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第二回 知らない人に木に縛られて頭に林檎を乗せられた

「……ぅう」

 香水の香りが鼻を刺激し、自分は覚醒した。

 目を開けても何も見えない。どうやら目隠しをされているようだ。目隠しをとろうとしたが、手が縛られていて動かすことができない。感触から、木に縛り付けられているようだ。頭も木に縛られている。一体、誰にされたのだろうか。

 自分はパニックになりかけているのを押さえて、聴覚から必死に何が起きているのか探ろうとする。

 ……場所としては人の声がするが、とても小さい。それに風もある。路地裏だろうか。

 カチャ。

 今、何か音がした。金属の音だった。何の音だろうか。ベルトか、カギか何かだろうか。


 バンッ!!


「ひっ!」

 破裂音――いや、発砲音か。発砲音とともに、頭の上を弾丸が通り抜けていくのを感じた。その後に、頭から何かが垂れ落ちてくる。血か!? と一瞬思ったが違った。これは、リンゴだ。頭からリンゴの果汁が垂れてきている。自分は気付かなかったが、頭の上にリンゴが載っていたらしい。

 足音が近づいてくる。先ほど発砲した人物だろうか。パニックになった頭の何とか冷静な部分でどうすれば助かるかを考える。だが、良い方法が思いつかない。

 考えているうちに足音がそばで止まった。思わず体がびくついてしまう。その後に、頭の上に何かを載せられる。固くはない。そして足音が遠ざかっていく。まさか、また撃つつもりなのか……?

 その予感は的中した。再度の発砲音とともに、頭の上のものが撃ち落されたのを感じた。

 また何かが垂れ落ちてくる。今度は……みかんだ。口の中にみかんの果汁が入り込んでくる。うまい。

 そしてまた、足音が近づいてくる。今度は何を載せられるのか? と戦々恐々しつつも、少しだけ楽しみにし始めている自分がいた。

 今度は固いものが載せられた。はっきりと固い物だと判るものだ。


 バンッ!!

 

 また頭の上から何かが、それも大量に流れ落ちてくる。これは……グレープジュースだ。滴り落ちてくるグレープジュースだが、非常においしい。もっと飲みたくなってきた。

 だが、急に睡魔が襲い掛かってきた。抗おうとするも、急速に意識が沈んで行って、抗えなかった。

 そして、眠りに落ちた。


          ◇ ◆ ◇


「あいつは、凄いな」

 俺はこの方法を思いついた奴の顔を思い浮かべ、一人嘆息した。

 暴力団に入っている俺は、射撃訓練でまあまあな成績を出して、もっとうまかった奴らに対抗心を燃やして、もっと練習しなければと思いアイツに何かいい方法はないかと聞いてみた。すると、アイツは粛清対象の頭の上に果物を載せ、練習台とするという方法を提案をしてきた。

 アイツいわく、『果物を頭の上に乗せれば的になるし、何度か果汁を飲ませてもっと飲みたいと思わせれば、最後に睡眠薬と毒が混じっているジュースのコップを割ってを飲ませれる。それなら、通常よりも多く射撃できるし、的も小さいからいい練習になるだろ』とのことだった。いや、実際いい練習になった。本来は1回の射撃が3回もできたし、またこの方法で粛清していこうと思う。

どうも、四季冬潤とかいう者です。


さて、今回は綿飴なごみ さん(https://mypage.syosetu.com/1552074/)から頂いたお題、『知らない人に木に縛られて頭に林檎を乗せられた』でした。

不定期ですので、次はいつになるか分かりません。

では。

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