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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

私の可愛い娘

作者: どんC
掲載日:2018/04/07

スプラッターの嫌いな方。罵詈雑言が苦手な方はお戻りください。

「お母様どうして?」


 桜貝の様な可愛らしい唇が言葉をこぼす。


「どうして?ってわからないの?本当に?自分が何をしたのか。そんなこともわからないの?その頭は飾りなの?」


 ゆらりと女の身体が揺れる。


「ああ…穢わらしい。お前の祖母は売春婦だった。お前の母親は淫売でどこの誰ともわからぬ子を産んで死んだ。」


「お母様……?噓……嘘よね……」


 震えながら少女は女にすがりつく。

 チャラりと鎖が鳴る。

 少女の手足を縛っている。

 お母様と呼ばれた女は少女を蹴り飛ばす。


「嘘なものですか。お前の祖母は売春婦で王族の王子を誑し込んでお前の母が産まれた。」


「誰の子かわからないが、王族ではない。それは確か。女神様にお伺いを立てて聞いたから。お前の母親を産むとお前の祖母は死んだ。お前の母親は地下牢に入れられたのに、牢番を誑し込んで抜け出した。そうして男爵を誑し込み男爵令嬢に収まって学園に入り込み高位貴族を腑抜けにし、ミモザ様を破滅に追いやった」


「嘘よ!! 私はお父様とお母様の子供でしょう‼」


「ああ…そっくり。誰の子か分からぬ子を産み人に押し付ける。お前の腹の子だって誰の子か分からぬ!! 人間の子かさえ分からない」


「酷い!! アルス様の子供よ!!」


「姉の夫の子だとぬかすか!! この淫売!!」


 バシイィィ!!

 少女の頬に女は平手打で打った。


「お……お母様……どうして?」


「どうして?どうして?どうして?こっちこそ聞きたいわ!!」


 女は涙を流しながらさけんだ。


「死んだのよ!! 私の可愛い娘が‼ 夫に裏切られて‼ 妹だと思っていた女に裏切られて‼ 首を括って死んだのよ!!」


「お……お姉様が死んだ?」


「お前が殺したのよ!! この人殺し!!」


「私のせいじゃない……」


「じゃ誰のせいだと言うの?」


「私が悪いんじゃない……」


「誰が悪いというの?」


「こ……こんな事をしてお父様やアルス様が許さないわ!!」


「お父様?アルス様?この生首のことかしら?」


 女は二つの生首をエレナに投げつけた。


「きゃぁぁぁぁぁ!!」


 エレナはようやく辺りが血と臓物で溢れている事に気が付いた。

 それは血と臓物で描かれた魔法陣だった。


「浮気男に、お前を娘だと思っている間抜け男。娘の自殺を止めれなかった役立たずの護衛騎士に、浮気の手伝いをした使用人達。みんなその命で償ってもらう」


「こ……こんな事をしてもお姉様は生き返らないわ。だからどうかこんなことは止めて……」


 クスクスと女が嗤う。


「いいえ。いいえ。生き返るわ」


「何故お前を生かしておいたと思うの?お前たち一族のスキルはね。一度だけ時を戻せるの。強力なスキルゆえ短命で子を産むと、そのスキルは子供に受け継がれ母体は死ぬけど。お仕えしていたミモザ様を殺した敵だけど。この時の為に生かしておいたのよ」


 女は斧を持ち上げた。


「可愛い。可愛い。私の娘を生き返らす為に死ね !!」


 斧が閃く。






「きゃあぁぁぁぁぁー!!」


「どうしたの?」


「ああ……お母様……お母様……怖い夢を見たの」


「怖い夢?夢は夢でしょう?さあこのミルクを飲んでゆっくりお休みなさい。明日はミモザの婚約者とお茶会するんでしよ」


「ええ……そうだった。明日が楽しみ」


 ああ……良かった。いつもの優しいお母様だわ。

 お母様。私いい子になるわ。

 そうすれば『私の可愛い娘』と言ってもらえるわよね。


「お休みなさい」




 リーンゴン リーンゴン

 弔いの鐘が鳴る。


「エレナが死んでしまうなんて……」


 ミモザは婚約者の胸で泣いた。

 アルスはミモザを慰める。


「医者も長くは生きられないと言っていたんだろう。運命だったんだよ」


「こんなことならもっと早く貴方に妹を紹介するんだった」


「私も妹君に会っておけば良かったよ。後の祭りだが……」


 棺にすがって泣く伯爵を妻が慰める。

 棺は色とりどりの花と共に埋められた。


「ミモザ……お客様と神官様を家に送ってちょうだい。私達はもうしばらくここにいるわ」


 ミモザは母親に尋ねる。


「お母様……大丈夫?」


「大丈夫よ。お願いね」


 母は墓標にすがりつく父の元に向かう。

 その肩が震えている。

 黒いベールが風に揺れる。


 __ 上手くいった。上手くいった __


 ___ これでミモザは幸せになれる __


 女は笑いをこらえる。



 ___ エレナはミモザの婚約者アルスに会わない __


 __ エレナはアルスと出会って浮気出来ない __


 __ 子供が出来たと言って、ミモザが首を括って自殺することもない __


 __ 災いは死んだ __



 ミモザの左脇腹に薔薇のような痣がある。

 殺された聖女ミモザ様の脇腹にも同じ痣があった。




「本当に綺麗よ」


 美しい花嫁衣装。


 今日 私の可愛い娘は幸せになる。




         ~ Fin ~




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 2018/4/18『小説家になろう』 どんC

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

★お母様

アリアナ・ダグラスラボラトリーズ(39歳)

巫女ミモザに仕えていたメイド。ミモザは毒殺される。犯人はエレナの母親。

犯行がばれ牢屋でエレナを産む。ソベルア公爵と結婚。ミモザを産む。エレナ牢屋で産まれる。

ソベルア公爵エレナを引き取る。


★エレナ(17歳)

代々一度だけ時を戻れる。ただし生贄はいる。

頭と道徳観の緩い子。


★アルス公爵(21歳)

浮気男。エレナに会わなければまとも。


★ミモザ(20歳)

アリアナの娘。夫と妹が浮気男して、首を括って自殺する。


★ダグラスラボラトリーズ伯爵(41歳)

ミモザの父親。エレナを自分子供と思って引き取る。


お読みいただきありがとうございます。

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