石」「水」になるようです。なぜ、彼らはまともな生物として誕生できたのか。
『錬成炉』
クールラントの古い錬成炉。
結晶トカゲの抜け殻を張り合わせ作られている。
薪の王ルドレスに渡すことでソウル錬成が可能となる。
この炉で異形のソウルを錬成することでその特質を凝固させた特別なアイテムが作られる。
使い方を誤った者が、それを禁忌と呼ぶのだろう。
最初の火を思い出してください。
世界に、キャンバスという無色透明あるいは真っ白い生命のソウルが満ち溢れていて、最初の火の炉という錬成炉があって、そこに偉大なソウルが誕生したとしたら……。
そう、主人公が錬成炉を使うときにソウルを注ぎ込むのと同じように、最初の火の炉で生命が練成されたのです。
3で突然ポッと出てきたような気がする錬成炉………実は、1で既に登場していたのです。
錬成炉で生命を作ることが出来る可能性は、「禁忌」という形で表現されています。生命を作る神が如き業―――それを行おうとしたものは、それを禁忌と呼びあらわしたことでしょう。